片岡愛之助、大けがからの1年は「あっという間」 “死の危機”を回想「あのまま避けられなかったら…」

歌舞伎俳優の片岡愛之助が9日、東京・中央区の歌舞伎座で行われた「11月歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』」の取材会に出席。2024年の負傷からの復帰を振り返った。

取材会に出席した片岡愛之助【写真:ENCOUNT編集部】
取材会に出席した片岡愛之助【写真:ENCOUNT編集部】

片岡仁左衛門からの言葉に「じーんときた」

 歌舞伎俳優の片岡愛之助が9日、東京・中央区の歌舞伎座で行われた「11月歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』」の取材会に出席。2024年の負傷からの復帰を振り返った。

BMW、ベンツにプジョー…人気女優の“多国籍”な歴代愛車(JAF Mate Onlineへ)

 愛之助は24年11月29日、12月1日から京都南座で開幕する『吉例顔見世興行』の舞台稽古中に舞台装置と接触。上あごと鼻骨を骨折する重傷を負って治療に専念していた。その後、25年3月4日から三月大歌舞伎『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』で舞台復帰し、初役で大星由良之助を演じた。上演前の2月9日に、赤穂浪士が眠る港区・泉岳寺で行われたお参りの場で休養後初の公の場に登場した。

 今回の取材会でこの1年の振り返りを問われると、「本当にもうあっという間で、(けがをしていたことを)自分でも忘れるぐらいで1年って経つの早いなと」と驚き、「けがをして思ったことは、本当に『普通』ということのありがたさ。健康のありがたさ」としみじみ語った。「普通に歩くことができて、普通にご飯がいただける。どこかが痛かったら足を引きずったり、『痛いな』と(感じる生活に)なるじゃないですか。そういうのがなく、芝居を毎日できることのありがたさを身にしみました」と、健康のありがたみをかみしめた。

 また「死に直面すると、『あ、人間って意外と簡単に死ぬんだな』って思って。あのまま(舞台装置を)避けられなかったら即死でしたからね」と明かし、「もちろん僕、登場時は死ぬなんて微塵も思っていませんから。もし僕があそこで即死していたら、今頃、南座の舞台で『出番まだかな』と思ってぐるぐる回って待っていると思うんですよ。これが地縛霊になるのかなって。だって死んだって気づかないわけだから」と想像した。

「それは本当に怖いなと思って。そう思うと、やっぱり命のありがたさというか。『日々、悔いのないように生きよう』と、なお一層思いましたね。特に最近、近しい人とのお別れも多いので、自分もそういう年になってきたと思うと、なおさら自分も相手もどうなるか分からない。日々悔いのないように1日を努めることに全力を注ごうと、退院してから思いましたね」

 2月の泉岳寺の取材会の前には、片岡仁左衛門から声をかけられたという。「けがをしてから初めて、その取材会で会ったのですが、『本当に無事で良かったね。亡くなるところだった命を救われた。“生かされた”ということは、何らかの君の使命があるんだから、それをきちっと背負って頑張って生きていってください』と言われて。なんか、じーんときました」と振り返った。

 11月の歌舞伎座は昼夜二部制での開催。昼の部では江戸時代幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者・河竹黙阿弥の『曽我綉侠御所染 御所五郎蔵(そがもようたてしのごしょぞめ ごじょのごろぞう)』を上演する。同作は、元大名家の家臣で現在は侠客の御所五郎蔵が、星影土右衛門と傾城の皐月をめぐり一触即発となり、男の意地を張り合う物語。男伊達の粋と意地を鮮やかに見せる。愛之助が御所五郎蔵を、星影土右衛門を尾上松緑、与五郎を松本幸四郎が演じる。また夜の部は、脚本家・演出家の三谷幸喜による作・演出の『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン) 幕を閉めるな』を上演。愛之助は座元藤川半蔵を務める。

 愛之助は2024年11月に東京・立川市で開催された『立川立飛歌舞伎特別公演』で『新版 御所五郎蔵』に出演。今回は松緑や幸四郎ら同世代との歌舞伎座共演に「ありがたい顔ぶれ。一座をしていても(それぞれが)バラバラで出ることが多いので、ありがたくうれしく思っています。これを歌舞伎座で務めさていただく。こんなにうれしいことはございません」と喜んだ。また“三谷歌舞伎”については、「台本を読んだ時点で既に面白かった。稽古初日のあいさつで三谷さんが、『歌舞伎座が始まって以来、こんなにドッカンドッカン笑いが起きるのか? というぐらい笑いを取りますから』とおっしゃっていて。僕らもドッカンドッカン笑っています」と明かした。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください