プロレスを知ったのはキン肉マン…三沢さんがヒーローだった少年時代 清宮海斗が誓ったノアへの恩返し

プロレスリング・ノアの新世代のトップランナーとして走り続けている清宮海斗だが、もちろんここまで順風満帆なプロレス人生を送ってきたわけではない。今年は元日にいきなり後輩のOZAWAに敗れGHCヘビー級王座を手放し、ユニット・ALL REBELLIONの盟友である拳王も離脱してしまった。しかし清宮は、荒波にもまれながらも新しい航海を模索している。12月にデビュー10周年を迎える清宮に、自身のプロレス人生を振り返ってもらった。

記者会見で厳しい表情を見せる清宮海斗【写真:橋場了吾】
記者会見で厳しい表情を見せる清宮海斗【写真:橋場了吾】

アニメもリアルも「プロレス」に違いはなかった

 プロレスリング・ノアの新世代のトップランナーとして走り続けている清宮海斗だが、もちろんここまで順風満帆なプロレス人生を送ってきたわけではない。今年は元日にいきなり後輩のOZAWAに敗れGHCヘビー級王座を手放し、ユニット・ALL REBELLIONの盟友である拳王も離脱してしまった。しかし清宮は、荒波にもまれながらも新しい航海を模索している。12月にデビュー10周年を迎える清宮に、自身のプロレス人生を振り返ってもらった。(取材・文=橋場了吾)

 清宮海斗がプロレスを知ったのは、アニメ『キン肉マンⅡ世』がきっかけだった。

「小学校の低学年頃ですかね、たまたまテレビで見て『面白いな』と思って、アニメからリアルのプロレスにたどり着いたパターンですね。リアルのプロレスで最初に見たのがノアでした。家族でレンタルビデオ屋さんに行って、いつも『キン肉マン』を借りていたんですけど、その近くにプロレスのビデオもあって、有明コロシアムの試合(2001.4.15、三沢光晴vs高山善廣の初代GHCヘビー級王座決定戦)で初めてプロレスを見ました。アニメもリアルも、僕の中では違いがなかったですね。アニメで起きていることを、現実でできる人間っているんだ!と思って。こんなに人が投げ飛ばされても立ち上がれるのかと。それからノア以外にも大日本プロレスやDDTも見ていましたね」

 そんな清宮少年がレスラーになろうと強く決意したのは、2013年6月13日のあの出来事だった。

「小学校・中学校・高校と常にプロレスラーになりたいとは思っていたので、ずっとそういう思いを抱いてはいました。ただ、これは判断が難しいところではあるんですが、三沢さんが亡くなられたとき、僕は中学2年生だったんですが、そのニュースを見たときに『プロレスラーになりたい、ノアに入りたい』という気持ちが強くなったんです。ノアに入って、恩返しをしたい。三沢さんは僕にとってずっとヒーローで、夢を見させていただいて、日々エネルギーをいただいていてので、少しでも自分ができる恩返しはないかという思いでした。(筆者「今の清宮さんの立場は運命的なものを感じます」)本当にこれは周りのご縁というのがあって、ですね」

最近のフィニッシャーはスカイウォーク・エルボー【写真:(C)プロレスリング・ノア】
最近のフィニッシャーはスカイウォーク・エルボー【写真:(C)プロレスリング・ノア】

入門後は練習がきつすぎて筋肉痛を治すために“湿布人間”になっていた

 清宮は高校時代、部活には入らなかった。しかし、プロレスラーになるための基礎練習は欠かさなかった。

「高校2年生のときに、プロレスラーになるために1年間は基礎トレーニングを続けようと思って、『スクワット1000回、プッシュアップ700回、腹筋700回』という練習を課して、入門テストまで毎日繰り返していました。スポーツの部活に入らないで基礎練習をしていたって、ちょっとおかしいですかね(笑)。自分で武道系の部活がない学校を『楽しそう』という理由だけで選んだんですけどね。それで自主トレをするという身勝手なスタイルでした(笑)」

 清宮は2015年3月に高校を卒業しノアに入門し、同年12月にデビューを果たす。

「練習はきつすぎて、毎日全身に湿布を貼っていましたね。筋肉痛のまま次の練習に行ったら、どうなるんだと。少しでも筋肉痛を和らげたいと思って、湿布人間みたいになっていました。(OZAWAがクラシックな練習は意味がないと言っていたが)当時の練習はめちゃくちゃ役立っていますよ! プロレスラーは超人ですからね。他の人がなかなかできないことをやっている人間がリングに立てるものだと思っているので、ケガにつながる練習は良くないですけど、スクワットを1000回やることで持久力が付きますしね。スクワットって、練習の最後の最後にするんですよ。プッシュアップ、腹筋のような基礎をやって、スパーリングや受け身の練習をしてからスクワットなんです。だからめちゃくちゃきついです。きついんですけど、一番つらいときに頑張れるかどうか、そういう気持ちの部分も鍛えられるんですよね」

 その後、清宮は3度ノアの最高峰王座であるGHCヘビー級王座を戴冠している。後編では、その3度の王者時代、そして10.11両国国技館大会でタッグを組む棚橋弘至(新日本プロレス)の話を。

(8日掲載の後編へ続く)

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