【スターダム】9回目の出場で初めて5★STARを制した渡辺桃 上谷沙弥が目指す「東京ドーム」も引き継ぐ覚悟

渡辺桃は、スターダムの真夏の最強レスラーを決めるリーグ戦「5★STAR GP 2025」で念願の初優勝を果たした。前編では32人の出場選手中最多となる9回目の出場での栄冠、Sareeeとの邂逅についてお送りしたが、後編は決勝トーナメントで対戦した安納サオリとAZMについて、そして11.3大田区で戦うワールド・オブ・スターダム&STRONG女子2冠王者・上谷沙弥について語ってもらった。

上谷沙弥との二冠戦について語った渡辺桃【写真:橋場了吾】
上谷沙弥との二冠戦について語った渡辺桃【写真:橋場了吾】

ライバルと呼べる存在はいなかったから、安納の発言は嬉しいは嬉しい

 渡辺桃は、スターダムの真夏の最強レスラーを決めるリーグ戦「5★STAR GP 2025」で念願の初優勝を果たした。前編では32人の出場選手中最多となる9回目の出場での栄冠、Sareeeとの邂逅についてお送りしたが、後編は決勝トーナメントで対戦した安納サオリとAZMについて、そして11.3大田区で戦うワールド・オブ・スターダム&STRONG女子2冠王者・上谷沙弥について語ってもらった。(取材・文=橋場了吾)

 8.23大田区大会。32人の出場選手からベスト4が出揃った「5★STAR GP 2025」の決勝トーナメント準決勝。渡辺桃は安納サオリと対戦した。準決勝のもう1試合はAZMvs吏南。安納以外はここ数年のスターダムを支えてきた生え抜き選手だった。

「(安納とは)5★STARで当たるくらいで、それ以外はほとんど絡みがないかな。多分、目指しているものが違ったんだよね。あっちはずっと白(ワンダー・オブ・スターダム)を狙っていて、私は赤(ワールド王座)やIWGPだから。そもそもコズエン(COSMIC ANGELS)ともあまり当たっていない印象だったね」

 その安納が、渡辺に敗れた後「私は渡辺桃のライバルになりたい」と発言した。

「(安納は)雑草感がある。あの見た目で打たれ強さもあるし、バットをへし折るし、すぐに立ち上がってくる。打撃も強いしね。色々な団体に出ているからかもしれないけど。(ライバル発言については)岩田美香とやり合っていたでしょ? ああいうのを見て“ドラマを作ることができる人”と思っていたけど、私はそういうのは苦手。女の情念で訴えてくるタイプは嫌いなんで(笑)、全く思想が違うのかもしれない。向こうはマイクパフォーマンスもうまいけど、私はああいうマイクはしたくないし。

 でも……嬉しいは嬉しいよ。ライバルと言ってもらえるのは。今までいないんだよ、ライバルらしい人が。岩谷(麻優)は越えなければいけない“壁”で、AZMには(スターライト・)キッドという永遠のライバルがいるし。裏切って以来、そんなに絡んでもいないし。自分の中では、同期や年齢が同じ人がライバルと呼ぶイメージだからかもしれないんだけど」

 当の安納は、その真意をこう話した。

「(渡辺に対して)興味が湧いたんですよね。渡辺桃をもっと知りたいなって。知らないからこそ知りたい、だからこそあえてライバルになりたい宣言をしてからライバルになるのもいいかなって。渡辺桃ってライバルがいる感じがしなかったんですよ。自己主張が激しいわけでないけど、味方にいるとこんなに心強い選手はいない。恋で例えたら、もうちょっとで恋に発展する手前みたいな感じです。長い時間をかけて、“落として”やりますよ」

安納サオリとのライバル関係はスタートするのか【写真:(C)スターダム】
安納サオリとのライバル関係はスタートするのか【写真:(C)スターダム】

上谷からは自信を感じるけど、私が勝って「やらなきゃいけないこと」を引き継ぐ

 そして同日行われた決勝戦の相手はAZM。古くはQueen‘s Questで“桃AZ”としてタッグチームとしても活動している二人が、このシチュエーションで戦ったことについてはどう感じているのか。

「5★STARで優勝すると、公式戦は夏だけど1年の主役になれるというのは思っていて。『5★STAR覇者』って強そうでしょ?(笑) ベルトよりも獲るのが難しい。私は白(ワンダー)を獲っているけど、5★STARは9回出て初めて獲れたわけだし。上谷もAZMもキッドも……ベルトを持っているのに獲れない、色々な強さが合わさって初めて獲れるのが5★STARだと思うよ。決勝戦が『渡辺桃vsAZM』ってアナウンスが聴こえたときに、さすがに笑っちゃったよね。そうだよな、AZMが来るよなって。5★STARの決勝では、白のコスチュームでいこうというのは決めていたんだよね。

 前にイオさん(現WWEのイヨ・スカイ)が5★STARで優勝したときに、コスチュームもメイクも変えていたのを見て『カッコいい』と思ってね、いつか絶対やってやろうと思っていたんだ。(H.A.T.E.の介入を制したのは)H.A.T.E.の皆に助けられた部分はあるし、助けてくれようと思ったんだろうけど、あの試合だけは『1対1で大丈夫』という気持ちだった、相手がAZMだったからね。(フィニッシュの)ピーチサンダーはなかなか出したくないんだけど、ピーチサンライズが返されたから奥の手を出した。王冠とマントはダサすぎるんでつけたくなかったんだけど(笑)、優勝した証だからね」

 5★STAR優勝から1か月、渡辺が動いた。AZMからSTRONG女子王座を奪い、ワールド王座との二冠王となった同門の上谷沙弥への挑戦を表明した。11.3大田区で、渡辺は一気にグランドスラムを決めるつもりだ。

「(上谷は)1年前の映像を見ると全然違う。自信が見えるよね。もともと自信がないような子だったのに、今は自信満々で言いたいことも言っているし、本当に素の上谷沙弥で生きているなと思うよ。試合に関しても自信が出ているし、中野たむとやり合ったことで打たれ強くなったんだろうね。同門だからといって気を抜くわけでもないし、遠慮するわけでもない。二冠チャンピオンの上谷沙弥と戦うイメージだから、H.A.T.E.というくくりは除いていいのかなと思っている。セコンドは……じゃんけんで決めるのかもしれないね(笑)。どんな試合になるのか、想像がつかないんだけど、(上谷と同じく元QQ勢の)AZMとの決勝戦とは違う気持ちだよ。上谷が『やらなきゃいけないことがある』と言っているけど、私が引き継げばいいかなって。東京ドームも、私がやればいいと思っているよ」

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