覆面アーティストとして音楽活動開始…話題作にも次々出演 22歳・藤原大祐、「絶望」乗り越え叶えた夢

今年7月期の日本テレビ系連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』でクールな高校生役を演じ注目された若手俳優・藤原大祐。2020年に俳優デビューし着実にキャリアを積む一方で、優れたピアノの演奏技術とソウルフルな歌声を持つシンガー・ソングライターの顔も持つ。今年音楽活動3年目を迎え、29日に初のラブソングに挑戦した新曲『好き』をデジタルリリースした。そこでENCOUNTは表現者としての多才な22歳にインタビュー。前後編にわたって掲載する。前編は「音楽との出会い」。

音楽活動について語った藤原大祐【写真:藤岡雅樹】
音楽活動について語った藤原大祐【写真:藤岡雅樹】

初のラブソングに挑戦した新曲『好き』をリリース

 今年7月期の日本テレビ系連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』でクールな高校生役を演じ注目された若手俳優・藤原大祐。2020年に俳優デビューし着実にキャリアを積む一方で、優れたピアノの演奏技術とソウルフルな歌声を持つシンガー・ソングライターの顔も持つ。今年音楽活動3年目を迎え、29日に初のラブソングに挑戦した新曲『好き』をデジタルリリースした。そこでENCOUNTは表現者としての多才な22歳にインタビュー。前後編にわたって掲載する。前編は「音楽との出会い」。(取材・文=福嶋剛)

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 2022年10月、藤原は覆面アーティストのTiU(ティーユー)として登場し、ジャジーで軽快なピアノの演奏と美しく伸びのある歌声を自身のYouTubeチャンネルから発信した。すると、SNSで拡散され「正体は誰だ?」といったコメントが多数寄せられた。その後、俳優として頭角を現した24年に藤原大祐として正体を明かし話題に。そんな藤原の音楽の原点についてまず話を聞いた。

――ピアノを始めたきっかけを教えてください。

「幼い頃に親に習い事をいくつか体験させてもらい、最後まで興味を示したのがピアノだったそうです。ただその頃は習いごとのひとつで小学生の頃は、いつか日本代表になると言って6年間サッカーをやっていました。小学生の間に東京選抜を目指して練習に励んでいたのですが、結局選抜選手に選ばれることはありませんでした。それで中学では新しいことをやろうと決めて今度はバスケットボールを始めました。そんな中でも最後まで続けていたのがピアノでした」

――では、藤原さんにとって最初の転機は。

「10歳の頃に出会ったジャズピアノです。もともと僕がピアノ好きになるきっかけをくれた先生が引っ越してしまい、母から『そんなにピアノが好きならジャズをやってみたら』と勧められました。実際にやってみたらすごく面白くて僕に合っていたので、そこからジャズピアノにのめり込みました」

――ジャズもいろいろありますがどんなものを弾いていたのでしょう。

「王道のスタンダードです。ジャズバーに行くと必ず置いてある黒本と呼ばれるジャズセッションで使う楽譜集(『ジャズスタンダードバイブル』)があって、それを全部覚えて、実際にベース、ドラム、サックスといったおじさんプレイヤーの皆さんと混じって小さなお店でセッションさせてもらいました。と言ってもまだ10歳そこそこの子どもだったので『坊ちゃん上手いじゃない』なんてお客さんに冷やかされながら立ってピアノを弾いていました」

――将来ピアニストになろうと思ったことは。

「一度も考えたことがなかったです。ただピアノは僕の体の一部みたいな存在だったので、ピアノを弾いている時が一番楽しくて、ピアノとは一生の付き合いになるんだろうなとは思っていました」

――他にもいろんな音楽がお好きだったそうですね。

「親が洋楽好きで最初は母からもらったiPodに入っていたジャミロ・クワイとレディオヘッドをずっと聴いていましたね。それがきっかけで音楽好きになり、今でも大好きなマイケル・ジャクソンにたどり着きました。個人的に一番好きなアーティストで存在感も歌もダンスも全てに魅了されました」

――弾き語りでマイケルを歌ったりしましたか。

「実は弾き語りはデビューするまで全くやっていませんでした。その頃は歌とピアノは別物だと思っていたので、歌はひたすらカラオケで鍛えていて、全国採点で1位を獲るためにしょっちゅう通っていました(笑)」

――何度も全国1位を獲得されたそうですが、高得点を狙う秘訣は?

