『ザ・ロイヤルファミリー』安藤政信、馬との撮影に当初は“怖さ”も変化 主演・妻夫木聡に「調教されています(笑)」
俳優の安藤政信が、現在放送中のTBS系連続ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(日曜午後9時)で「広中厩舎」の調教師・広中博を演じている。人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」社長で馬主・山王耕造(佐藤浩市)率いるチームにとって欠かせない重要な役どころ一人として、本作への意気込みや共演者との秘話を語った。

調教師・広中博を熱演
俳優の安藤政信が、現在放送中のTBS系連続ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(日曜午後9時)で「広中厩舎」の調教師・広中博を演じている。人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」社長で馬主・山王耕造(佐藤浩市)率いるチームにとって欠かせない重要な役どころ一人として、本作への意気込みや共演者との秘話を語った。
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妻夫木聡が主演を務める本作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真氏の小説『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)が原作。競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大な人間ドラマとなっている。
物語は、第3話で栗須栄治(妻夫木)と山王耕造が新たな競走馬探しに奔走。11月2日放送の第4話では、耕造が1億円で新たに購入した日高の馬・ロイヤルホープが競走馬になる訓練を受けるも、警戒心が極端に強く、広中と栗須が共にジョッキー探しに乗り出すことになる――。
『ザ・ロイヤルファミリー』ではこれまで、耕造やライバルの椎名善弘(沢村一樹)ら「馬主」をはじめ、「調教師」「生産牧場」と、表舞台だけでは見えない競馬の世界や、その人間模様を丁寧に描き出してきた。
安藤演じる広中には、第2話でフォーカスが当てられ、「変わり者」とも称されつつも、馬と真摯(しんし)に向き合い、それまで未勝利だったロイヤルイザーニャを見事勝利に導く“愛のある”調教師を好演。今回、広中を演じるにあたって、安藤は実際にトレーニングセンターを訪れたり、調教師に話を聞くなどの機会を持ったという。
「トレーニングセンターに行って、そこで調教師の方から、調教師が普段どういうふうにしているかとか、レースに向かうためにどうやってメニューを組んでいくか、みたいなことを見せてもらいました。これまで競馬のことには一切無知で、広中を演じながら覚えていっています」
これまで出演してきた大河ドラマや映画などで馬にまたがるシーンもあり、馬とはすでに“共演”経験もあったため、「初見というわけではなかったんです」と振り返りつつ、「今回みたいに常に馬と触れ合うという機会はなかったので、最初はやっぱり体も大きいし、めちゃくちゃ怖いなって思いました。ポスター撮影の時は、特にそうでしたね」と、率直な感想を明かした。
そんな中、今では馬に対して、別の思いが芽生えているという。
「今は、すごくかわいいなって思います。今回、トレセンや競馬学校だったり、たくさんの馬を目の前にして、最初に馬に対して感じた怖さから、だんだん目も慣れてきて。馬に対して愛情のある広中という役でもあるので、役に比例して馬に対する気持ちが乗っていったというのはあります」
続けて、「この作品に携わる全ての方々に気合いが入っているなと感じます。原作者の早見和真さんも、聡も、浩市さんも、やっぱりその“熱”を見ていると、すごいドラマに自分も関わっているんだなと思います。その温度に対して、自分も応えていきたいです」と意気込んだ。
また、映画『69 sixty nine』(2004年)で青春を共に過ごす親友同士を演じ、本作のキャスト発表時には「69コンビ」とも話題になった妻夫木とは、『スマグラー おまえの未来を運べ』(2011年)以来の共演となる。「聡とは、22歳ぐらいの時から一緒で、ご飯に行ったりすることもあります」とプライベートでの親交もあると明かす。
