外国人女性が日本の食文化に衝撃 死のリスクある“危険食材”に「怖くて食べられません」
日本の食文化はアジア圏と共通点が多いと言われている。ただ、外国人が実際に日本で暮らしてみると、全く同じ料理でも食べ方が違っていたり、近い料理でも微妙に異なることがある。中国・上海から初来日し、都内で働くZ.Xさんもまた、数々の新しい気づきがあった。

住んで分かった 日本は「一人で食事をする人に優しい国」
日本の食文化はアジア圏と共通点が多いと言われている。ただ、外国人が実際に日本で暮らしてみると、全く同じ料理でも食べ方が違っていたり、近い料理でも微妙に異なることがある。中国・上海から初来日し、都内で働くZ.Xさんもまた、数々の新しい気づきがあった。
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東京・港区のコントロールソリューションズ株式会社に勤務するZ.Xさんは、2024年3月に来日した。
きっかけは、上海で語学学校に通ったことだ。
「私が上海で働いていた頃、会社の近くに日本語の語学学校がありました。仕事帰りに通いやすかったので、そこで日本語を学ぶことにしました。学校は日本人教師による授業を特色としていて、毎晩のように会話クラスが開かれ、先生と自由に話せる時間がありました」
講師と会話を重ねるうちに、中国とは異なる日本社会の一面を少しずつ知るようになった。
「最初に日本語を学び始めたときには、日本に行くつもりは全くありませんでした。けれども、日本の先生方との交流を通じて文化に触れ、さらに周囲の同級生が次々と日本へ留学していく姿を見ているうちに、私自身も次第に『日本に行ってみたい』という気持ちが芽生えていきました」
上海は東京と並ぶ中国の大都市だ。しかし、日本に初めて来た時、Z.Xさんは戸惑いの連続だった。
「まず電車がとても複雑に感じました。実際に電車で迷ったこともあります。同じ路線なのに行き先が違うということに驚きました」
上海の地下鉄は世界最大級の規模を誇る。対する東京は首都圏全体に鉄道網を敷いており、路線が複雑なのが特徴だ。同じホームから出発しても行き先が全く異なることも多い。
エスカレーターでは左側に立つのも印象的だった。中国では右側に立つ習慣があるためだ。さらに日本ではバスの運賃が電車より高いケースがあることにも驚いた。中国ではバスは40円程度と非常に安く、経済的な移動手段になっている。
一方で、レストランに入ると、新鮮な発見もあった。
「『1人で食事をする人に優しい国』だと感じました。たとえ1人で食事をしても気まずくなく、多くの飲食店には一人用の席が用意されていました」
日本では居酒屋やファミリーレストランであっても“おひとりさま”が歓迎される風潮がある。1人焼肉専門店も人気だ。こうした傾向は中国から見ると珍しいという。
また感動したのは、障がいのある人への配慮が行き届いていることだった。
「バスや電車には車いす利用者をサポートするための設備が整っていて、安心して乗り降りできるようになっています。特に驚いたのは、ある日、車いすに乗った方が電車に乗ろうとしたときの光景です。複数の駅員さんが次々とリレーのように案内をし、その方が安全に乗車できるよう全力で支えていました。たった1人のために、これほどまでに心を砕いて尽力する姿を目の当たりにし、人の温かさを強く感じました」
点字ブロックが物でふさがれていることもなく、信号機には視覚障がい者のための音声案内が備えられている。
「これらの設備や取り組みは、単なる形だけのものではなく、本当に障がいのある人のことを考えて設けられている――そのことに深い感動を覚えました」と振り返った。
文化の違いを感じたのは、食事も同様だった。
中国と日本は米食や麺など数々の共通点がある。
「びっくりしたのは、日本では主食であるご飯に対するこだわりがとても強いことです。特に印象的だったのは、水ギョーザを『ご飯のおかず』として出される場面でした。中国では、水ギョーザやワンタンは米飯と同じように主食として位置づけられていて、ご飯と一緒に食べることはありません。水ギョーザにご飯を合わせるのは、まるでラーメンにご飯を合わせるような違和感がありました」
中国のギョーザは、水ギョーザが主流。焼きギョーザも主食扱いで1度に15~20個食べる。白米と数個のギョーザを組み合わせた日本の「ギョーザ定食」のような献立は一般的ではない。
また、ギョーザは中国では「元宝(げんぽう)」の象徴とされている。旧暦の大みそか(春節の前日)に水ギョーザを食べる習慣があり、ギョーザの形は古代中国の貨幣である元宝によく似ている。大みそかにギョーザを食べることは、「来年も財がどんどん舞い込むように」という願いが込められている。

「怖くて食べられません」テレビで衝撃…抵抗感のある食べ物とは
日本で大好物になったメニューもある。それは、意外にもパフェだった。
「アニメ『銀魂』にもよくパフェが登場しますよね。当時アニメを見ていて、『フルーツやクリームが混ざったアイスのようなデザートはきっとおいしいに違いない』と思っていました」。新大久保で挑戦し、期待通りの味だったそうだ。
逆に、どうしても食べられないというのが、日本のお餅。
「餅を嫌いなわけではありません。ただ、ドラマで餅を食べて喉に詰まらせる場面を見たことがありますし、私は食事のスピードが速いタイプなので、餅は喉に詰まりやすくて怖くて食べられません」と苦笑した。
「中国にも『餅』にあたるものはありますが、それは『湯円(タンユエン)』と呼ばれ、日本のお餅ほどもちもちしていません」
日本の正月に欠かせない伝統料理。食べてみたい気持ちはあるものの、抵抗があるのは、日本の番組の影響があった。
「深夜番組『月曜から夜ふかし』で、マツコ(デラックス)さんが『新年に1人で餅を食べて喉に詰まらせて亡くなるなんて、あまりにもかわいそう』と話していたのを見て、衝撃を受けました。日本のお餅って死んでしまうんだ。とても怖いなという印象が強く残っているので、食べることができません」
2022年に放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも、源頼朝が年餅を食べて喉に詰まらせるシーンを覚えている。「中国のガイドブックで注意喚起を見たことはありませんので、日本のお餅について中国で知る人はあまりいないかもしれません」と、中国ではなじみの薄い食材であることを付け加えた。
刺激にあふれる異国での生活。今ではすっかり日本に慣れ、仕事にも力が入る日々だ。コンサルティングのチームの一員として内部統制やリスクマネジメント、経理関連業務支援などのプロジェクトに従事。マネジャーやシニアコンサルタントの指導の下、担当分野における作業、分析、手続きを効率的かつ確実に遂行し、適切な監査調書や報告書を作成している。
「現在の職場では日本語、英語対応の業務があります。友人にはアメリカ人と日本人がいて、集まって話すときは基本的に英語を使います。両方の言語を扱えるものの、しばしば理解のそごが生じてしまうことがあります。そのため、今後1年以内に日本語と英語をより流ちょうに話せるようになることを目指しています」
また、1~2年以内にUSCPA(米国公認会計士)試験に合格することを目標にしている。専門知識をさらに深め、自分を高めていきたいと考えている。
「生活面では、より多くの人を助けられるようになりたいと願っています。そして、自分が受け取ってきたすべてに感謝したいと思います。精神的な支えから物質的な支援まで、これまで本当に多くのものを与えていただきました。いつか自分も、誰かにとっての『blessing(恵み)』になれるよう努力していきたいです」
Z.Xさんは希望に満ちた表情で締めくくった。
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