「完全にゲーム感覚です。友達と歌う時もみんな真剣で上手く歌えなかったらすぐに歌い直しをして何度もチャレンジするんです。完全にマニアックな世界でしたね(笑)」

作詞作曲はコロナ禍のステイホーム期間中に覚えた【写真:藤岡雅樹】
作詞作曲はコロナ禍のステイホーム期間中に覚えた【写真:藤岡雅樹】

「自分からつかみにいかないとチャンスは来ない」と気が付いた

――そんな藤原さんが人前で歌おうと決めたきっかけは。

「今の事務所に入ることが決まった時、事前に音楽をやりたいとお伝えしました。ところがデビューのタイミングでコロナ禍の自粛期間に入り、音楽活動はしばらくできないため、先に俳優として『おじさんはカワイイものがお好き。』(日本テレビ系)と『恋する母たち』(TBS系)の2本のドラマに出演させていただき、それ以外はずっと家にこもっていました」

――コロナ禍の影響をもろに受けてしまったと。

「今はこうやって振り返ることができますけど、あの頃は先が見えなくて絶望を感じました。そんな時にYouTubeを見ていたら、アーティストの皆さんが音楽で励まそうと弾き語りをやっていて僕自身がものすごく救われたんです。その時、『自分からつかみにいかないとチャンスは来ないから、待っていたらダメだ』と気が付きました。それですぐにやったことのない作詞作曲に挑戦して出来上がったデモトラックを事務所の人に聴いてもらいました」

――その結果はいかがでしたか。

「音楽活動をやってもいいと許可をいただき、覆面アーティストのTiU(ティーユー)として活動を始めました」

――ミュージシャンとしての夢がかなった訳ですね。

「もちろん音楽活動をやりたいと言って芸能界に入った訳ですが、そもそも表に立つような職業なんて考えていなかったのに、たまたま僕の写真が事務所に渡って、俳優を始めて、気が付いたら自分で曲を書いてそれがサブスクに上がっていて……。そう思うと全てが偶然の重なりというかとても不思議に感じました」

――芝居と音楽、両方をやってみていかがですか。

「役者の仕事は誰かが考えてくださったものを、どう演技し見せるかみたいなところだとしたら音楽は裸になった自分の姿をどう見せるかみたいなところがありますね」

――役者としての経験が音楽に生かされている場面はありますか。

「あります。曲を作る時の発想や歌詞の世界観を広げる作業は芝居をやってきたからこそ生まれてきたものだと思います。歌詞は連想ゲームみたいに次々と想像を膨らませて作っていくことが多くて、曲作りは無の状態で感情の赴くままに作っているんですけど、それはジャズを弾いている時に近い状態かもしれないです。ただ芝居も『用意スタート』から『カット』までの役を演じている間は同じように無の感覚なんです。もちろん、そこに至るまでの事前の準備があっての話なんですが、役作りの経験があったからこそ、余計なことを考えずに無心で音楽と向き合える自信が生まれたのかなって。だから先に芝居を経験してよかったと思います」

□藤原大祐(ふじわら・たいゆ)2003年10月5日生まれ。東京都出身。19年より芸能活動を開始し、俳優として20年3月にテレビ朝日系ドラマ『女子高生の無駄づかい』で俳優デビュー。24年にNHKドラマ『柚木さんちの四兄弟。』で初主演を果たすと、25年は、日本テレビ系ドラマ『ちはやふる-めぐり-』や映画『俺ではない炎上』など話題作に次々に出演。アーティストとしては、22年10月にTiU(ティーユー)として活動を開始し、23年10月に1st EP『SHOW TiME』でメジャーデビュー。翌24年5月にアーティスト名を藤原大祐に変更し、同年10月に1stフルアルバム『pocket beats』をリリースした。25年10月29日に1年ぶりに新曲『好き』をデジタルリリース。特技はピアノで趣味は筋トレとカメラ。

次のページへ (2/3) 【写真】藤原大祐のインタビューショット
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