「俺は役者の方との交流ってあんまりないんです」といい、「聡が現場にいてくれることで安心感みたいなものは、すごくあります。聡がいるから、現場が楽しいみたいなのもありますね」と、その存在を心強く感じていると強調した。
気の合う関係の理由を聞くと、「そうですね……すぐに言葉がたくさん出てくるわけではないんですけど、『馬が合う……』、いや、だめですね(笑)。でも本当に、馬が合うというのはあると思います」。
競馬場や厩舎など、特殊な環境での撮影もある今回。撮影現場では、「馬を刺激させちゃいけないので、そこは皆さんすごくセンシティブに考えています。馬は1回スイッチが入っちゃうと、すごくナーバスになってしまうので」と、特殊な現場ならではの雰囲気もありながら、ここでも頼りになる妻夫木の姿が。
「現場では聡が、馬を刺激させないように、みんなにちゃんと伝えてくれています。やっぱり座長が言うことはちゃんと聞くというか……“調教”されています!(笑)」とユーモアも交えながら、撮影現場の様子を語った。
「主演の聡が、座長として気持ちよく走れるように、俺も現場にいられたらいいなと思います」と、変わらぬ“コンビ愛”ものぞかせた。

「グッと来た瞬間」 “心が動いた”名シーンの舞台裏
妻夫木とは、新潟競馬場での撮影で「心が動く」シーンも“同時に”体験したと振り返った。
「1話で、栗須が耕造に自分の思いを伝えるシーンを生で見ていたんです。それがすごく良くて」と明かし、「生の芝居も良かったのですが、放送も見て、映像になると音源も入ったり、美しさと素晴らしさと、強さがありましたね」と感想も語った。
「ああいう時に、役者っていいなと思います。心が動く瞬間でした。そのくらい、あの時の聡の芝居は、とても良かったです」と称賛。さらに「聡は現場のリハーサルからすごく気持ちが入っていて『感情を届ける』ということをやっていたので、その“感情”が見られて、グッと来た瞬間でしたね」と続けた。
「きっと集中したいと思ったので、俺は聡のそばには行かないようにしていたんです。そのシーンが終わったら聡のほうからこっちに来てちょこんと座って、横で呼吸を整えていて。グッと来た、とその場で聡にも伝えました」と、舞台裏のエピソードも披露した。
俳優歴30年。写真や映像など“作り手”としても活動する安藤だが、「ニューヨークにいる仲のいい友人で、現代アーティストの松山智一君から最近、『芝居と写真が両方できる安藤君は光ってるよ』とうれしいメッセージをもらって、表現者としてより気合いが入りましたし、この作品にかける思いが強くなりました。芝居も写真も永遠に続けることはできないので、常に全力でありたいなと思っています」と前を向く。
新潟での本作の撮影時には、写真家としての別のプロジェクトも進めつつ、「ちゃんと、自分なりの“リズム感”で芝居ができて、両方をごまかしなくできたのは、うれしかったですね」と達成感もあった。
「本当に両方大事なんです。芝居についてもそうですし、写真も、音楽についても、とにかく熱く伝えたいことはたくさんあります」と熱い思いを述べた。
本作は、『ラストマイル』(24年)、『グランメゾン・パリ』(24年)など数々の名作ドラマを世に送り出してきた塚原あゆ子氏が演出を手がける。「2話の放送後に、塚原さんからメッセージをいただいて、ありがたかったですね」と手応えもつかんだ。
「作品の中でも、本番を重ねるごとに強くなっていくというセリフがあって、それにちょっと近いような感じもあります。本番を重ねて、現場にいながら調教やレースについてもいろいろと学んでいって、いろんなレイヤーが出てくる」と、壮大なストーリーの中で回を重ねるごとに深みを増す広中の姿が見られそうだ。
第4話は、「ロイヤルホープのレースのシーンが、やっぱり見どころだと思います」と話す安藤。「“天才ジョッキー”がどうなるのか……。レースのシーンは、とにかく1番大きい見どころだと思います」と、過去に問題を起こし岩手にいた佐木隆二郎(高杉真宙)の登場についても触れた。
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