「金がないから払えない」人のバイクで中学生が事故 賠償拒否に母絶句…「娘は泣き寝入りですか」
盗難された娘のバイクが発見されたものの、思いも寄らない事態に陥った。運転していたのは窃盗犯とは別の中学生で、大阪府内で事故を起こして盗難車と発覚した。未成年であることが状況を複雑にし、賠償請求が暗礁に乗り上げているという被害者の母親は、怒りをにじませながらも苦しい胸の内を明かした。

「なぜ加害側の人権が守られて逃げ得になるのか」ネットで物議
盗難された娘のバイクが発見されたものの、思いも寄らない事態に陥った。運転していたのは窃盗犯とは別の中学生で、大阪府内で事故を起こして盗難車と発覚した。未成年であることが状況を複雑にし、賠償請求が暗礁に乗り上げているという被害者の母親は、怒りをにじませながらも苦しい胸の内を明かした。
「娘が駅前の駐車場に停めてたバイクが盗難にあった。盗難届を出して何ヶ月か経った頃警察から電話があった。娘さんのバイクが見つかったので取りに来てください。いったらこれだった。スプレーで色塗られてて、全く別物になってた。車との接触事故で盗難車と発覚。乗ってた子は中学生の男子だった」
10月12日、事の一部始終をXに投稿したのは、母親のRYOさんだった。
RYOさんによると、娘のバイクが盗難されたのは2024年12月のこと。発見されたのは今年5月で、4月に事故を起こしたバイクが盗難車と分かったからだった。
一般的に、盗難車が発見されるのはまれだ。ようやく届いた朗報を本来なら、喜んでいいはずだった。
しかし、詳細を聞くと、一筋縄ではいかない状況と分かり、がく然となった。
バイクは修復困難な無残な姿になっていた。さらに事故を起こしたのが中学生であることが、この問題を一層複雑にしていた。しかも、窃盗犯とは別人だった。
愛車はホンダのズーマー。被害総額は、弁護士が算出したズーマーの市場価格の平均23万円と、処分費用2万円を合わせた25万円と見積もった。
賠償請求しようにも、わずか14歳の少年が支払える金額ではない。
そこで、親に弁償してもらおうと、弁護士を通じて窓口となった少年の祖父と交渉したが、回答は予期せぬものだった。
「お金がないから払えない。盗んだ人に払ってほしい」
まさかの言い分に耳を疑った。窃盗犯は現在も逃走中。とはいえ、事故を起こしたのは少年だ。その保護者にも責任はあるはず。「うちの娘泣き寝入りですか。頑張ってお小遣いで気に入ったバイク見つけて買ったのに」と、RYOさんは憤る。
“貧しい”という祖父の主張にも疑問符がついた。
少年は祖父と母親の3人暮らしとの情報がある。「よくよく聞いてみたら、母親はバレエ教室やってて、そんな困窮してるとは思えない バレエ留学も何年もしてるみたいだし、祖父もお金ないことないやん? 直接話し合いも避けたいしどうしていいかわからない」。やり場のない怒りがこみ上げた。
「当然保護者の責任があると思っていたが…」法の抜け穴にがく然
弁護士に今後の対応を相談したところ、14歳相手の訴訟は本人のみで親の責任はないとの説明を受けた。ただ、本人に責任を問うことはできても、実際に賠償金を支払える能力があるかどうかは別問題だ。裁判に踏み切ったとしても、「支払い能力はないので取れない可能性が高い」。最終的には、「親を連帯責任とした示談書作って月1万で手を打つ」ことを勧められた。
「未成年が出した損害には当然保護者の責任があると思っていたので驚きました。14歳では責任能力があるとのことですが、支払い能力はほぼないのではないでしょうか。経済的に自立ができる年齢、成人になるまでは、親も責任を負うべきだと思います」。RYOさんは腑に落ちない表情を見せる。
投稿は反響を呼び、ネット上で議論を呼んだ。「これは酷い…」「なぜ加害側の人権が守られて逃げ得になるのか」「出来ないならそれ相応の報いを親に払わせなければ」「示談にせずに刑事事件としてとことん私なら追い詰める」「こういうのがあるから『盗んだバイクで走り出す』奴らがキライなんだよね」「何で被害者面してんだ中学生側」「娘さんに次は良いバイクに乗れて楽しいバイクライフを送れることを願ってます」など多くの声が寄せられた。
RYOさんは「ネット上ではたくさんの人がいろいろな意見をくださり、とてもありがたかったと同時に大変驚きました。ただ全てをうのみにしてしまってはいけないと思うので、ご意見は参考程度に留めながら、家族と弁護士でしっかり話し合い解決していきたいと思います」と話し、引き続き争う姿勢を示した。
窃盗やバイクの“横流し”、事故という複数の犯罪行為に直面しながらも、被害の回復が困難な状況。
この理不尽なオーナーの事例は、未成年による犯罪被害に対する法律制度の在り方について、改めて問題提起を促している。
