遠征計画だけで賞金100万円…前代未聞の野外フェス、発起人の思い 「アウトドアは金になる」ブームに違和感

一流の登山家や冒険家、探検家など、名だたる本格派のアウトドアズマンが一堂に会する野外フェス「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」が11月7~9日の3日間、茨城・涸沼自然公園キャンプ場で開催される。出演者はいずれも各方面を極めたプロフェッショナルだが、なぜ今回、このタイミングで初開催する運びとなったのか。イベントの主催者で、自身も旅を愛してやまないという野外活動家の大木ハカセ氏に、立ち上げの経緯と構想を聞いた。

「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」発起人で、新宿・歌舞伎町でバーも営む野外活動家の大木ハカセ氏【写真:ENCOUNT編集部】
「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」発起人で、新宿・歌舞伎町でバーも営む野外活動家の大木ハカセ氏【写真:ENCOUNT編集部】

野外フェス「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」は11月7~9日に開催

 一流の登山家や冒険家、探検家など、名だたる本格派のアウトドアズマンが一堂に会する野外フェス「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」が11月7~9日の3日間、茨城・涸沼自然公園キャンプ場で開催される。出演者はいずれも各方面を極めたプロフェッショナルだが、なぜ今回、このタイミングで初開催する運びとなったのか。イベントの主催者で、自身も旅を愛してやまないという野外活動家の大木ハカセ氏に、立ち上げの経緯と構想を聞いた。

 今回、初開催を迎える「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」。出演者には作家の椎名誠氏を始め、はるかなる人類の足跡“グレートジャーニー”をたどった探検家の関野吉晴氏、銃と最低限の装備のみで食料を現地調達するサバイバル登山家・服部文祥氏、日本屈指の洞窟探検家・吉田勝次氏、日本人初となる南極点への無補給単独踏破を達成した極地冒険家の荻田泰永氏、世界七大陸最高峰でのモーターパラグライダー空撮に挑戦中の空撮写真家・山本直洋氏など、そうそうたる面々が名を連ねている。

 初日の11月7日には、過去の実績や功績ではなく、新たな冒険に踏み出す一歩をたたえる賞「NEWWORLD OUTDOORSMAN AWARD」の表彰式が行われ、応募者の中から最も魅力的な遠征計画を提案した者に遠征補助金として100万円の賞金が贈呈される。「まだ何も成し遂げていない人に、遠征計画だけで賞金というのが面白いでしょう」。発起人で、普段は新宿・歌舞伎町で登山家や冒険家が集うウイスキー・バー「outdoorsman bar ROVERS」を営む大木氏がコンセプトを説明する。

「冒険、探検、登山、その他のあらゆるチャレンジにおいて、一番頭を悩ませてきたのが遠征費の問題です。どんなに偉大な登山家、探検家も最初は名もなき1人の若者。名声を手にする前はスポンサーを得られず、資金調達がチャレンジそのものよりも高いハードルとなってしまっています。私も、今回出演してくれる仲間たちも、何度もその壁の高さを経験してきました。冒険者が新たな世界へ飛び出すための足がかりにしてほしいという思いで、今回、誰よりも面白い遠征計画に100万円を出すという賞を新設したんです」

「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」の公式ビジュアル【写真:「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」公式ホームページから】
「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」の公式ビジュアル【写真:「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」公式ホームページから】

 そもそも、なぜこの時代に、これだけ本格派のアウトドアフェスを立ち上げるに至ったのか。大木氏は、昨今のキャンプブームの始めとしたアウトドアカルチャーの変化について、疑問の思いを口にする。

「アウトドア業界の端くれとして私も偉そうなことは言えませんが、『アウトドアは金になる』とみんながこぞって参入する現状には違和感がある。アウトドアイベントに足を運べば、購買欲や所有欲を刺激するおしゃれなブランド物のアイテム、高性能なギアがきらびやかに展示され、SNSでは使用レビューがあふれ、新しい商品が出れば古いものはすぐリサイクルショップに並ぶ。メーカーやアウトドア雑誌もここぞとばかりにその流れに乗っかっている。そういう消費型のブームを作るのはもうやめにしませんかと。本来、アウトドアとは文化であり、カルチャーであったはず。誰もやらないなら自分がやるしかないなと」

 3日間の開催期間中は、来場者だけでなく、出演者もみな自前のテントを持ち込んで会場内に寝泊り。夜はたき火を囲みながらアウトドア談義に花を咲かせる予定だ。

「よく、世界中を旅してどこが一番楽しいですか? と聞かれますが、北海道で最高のパウダースノーを楽しんだ翌日に、小笠原諸島でダイビングができる、こんなクレイジーな国は世界中探してもそうありません。今回の開催を機に5年後、10年後には日本のアウトドアカルチャーを世界に向けて発信していきたい」と大木氏。前代未聞の本格派アウトドアフェス開幕に期待が高まる。

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