SHINee・オンユが3年ぶりの武道館公演 ファンへ伝えた「分かち合い」のメッセージ【ライブレポート】
K-POPブームを築き上げた立役者、SHINeeのリーダー・オンユが、約3年ぶりとなる日本リリースのミニアルバム『SAKU』を引っ提げ、今月3日から3日間に渡って東京・日本武道館でコンサートを開催した。ENCOUNTは、5日の最終公演をレポートする。

全16都市を巡るツアー
K-POPブームを築き上げた立役者、SHINeeのリーダー・オンユが、約3年ぶりとなる日本リリースのミニアルバム『SAKU』を引っ提げ、今月3日から3日間に渡って東京・日本武道館でコンサートを開催した。ENCOUNTは、5日の最終公演をレポートする。(取材・文=生島マキ)
会場を埋め尽くすペンライトの光。開演前から「オンユ!」というコールが散りばめられていた。
今回のライブは、ONEW Japan 2ndミニアルバム『SAKU』を発売し、同時に7月に韓国でリリースされたセカンドフルアルバム『PERCENT』のワールドツアーの一環でもある日本公演。米国8都市を皮切りに、日本、アジア(香港、バンコク、高雄)、欧州(パリ、ロンドンなど)を含む全16都市を巡るツアーで、日本はその4都市目にあたる。
3年ぶりの日本武道館3DAYS。定刻の午後3時3分前、ミニアルバムのタイトル曲『花のように』のミュージックビデオが大型ビジョンに映し出された。映画のように美しい映像に観客がひきつけられていると、突然、「ドンドンドン」と重低音が鳴り響いた。次の瞬間、『ANIMALS』が宙から小さく流れ始めるが、ステージはまだ“ONEW THE LIVE PERCENT(%)”のロゴが映し出されているまま。オンユの姿が見えるかと思いきや、音だけが流れる演出に会場がどよめいた。ファンは自然と掛け声を重ね、待ち焦がれたその瞬間を迎えた。
曲がクレッシェンドしていくと同時に興奮も高まり、映像の中のオンユが現れた。デスクに座り、何かを書き留めている彼が、ふと多面体の黒いキューブを手にした瞬間、画面がグリッチノイズに包まれた。歓声が爆発した。
オープニングは『PERCENT(%)』。メインステージには、3階建ての建物のようなセットが組まれ、6つの箱(部屋)が立体的に配置されている。四隅に生バンド、中央の部屋にオンユが姿を見せた。水色のツイード風ジャケットに黒のパンツ――そのスタイリッシュな装いでステージに降り立つと、武道館の空気が一瞬で変わった。
『No Parachute』『Yeowoobi』と人気曲を立て続けに披露。伸びやかな高音と包み込むような低音、そのどちらにも“オンユらしい温度”が宿った。
「いらっしゃいませー!」
その第一声にいい意味で驚き、会場が一斉に笑顔になる。“かわいさ”と“クールさ”の二面性こそが彼の魅力だ。4曲目『夜明けの世界』では、朝焼けに咲く花々の映像とともに、彼自身も満面の笑顔を見せた。そして、オンユの「ただいまー!」にファンは「おかえりー!」を返した。
「今回はCONNECTION(2025年2月)から7か月ぶり? あの時、早いうちに会いに行きますって約束したけど、その約束を守るためにがんばりましたよー! パーセントの形!」
そう言って、オンユが体で%のポーズを作ると、会場が歓声に包まれた。
「今日は100%以上の感情を分かち合うために、最後まで一緒にお願いしますね」
流ちょうな日本語で語りかけ、照れ笑いを見せた直後には、圧巻の歌声でバラードを届ける。笑顔と歌声、そのギャップが観客の心を強く惹きつけていく。
6曲目『Conversation』では、アリーナのサブステージに移動。ダンサーとともに軽快なステップを刻み、観客も自然と体を揺らす。続く『MAESTRO』では、マイクを持ち上げて振り回し、水が跳ねる映像とシンクロする演出が映画のようにドラマチックだ。

「アルバムの中だと『花のように』が一番好き」
中盤の映像では、再びキューブを操るオンユの姿が。ソファに座る彼がキューブを回すと画面がグリッチする――この不思議なアイテムが何を意味しているのか、会場の視線が釘付けになった。
『Winner (Stripped Ver.)』からは、しっとりとしたムードへ。日本語カバーのコーナーではMISIAの『Everything』を披露。澄んだ声が武道館を包み、観客が息をのんだ。
その後、『Epilogue』、ミニアルバムのタイトル曲『花のように』へと続いた。
「この花が咲くまで僕はただ息をしていた、花のように」
大型ビジョンにはその一文が映し出され、観客は静かに心を震わせた。
リリックと照明が溶け合い、武道館全体がやわらかな花の色に染まっていく。リズミカルな『Sunshine』、大合唱曲『メリョク』では、オンユがステージいっぱいに駆け回り、サブステージにペタンと背から倒れ込むほどの熱量で魅せた。
2度目のMCでは、息を整えながら笑った。
「もう充電ない(笑)。ここまでで、みなさんどの曲がよかったですか? 自分はアルバムの中だと『花のように』が一番好きです。あと、『KIMI=HANA』も気に入っていて、他のツアーでも歌おうかなって。アルバム『PERCENT(%)』も愛してくれてありがとう」
そして、集まったファンへ「分かち合い」というテーマを伝えた。
「1万でも、10万でも%を上げて、みんなで幸せになりましょう」
再びステージ中央へ戻ると、気に入っているという『KIMI=HANA』から後半戦がスタート。ラストは『PERCENT』収録曲『ANIMALS』を大熱唱し、本編を締めくくった。

「早いうちにまた会えるように頑張ります」
オンユの日本語は自然体で、まるで友人のような距離感を感じさせる。その優しさが観客の笑いと歓声を誘い、会場全体が家族のような温かさに包まれていく。かわいさと大人の魅力――その振り幅こそ、彼の真骨頂だ。
アンコールを求める「イ・ジンギ、サランへ」の声が響くと、ビジョンが反応。じじじっとグリッチノイズが走り、“99.9%”の文字が浮かび上がった。100%まで、あと0.1%だ。
あのキューブは、まさにその“つながり”への伏線だった。アンコールでは、大きなうさぎのリュックを背負い、猫耳ニット帽、白いTシャツにストライプの野球シャツを重ねたキュートな姿で登場。『Oreo Cake』で無邪気にはしゃぎ、『マンセ』ではアリーナに降りてファンサービスを連発。『Cause I believe in your love』の最後のサビでは、ペンライトが一斉に揺れ、光の海が波打つように広がった。
「3日間、あっという間でした。もっと歌いたかったし、まだみなさんとやりたいことがたくさんあります。だから、早いうちにまた会えるように頑張りますね。もし今まだ100%じゃない方がいたら、これから100%になってもらえたらうれしい。1万も、10万も、100万も――幸せの%が上がっています」
そう言って深く頭を下げたオンユの声は、静かで優しく、どこまでも真っ直ぐだった。そして、ダブルアンコールでは「幸せだー!」と叫び、屈託のない笑顔を見せてステージを後にした。
