GT-Rやフェラーリどれも貴重な200台…道の駅に旧車・スーパーカー大集合 福島・浪江町で初開催

貴重な旧車やスーパーカーが、福島・浪江町に大集合――。カーイベントを通して震災復興につなげようと、「第1回 名車の祭典 in浪江町」が5日、道の駅なみえで開催された。自動車が好き・バイクが好きという「熱い思い」をテーマに、愛好家たちが友人や仲間を誘い合い。初めての試みながら、福島・宮城・岩手といった東北の愛好家から、関東・静岡などのクルマ好きオーナーまで、約200台が参加した。多くの観光客も集まり、会場は大きなにぎわいを見せた。

福島・浪江町で震災復興の願いを込めたカーイベントが開催【写真:ENCOUNT編集部】
福島・浪江町で震災復興の願いを込めたカーイベントが開催【写真:ENCOUNT編集部】

東日本大震災「あの日、これから先どうなるのか不安な日々を過ごしました」

 貴重な旧車やスーパーカーが、福島・浪江町に大集合――。カーイベントを通して震災復興につなげようと、「第1回 名車の祭典 in浪江町」が5日、道の駅なみえで開催された。自動車が好き・バイクが好きという「熱い思い」をテーマに、愛好家たちが友人や仲間を誘い合い。初めての試みながら、福島・宮城・岩手といった東北の愛好家から、関東・静岡などのクルマ好きオーナーまで、約200台が参加した。多くの観光客も集まり、会場は大きなにぎわいを見せた。

 福島県沿岸部の「浜通り」と呼ばれる地域にある浪江町。2011年3月11日に発生した東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故によって、甚大な被害を受けた。町内全域に避難指示が出され、町民は故郷を離れることに。浪江町の公式サイトによると、震災当時の人口は約2万1500人。17年3月の一部避難指示解除以降、徐々に町民が戻ってきており、現在は約2200人が居住しているという。

 震災から立ち直ろうと、町全体で努力を続けている中で、地域の人や愛好家から「なんとかやってほしい」という声を受けて今回、地域振興のカーイベントが実現した。

 午前9時のスタート前から参加車両が続々と駆け付け、会場の駐車場からあふれるほどに。主催者・ふくしま元気応援名車会の紺野芳一代表は開始のあいさつで、「東日本大震災のあの日、これから先どうなるのかなという不安な日々を過ごしましたが、こうして今日生きている証し。好きな者同士が集合し、語り合い、信頼し合い、助け合う。待ちに待った素晴らしい1日がやってきました。最高の1日になるよう盛り上げていきたいと思います」と呼びかけた。

 日産スカイラインGT-Rやハコスカ、フェアレディZ、トヨタ・スープラ、ホンダNSXといった日本が誇る名車をはじめ、フェラーリF430、マクラーレン 600LT、“総額1億円”と言われるランボルギーニなどのスーパーカーも。“スーパーカー軍団”は約15台にもなり、人だかりができた。ケータハム スーパー7といった個性派カーも集まり、圧巻の光景。来場者は熱心に写真に収めていた。

 会場では安全運転のデモ走行も実施され、オーナーたちが自慢の愛車を囲んで笑顔で言葉を交わし、交流を広げる姿が目立った。

会場の道の駅なみえがにぎわった【写真:ENCOUNT編集部】
会場の道の駅なみえがにぎわった【写真:ENCOUNT編集部】

自宅全壊の被災者オーナーも参加

 栃木から参加した自動車愛好家の男性は「このようなイベントを通して多くの人が集まることで、地域が潤うことにつながると思います。愛好家クラブの中には浪江町に宿泊したメンバーもいます。少しでも地域が盛り上がればいいですね。新潟や岩手のオーナーさんとも交流することができて、つながりが広がっています」と実感を込めた。

 福島・いわき市で被災し、自宅全壊の被害から再建を果たしたダットサン・フェアレディ2000(SR311)の男性オーナーは「クルマ好きの仲間が集まることができて、うれしいです。こうしてクルマを楽しめることに感謝の思いでいます。また来年開催されてお声がけいただけるのであれば、ぜひまた来たいです」と笑顔で語った。

 主催者の紺野代表は「私の祖母の実家が浪江町で、震災では身内も友人も何人も亡くしました。(時間が経過する中で)震災のことを忘れないでほしいと思っています。生きている証しを実感したという話をしましたが、このようなみんなで楽しめるイベントを通して、いい形でつながりを生み出すことができると考えています」。来年以降も前向きに開催を検討していくといい、「カーイベントでは他人に迷惑をかけないといったルール・マナーを個人個人が守ることも大事です。これからもみんなで楽しく過ごせる時間を作っていければ」と力を込めた。

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