超特急・草川拓弥が挑む新境地…前科者の役に「今までとは違う僕の一面を」 自身の“難局”も語る

音楽グループ・超特急のメンバーで俳優の草川拓弥が、10月16日からスタートしたカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『地獄は善意で出来ている』(カンテレは木曜深夜0時15分、フジテレビは同0時45分)に主演し、人生の再起にかける前科者の役に挑む。グループではタクヤ名義でパフォーマーとして歩み、俳優業でも確かな存在感を見せる。今、30歳がまぶしい光を放っている。

『地獄は善意で出来ている』への抱負を語った草川拓弥【写真:増田美咲】
『地獄は善意で出来ている』への抱負を語った草川拓弥【写真:増田美咲】

ドラマ『地獄は善意で出来ている』で主演

 音楽グループ・超特急のメンバーで俳優の草川拓弥が、10月16日からスタートしたカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『地獄は善意で出来ている』(カンテレは木曜深夜0時15分、フジテレビは同0時45分)に主演し、人生の再起にかける前科者の役に挑む。グループではタクヤ名義でパフォーマーとして歩み、俳優業でも確かな存在感を見せる。今、30歳がまぶしい光を放っている。(取材・文=大宮高史)

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 カンテレ×フジの動画配信サービス「FOD」の連ドラ第4弾となる本作の舞台は、前科者たちが集まる、ある施設。謎の男が主宰する『元受刑者特別支援プログラム』により、施設のプログラムをくぐり抜けた者には社会復帰のチャンスが与えられる。合格するため参加者同士で力を合わせていこうとするが、実はプログラムの裏には罠が潜み……、というサスペンスだ。草川は、人生の再起を図る傷害の前科がある主人公・高村樹を演じる。樹はプログラムの達成だけでなく、ある思いをもって状況を切り開こうとする。

――まずは、本作のオファーを受けた際の心境をお聞きします。

「お話をいただけたのは、純粋にすごくうれしかったです。ただ、タイトルは率直にすごいワードだなと思いました(笑)。でも僕自身、ミステリーやサスペンス系の作品が好きなので、自分がこれを演じられるんだと思うと、ワクワクしましたね」

――撮影現場の雰囲気はいかがですか。

「実は今回本読みがなくて、現場で、はじめて皆さんと顔を合わせました。だから、皆さんがどんな性格のキャラクターをやるのかは資料でしか知らなくて。撮影の初日も、プログラムをコーディネートする謎の男・カトウから僕らが説明を受けるシーンを中心に撮ったので、朝から夜までほとんど喋りませんでした(笑)。以前に共演したことがある方もいるんですが、お互いに『この人はどんな人なんだ?』って探り合っているようで、ストーリー同様の緊張感がありました」

――演じる樹は前科者という役どころですが、どのように演じていますか。

「お芝居には、初めての要素が多かったです。彼の境遇を経験しようと思ってもできないですよね。ただ、物語の中で樹がどういう思いを持って生きてきたのかな、と想像してみると、お芝居が楽しくなってきたのと同時に苦しい気持ちにもなりました」

――苦しい気持ちになった、というのはなぜでしょうか。

「樹は過去の経験から人を信じられなくなって、あまりコミュニケーションを取ろうとしない性格になっています。けれども芯が強くて、明確な目的を持ってプログラムに臨んでいます。そういうところは好きになりました。境遇は全然違いますが、彼の気持ちがスッと胸に入ってきました」

――そう感じた樹というキャラクターを、どう演じていきましたか。

「『ただコミュニケーションが取りづらい人』に見せようとは思いませんでした。一匹狼だったのが、プログラムの過程で変わっていくものの、抱えているものの深さがふとした表情や佇まいからにじみ出るように演じています」

俳優の活動がグループに与える影響とは【写真:増田美咲】
俳優の活動がグループに与える影響とは【写真:増田美咲】

「もっと落ちぶれて狂ったり、叫ぶような姿が見たい」と言われて

――そしてドラマのタイトルにちなんでお聞きします。草川さんご自身のこれまでの人生で、「地獄」と言えるようなことはありましたか。

「『地獄』と言ってしまうと、ちょっとネガティブすぎるので、そこまでひどい経験はなかったですが(苦笑)、超特急からメンバーが減ってしまった時は、やはり苦しかったですね。初めてホールツアーができたり、5000人規模の会場に立ったりと、ステップアップを実感できていたタイミングでした。だからこそ、突然目の前でシャッターを下ろされたような感覚があって。精神的には『これからどうなるんだろう』と全然安心できませんでした」

――そこからどのようにモチベーションを保ったのでしょうか。

「やっぱり他のメンバーが支えてくれたので、僕も彼らを支えたいという思いがありました。それに、応援してくれるファンの皆さんの存在も間違いなく大きくて、僕の心の中にありました。そこからシューヤ、マサヒロ、アロハ、ハルが3年前に加わってくれて、風向きが変わりました。彼らが来てくれてからは、いいこと続きです」

――では、俳優としての活動が、グループに良い影響を与えていると感じることはありますか。

「もちろんです。作品をきっかけに僕のことを知ってくれて、そこから超特急のライブにまで足を運んでくださる。そこまで興味を持っていただけること自体がありがたいです。俳優としても、お世話になったプロデューサーがまた違う作品に呼んでくれたこともあります。監督やカメラマンさんに信頼してもらえたかな、と思うことが増えました」

――なるほど。それは現場でどんな言葉をかけられた時に感じましたか。

「実は正反対のような評価をいただくこともあって、『自然体でいる姿がよかったからオファーした』とお聞きした時もあれば、逆に『もっと落ちぶれて狂ったり、叫ぶような姿が見たい』と言われた時もありました(笑)」

――すると、今作の樹も一度落ちぶれたところから再起をかける役どころで、草川さんの芝居心が発揮できる機会になりそうです。

「そうだといいですね(笑)。樹も重い過去を抱えていますが、今までいただいた役とは少し違ったベクトルの深さを持っていると思います。彼の心の奥にある純粋さや、物語を通して振る舞いが変わっていく、その繊細な心の機微をしっかりと表現したいです。今までとは違う僕の一面を、この作品を通して受け取っていただけたらうれしいです」

□草川拓弥(くさかわ・たくや)1994年11月24日生まれ、東京都出身。音楽グループ・超特急の4号車で、担当カラーは緑。俳優としてはテレビ東京系ドラマ『みなと商事コインランドリー』(2022年)で連続ドラマ初主演。その後もドラマや映画で出演を重ねる。25年は、映画では2月公開の『サラリーマン金太郎【魁】編』、11月28日公開予定の映画『栄光のバックホーム』、テレビでは7月期の日本テレビ・中京テレビ系連続ドラマ『海老だって鯛が釣りたい』などに出演。

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