フリマサイト“偽フィルム”に注意 現像機を壊す恐れも「10万円以上の被害に」 写真店主が注意喚起
メルカリなどのフリマサイトで、「富士フイルムのパトローネ(フィルムケース)」に本来のC-41現像処理ができない映画用フィルムを詰めて販売する悪質なケースが報告されている。群馬県で写真店を営むtetsuyaさんがXで注意喚起したところ、100万件以上の表示を集めるなど大きな反響を呼んでいる。現像機を壊すリスクもあるという“偽フィルム”とは。

「フィルム自体の色が無光沢で真っ黒」だという
メルカリなどのフリマサイトで、「富士フイルムのパトローネ(フィルムケース)」に本来のC-41現像処理ができない映画用フィルムを詰めて販売する悪質なケースが報告されている。群馬県で写真店を営むtetsuyaさんがXで注意喚起したところ、100万件以上の表示を集めるなど大きな反響を呼んでいる。現像機を壊すリスクもあるという“偽フィルム”とは。
「注意してください メルカリ等で正規の富士フイルムパトローネにC-41現像できないフィルムが詰められて売られています もし買ってしまった方は撮影しないでください 現像してくれるお店はありませんので(写真屋さんが現像機に入れてしまうと大きなトラブルになります)」
そう警鐘を鳴らすのは、群馬県で写真店を営むtetsuyaさん。自身もフィルムカメラ愛好家で、郵送による現像やデータ化サービスを手頃な価格で提供しているという。
問題となっているのは、映画用コダック「VISION3」などのシネマ用フィルムを、富士フイルム製のパトローネ(外装)に詰め替えたもの。見た目は正規品に酷似しており、一般ユーザーが見分けるのは困難を極める。
「フィルム自体の色が無光沢で真っ黒です。そしてフィルムの先端は手作業で切ってあります。(2本預かりましたが2本とも手切りですので形が違いました)」
さらにコメント欄では、「パーフォレーション(穴)の形が映画用は上下が少し丸みを帯びている」との指摘もあったという。それ以外に識別できるポイントはほぼなく、購入者の多くは気づかずに撮影してしまう可能性が高い。
tetsuyaさんがこの“偽フィルム”を預かったのは、数年来の常連客からだった。
「詳しくお聞きしましたところ 販売した方に伝え返金を求めたら連絡が取れなくなり 商品を全部消し、コメントのやりとりができない状態にし逃げられたそうです。メルカリ側は購入から14日経ってしまっている云々で対応はしてくれませんでしたとの事」と明かす。
「箱なし」「お得」といった文言で出品されていた可能性が高く、購入者は届くまで真贋(しんがん)を確認できない。tetsuyaさんは「これに限らず偽物の販売はやめて欲しい!」と訴える。
問題の映画用フィルムは、通常の写真用フィルムとはまったく異なる薬品(ECN-2)でしか現像できない特殊なタイプ。そのまま一般の現像機に入れてしまうと、薬品が汚染され、機械全体が使えなくなるおそれがある。
「このフィルムは映画用コダックVISION3ですので間違えて現像機に入れてしまうと現像液全交換&内部洗浄となりメンテに頼めば10万円以上かかります」
実際、他の写真店から「知らずに現像してしまい大変なことになった」との報告も寄せられているという。
ECN-2現像に対応する専門ラボは国内ではほとんど存在せず、1本あたり1万円ほどの手現像でしか受け付けていないケースもある。
この投稿はX上で拡散され、「知らなかった」「注意します」「フィルムユーザー全員に伝えたい」といった声が相次いだ。
「この反響にはびっくり! ですがとてもありがたいです。購入された方は高いお金払って、思い出も奪われてしまう……私達、写真屋、ラボも困りますのでフィルムカメラ使う人にはできるだけ知って欲しいですね!」
フィルム人気の再燃とともに、正しい知識の共有が改めて求められている。
