復讐のため、怨霊となる…サッカーパンチ×SIEの侍アクション第2弾『ゴースト・オブ・ヨウテイ』プレイレポート
『ゴースト・オブ・ヨウテイ』(PlayStation 5)はソニーインタラクティブエンタテイメントの子会社であるサッカーパンチプロダクションズが開発したオープンワールドアクションRPGだ。

『ゴースト・オブ・ツシマ』の続編にあたるオープンワールドアクションRPG
『ゴースト・オブ・ヨウテイ』(PlayStation 5)はソニーインタラクティブエンタテイメントの子会社であるサッカーパンチプロダクションズが開発したオープンワールドアクションRPGだ。
復讐に燃える流浪人・篤を操作して、美しき蝦夷の大地を駆け巡り、羊蹄六人衆を倒すのが目的である。ダイナミックなアートや渋い剣戟が楽しめる作品だった。
本作の主人公は篤という少女。父母、弟とともに蝦夷地で暮らしていたが、羊蹄六人衆を率いる斎藤という男に家族を殺されてしまう。
以来、篤は16年ものあいだ本土で賞金稼ぎとして修業を行い、復讐の機会を狙っていた。充分に力をつけた彼女はついに蝦夷地へと舞い戻り、ひとりまたひとりと羊蹄六人衆を殺していくのであった。

本作はサッカーパンチプロダクションズの前作である『ゴースト・オブ・ツシマ』の続編にあたる作品だ。とはいえ、前作が鎌倉時代(元寇)を舞台にしていたのに対し、本作は1602年の蝦夷が舞台であり、シナリオ的なつながりはない。どちらから始めても問題ないだろう。
前作が武士の誉れを捨てるか否かという話が軸であったのに対し、本作はオーソドックスな復讐劇だ。ゲーム開始からしばらくはなぜ篤の家族が狙われたのかもわからず、ゲームを進めることで少しずつ全貌が明らかになっていく。
「誉れは浜で死にました」のようなキャッチーなセリフは存在しない代わりに、最初から最後までたっぷりとチャンバラを楽しめるようなデザインになっていた。

全体的なゲームデザインも前作と変わらない。斎藤の配下たちを倒しながら、通貨や資源を獲得し、刀や弓をアップグレードしていくのだ。前作にあった名声システムや歌詠みは削除され、代わりに銭稼ぎや剛力の石碑といったミニゲームや謎解きが追加された。
本作の醍醐味は何と言っても戦闘である。前作でもスタイリッシュながら重厚感のあるチャンバラは楽しめたが、本作はさらにグレードアップしている。
前作では戦闘中に構えを変えていき、敵のパターンに合わせて戦っていたが、本作からは「刀」「二刀」「槍」と武器そのものを変えていく形になった。これにより、見た目にも目まぐるしいアクションが展開することになった。

特に前作で筆者がとても興奮した「一騎打ち」がそのままだったのも良かった。本シリーズが時代劇を踏襲しているという点がよくよくわかる素晴らしいシステムである。
反面、ステルスは今のところ特筆すべき点はない。草むらに隠れて一人ひとり暗殺していくゲームデザインは変わらず、そもそも昨今の3Dアクションゲームのステルスパートについては、どの作品も大きな変化が見られないように感じた。
収集要素は前作をゆうに凌ぐ数が用意されているが、ただ単に置かれているアイテムを探すのではなく、それぞれにミニゲームや仕掛けが施されているため、あまりやらされている感はない。墨絵や地蔵探し、三味線にからくり箱など、どれも雰囲気に合うものばかりだ。

キャラクターについては、個性豊かなNPCが勢揃いしていた前作に比べると、やや薄味に感じてしまっている。そもそも前作では続き物だったサブクエストの「浮世草」が本作では独立しているため、アクションゲームとしてはテンポ良く楽しめるものの、一つひとつの印象が薄まっているのだ。
叔父への忠義と対馬を護るという大義のあいだで揺れていた仁に対し、篤のパーソナリティもそこまでくっきりとは見えてこない。エンディングまでに印象的なシーンが用意されていることに期待したい。

グラフィックについては申し分ないの一言である。前作でも大袈裟なくらい美化された対馬が見られたが、本作の北海道はもはや理想郷かと思うほどに美しい。マップのどこからでも見える羊蹄山は、オープンワールド内に存在するのではなく、サイドダンジョンとしてファストトラベルしてちょくちょく訪れるようになっているのも良かった(あの広大な山を馬で駆けるのはだいぶ骨が折れるからだ)。
本作もまた驚くほどの爆速ロードであり、UI、UXともに非常に快適である。ついつい進めてしまうテンポの良さは前作をゆうに超えているだろう。
全体を通して、純粋進化といえる作品だった。荘厳さすら感じる蝦夷地を放浪し、斬った張ったのアクション活劇を楽しみたいという人はぜひとも遊んでほしい。

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