シリーズ屈指の“やられ役”? 『機動戦士ガンダム』名場面を演出した「ザクII」の存在

2024年に、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの続編となる映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が公開され、多くのガンダムファンから好評の声が寄せられていた。長きに渡ってシリーズ化されてきた作品だが、やはり1作目となるアニメ『機動戦士ガンダム』はファンにとって思い入れが強いタイトルになるのではないだろうか。

赤い機体のシャア専用ザク【写真:つのだよしお/アフロ】
赤い機体のシャア専用ザク【写真:つのだよしお/アフロ】

物語において欠かせない存在の「ザクII」

 2024年に、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの続編となる映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が公開され、多くのガンダムファンから好評の声が寄せられていた。長きに渡ってシリーズ化されてきた作品だが、やはり1作目となるアニメ『機動戦士ガンダム』はファンにとって思い入れが強いタイトルになるのではないだろうか。

 1作目にもさまざまなモビルスーツ(以下、MS)が登場した中、ジオン公国軍の量産機「ザクII」はシリーズを通して代表的な機体。そこで今回は、『機動戦士ガンダム』の中から「ザクIIの名場面」を振り返ろう。

 初めて同作を視聴した際、1話「ガンダム大地に立つ!!」に登場したザクIIのビジュアルに衝撃を受けた人も少なくないだろう。筆者は主人公のアムロ・レイが操縦する「ガンダム RX-78-2」よりも、ザクIIに対して魅力を感じたタイプだ。

 1話では偵察にやってきたジオン公国軍のジーンが、命令を無視して地球連邦軍のMSを破壊し始め、それを止めるためにパイロットとして素人のアムロが勝手にガンダムに乗り込み、ジーンの暴走を阻止しようとする。

 明らかにアムロが不利な状況と思われる中、優れたスペックのガンダムは荒々しい戦いながらも、ジーンのザクIIの口元部分にあるパイプを手で引きちぎり、最後にはビームサーベルで一刀両断。明らかにやられ役として散っていったジーンだったが、見事にガンダムの性能の良さを引き立たせていた。またジーンの暴走がなければ、アムロがガンダムに乗り込んでいなかったかと思うと、感慨深いものがある。

 そして、同作に欠かせない存在といえば、アムロのライバルである「赤い彗星」ことシャア・アズナブルだ。2話「ガンダム破壊命令」では、さっそく「シャア専用ザクVSガンダム」の戦いが繰り広げられるも、シャアでさえもガンダムに太刀打ちできなかった。作中では幾度となくアムロと戦っているが、個人的には戦った数だけパイロットとして成長していくアムロの実力を考えれば、経験が浅い初対戦時がアムロに勝てる最大のチャンスだったかと思う。

 また、普通のザクIIと色が違う赤い機体のシャア専用ザクのビジュアルに、圧倒的な「かっこよさ」があり、シャアの「カリスマ性」も相まってグッと引き込まれる回でもあった。

 最後に取り上げるのは、15話「ククルス・ドアンの島」で繰り広げられた「ザクII同士の戦い」。ジオン軍の脱走兵であるドアンが自身のザクIIを操縦し、追っ手であるジオン軍のザクIIと肉弾戦をおこなう。そしてドアンは、アムロに「モビルスーツの格闘技というのを見せてやる」「よーく見て覚えておけ」と言い放ち、武器も持たない状態のザクIIで戦いに挑むのだった。

 ドアンは一緒に子どもたちと暮らしているが、それはジオン軍時代に子どもたちの親を殺したことを悔やみ、取り残された子どもを守ることを決意したため。命をかけて戦う彼の姿には、感動したことをよく覚えている。

 ザクIIといえば前述したように「やられ役」としての印象の強い機体だが、それを通じて描かれた演出や人間模様は、同シリーズを語るうえで欠かせない名場面ではないだろうか。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください