3人組女性アイドルユニット・美勇伝の元メンバー、三好絵梨香が9月28日に東京・ミュージックレストランLa Donnaで開催される元リーダー・石川梨華とディナーショーに出演する。久々の共演とあって、ファンのみならず自身も心待ちにしている様子。2008年にユニットの活動終了後は、ソロ歌手や舞台を中心に俳優を続けていたが、12年に地元の北海道・札幌市に戻り、現在は、一男一女の母親としてマイペースでタレント活動を続けている。そこで、三好の今に迫り、これまでの足跡についても話を聞いた。（取材・文＝福嶋剛）

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　石川との共演は、2023年9月に開催されたハロー!プロジェクトの25周年を記念し東京・代々木競技場第一体育館で開催されたイベント「Hello! Project 25th ANNIVERSARY CONCERT」以来2年ぶりとなる。今回のディナーショーは、石川のデビュー25周年記念として開催され、三好は早くも気合十分だ。

「25周年の記念コンサートでは美勇伝として2曲披露させていただきましたが、今回、梨華ちゃんの25周年ステージでご一緒できる機会をいただき、緊張感もありますがワクワクしています。梨華ちゃんとは『ファンのみなさんと楽しい時間を作りたいね』という話をしていて、今、まさに準備の真っ最中です」

　弾ける笑顔を見せながら、高揚する気持ちを明かした。そんな三好は石川と同学年。札幌市内で生まれ育ち、歌手を夢見る。そこにはある思いがあった。

「私が10歳の時に母が病気で亡くなったんですが、生前、私に『本当は歌手になりたかった』と話してくれたことが忘れられず、いつか『お母さんが果たせなかった夢を私が実現させる』という思いを持っていました。それで『ASAYAN』（テレビ東京系）でモーニング娘。のオーディションを見て、中学1年の時に第2期の『モーニング娘。追加オーディション』（1998年）に応募したんです。東京で面接することになったのですが、男手ひとつで私を育ててくれた父親の仕事が忙しくて結局、私は上京できませんでした」

　その後もあきらめず、さまざまなオーディションを受けた。そして、2003年8月に開催された「ハロー!プロジェクト 新ユニットオーディション」に合格し、18歳で上京した。

「何度受けても最後は落ちてしまうパターンで、でも絶対に歌手になるという気持ちだけは持ち続けました。高校3年になり、さすがにもうだめかなと思った時、友達のお母さんが見つけてくれた『ハロー!プロジェクト 新ユニットオーディション』が運命を変えました」

　オーディションの合格者は三好ただ一人。喜びも束の間で、グループが組めないという理由で下積み生活が続いた。

「1年くらいデビューできる保証もない中で受けたレッスンは、うれしさと不安が入り混じっていました。でも、その間に、スタッフさんのお手伝いをしたり、先輩方の活動を袖で見てきたのでアーティストのみなさんを支えるスタッフさんの役割を勉強させていただき、それが後々の活動にもつながりました」

　ハロー!プロジェクトの先輩たちともどんどん仲良くなっていった。

「楽屋に行くとみなさんにかわいがっていただきました。中でも藤本美貴さんは、『みーちゃん元気？』と、いつもフレンドリーに話し掛けてくれて、一緒にご飯にも連れて行っていただきました」

　そしてついに道が開ける。あきらめず前を向いてきた三好の念願がようやく叶うことに。

「梨華ちゃんがモーニング娘。を卒業することになり、新しいユニットのメンバーに選ばれました。梨華ちゃんと私は同学年ですが、私にとっては、高校の頃からずっとテレビで見てきた雲の上の存在だったのでビックリしました」

　石川がリーダーに選ばれ、三好、さらに「ハロプロ エッグ オーディション2004」に合格した岡田唯を加えた3人組が04年に結成された。グループ名はプロデューサーのつんく♂が命名し、「美しさや勇ましさを持った日本の女性のすばらしさを伝えていく」という思いを込めて美勇伝と名付けられた。

「私はたった1年の下積み生活を送っただけでしたし、梨華ちゃんと私たちでは天と地の差でした。デビューが決まり、最初に写真撮影をした時、梨華ちゃんはポージングや表情全てが完成されているのに対して、私たちは新人みたいな感じで（笑）。恥ずかしい話ですが、あいさつもできていなかったですし、楽屋で脱いだ服も『ちゃんと畳んでね』って言われるくらい未熟で……。そんな私たちに梨華ちゃんはいつも丁寧に一つひとつ教えてくれました。同じメンバーなのに梨華ちゃんの足を引っ張ってしまい、その間に梨華ちゃんは他にもいろんなユニットをやっていたので苦労が多かったと思います」

　美勇伝といえば、肌の露出の多い衣装も特徴の一つで、ビキニやバニーガールといった派手な衣装が目立っていた。

「最初はおとなしめの衣装でしたが、6枚目のシングル『一切合切 あなたに§あ・げ・る♪』でビキニの水着になり、7枚目の『愛すクリ～ムとMyプリン』は、バニーガールの衣装になりました。おへその部分がひし形に空いていて、あまりの衝撃につんく♂さんに『これはどういう意図なんでしょう』って聞いてしまいました。そしたら『夜のお店のお姉さんみたいなことではなくて、アーティストとしてのパフォーマンスの一つだから心配しないで』って答えてくれました」

　美勇伝は08年に活動終了となるが、走り続けた4年間を振り返っているうちに、三好の目から自然と涙があふれてきた。

「この話になるといつも泣きそうになっちゃうんです。普通じゃ体験できないことをたくさんさせていただき、ファンの皆さんの応援が私たちのパワーになって頑張ることができました。今でも美勇伝の4年間は私の大きな財産です。絶対歌手になるって強い気持ちでやってきましたけど、その夢が叶うかどうかなんて本当に奇跡みたいなことですし、あきらめずにやってきたからこそ今があるのかなって。本当に信じられない経験でした」

　今も感謝の思いは尽きない。ユニットの活動休止後は、ソロとして活動した。

「年に何本か舞台やミュージカルをやらせていただきました。バースデーイベントやディナーショーなどで歌も披露し、年に数回ステージに立たせていただきました」

　ソロも軌道に乗っていた中、11年の東日本大震災をきっかけに地元に戻ることを決める。

「当時、父は長距離トラックの運転手で震災のあった日は石巻にいました。しばらく連絡がつかなくてもうだめかなとあきらめかけていたら1週間後に連絡が取れて無事でした。私の仕事もお休みになったのでデビュー以来、初めて実家の札幌で長い休暇を取りました。仕事のストレスも溜まっていたこともあり、年齢的にもターニングポイントに差し掛かっていたので実家に戻ることを事務所に告げました。すると札幌にも事務所があることを教えてくれて、地元での活動を勧めていただきました。早速テレビ番組のMC（司会）を担当することになり、それから約10年、担当させていただきました。最初はプレッシャーもあり、慣れないMCに悪戦苦闘しましたが、とても新鮮な体験でした」

　プライベートでも新たな局面を迎える。2013年に会社員の一般男性と結婚し、一男一女をもうけた。

「長女が小学校3年生で、長男が4歳になりました。私は数年前まで、テレビ以外にもイベントのMCやドキュメンタリー番組のナレーションなどいろいろやらせていただいてましたが、長男が生まれてからは主婦業がメインになりました。今は娘が歌手やモデルになりたいと言って憧れを抱くようになり、美勇伝の曲を娘が家で歌っています（笑）。私も昔は同じだったので、『いいんじゃない』と言いながら、内心はちょっと心配です。先日『何歳になったら歌手ができるの？』って聞かれたので、『なりたいと思えば、何歳からでもできるし、何歳になってもできるよ』って優しく答えました」

　子どもたちについて明るく話す姿から、私生活の充実ぶりがうかがえた。ここで三好は、美勇伝として一緒に青春を過ごした岡田唯についても話してくれた。

「実は先日、たまたま家族旅行で唯の地元の近くまで行きました。そしたら唯がわざわざホテルまで会いに来てくれたんです。本当にうれしくて、久しぶりに会った瞬間、過去にタイムスリップしたような感じになりました」

　最後は、石川のディナーショーについて改めて思いを語った。

「今回、梨華ちゃんが美勇伝の曲も歌いたいって言ってくれた時、私はすごくうれしかったんです。梨華ちゃんと電話で打ち合わせをしているとやっぱりあの頃に戻るんですね。その一方で、『うちはこうなのよ』みたいなお互いの子どもの話をしたり、いつの間にか二人ともお母さんになっていて、なんだかとても不思議な感覚にもなるんです。でもやっぱり梨華ちゃんは今でも思いやりと頼りがいのある私の先生ですね。懐かしさもあり、楽しく盛り上がれるディナーショーになることは間違いありません。ぜひ会場でファンのみなさんとお会いできるのを楽しみにしています」

□三好絵梨香（みよし・えりか）1984年11月8日、札幌市出身。2003年8月、「ハロー!プロジェクト 新ユニットオーディション」に合格。04年8月、モーニング娘。の石川梨華、「ハロプロ エッグ オーディション2004」合格者の岡田唯の3人で美勇伝を結成。08年6月に美勇伝の活動が終了した。13年に一般男性と結婚、現在は2児の母として、北海道を拠点に芸能活動を行っている。

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「石川梨華・三好絵梨香カジュアルディナーショー2025～スイートルームナンバー20th～」
2025年9月28日（日）
ラドンナ原宿HPにてチケット販売中

【昼公演】https://www.la-donna.jp/events/20250928-1/
【夜公演】https://www.la-donna.jp/events/20250928-2/