eスポーツとの「接点」増やせ! モンスト“プロ12チーム”全国ツアーの舞台裏
日本最大規模となるトーナメント形式のeスポーツ大会ツアーで、スマホアプリゲーム「モンスターストライク」(モンスト)のプロチームが約4か月に渡って争う「モンスト プロツアー 2019-2020」が、9日に開幕する。賞金総額1億円は国内最大級で、規模の拡大を続けるツアー大会。「XFLAG」ブランドとして事業を運営するミクシィの比奈本真・ライブエンターテインメント事業部部長に、継続的なツアー開催の狙いや今後の展望を聞いた。
プロライセンス認定タイトル「モンスト」 NO.1プロチームを決めるツアー賞金総額1億円 来年2月に「ファイナル」開催
日本最大規模となるトーナメント形式のeスポーツ大会ツアーで、スマホアプリゲーム「モンスターストライク」(モンスト)のプロチームが約4か月に渡って争う「モンスト プロツアー 2019-2020」が、9日に開幕する。賞金総額1億円は国内最大級で、規模の拡大を続けるツアー大会。「XFLAG」ブランドとして事業を運営するミクシィの比奈本真・ライブエンターテインメント事業部部長に、継続的なツアー開催の狙いや今後の展望を聞いた。
「eスポーツがリアルスポーツにどこまで近付けるのか。興行・ビジネスは成立するのか。どこまでチャレンジできるのか、という思いで取り組んでいる」
比奈本氏は、昨年からスタートしたツアー大会開催への思いについてこう強調する。
モンストは、自分のモンスターを指で引っ張って弾き、敵のモンスターに当てて倒していくアクションRPGだ。モンストのNO.1プロチームを決めるツアーは、4対4のチーム戦。「XFLAG eSports」が認定するモンストのプロチーム12チームが参加し、1日開催のトーナメント「レギュラーシーズン」を、今年11月から来年2月にかけて、東名阪・仙台・福岡・千葉の全国6会場で7大会を実施。レギュラーシーズンの総合成績上位4チームが来年2月29日に東京都内で行われる「ツアーファイナル」に進出し、2019年度の王者(優勝チーム賞金1230万円)を決定する。
同社ではもともと、全国展開で誰でも参加できるオープン型の「モンストグランプリ」を継続して5年開催しており、昨年から一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)によるプロライセンスの発行が始まったこともあり、全国を回るツアー大会を立ち上げた。
特徴の一つである「プロチーム」の参戦。モンストは、JeSUが発行するプロライセンス認定タイトルで、9月現在で50人がプロライセンスを所持している。今回のツアーでは、「チームリーダーがプロライセンス保持者、かつ、XFLAG eSportsが定めた一定以上の実績を持つチーム」について、出場可能なプロチームと認定。メンバーは最大5人まで登録できるルールを採用している。プロチームの発足により、観客やファンが“地元を背負ったチーム”を応援できることもポイントだという。
将来的に「プロチーム自体が収益を得られる構図」目指す
2013年10月の提供開始から世界累計利用者数が5200万人を突破し、幅広く人気を集めるモンスト。eスポーツとしての競技化が進む中で、さらなる認知度アップがカギだといい、比奈本氏は「eスポーツは日本国内ではまだ文化としては根付いていないと感じている。一般の方、ゲームに疎い方にも受け入れてもらえるように。そのために都心だけではなく、地方でも実際に大会を開催することによって認知度を高めたい。それに、既存ファンにはモンストIP(知的財産)としての愛を深めてもらうことも前提に考えている」と説明する。
こうした中で、モンストやeスポーツとの「接点」を増やすことにも注力。「競技を見て楽しめるという側面もある。モンストを知っているけど実際にはプレイしたことがない人や、以前にやっていたけど今は離れている人にとって、戻っていただけるチャンスにもなる」(比奈本氏)という考えからだ。今回、ツアー開幕戦となる第1戦、第2戦は、初開催となるモバイルゲームファンの祭典「MOBILE GAME EXPERIENCE 2019」で実施する。同社も運営として参加しているイベントで、国内外の人気ゲームタイトルにちなんだステージショーやファン同士の交流会など多角的に展開する。さらに、スポーツブランド「umbro(アンブロ)」が手がける今大会公式ユニホームの販売も決まった。“間口”が広がった格好だ。
モンスト大会の人気・規模は、確かな歩みを進めている。昨年ツアーの「モンスターストライク プロフェッショナルズ 2018 トーナメントツアー」で昨年12月に都内で行われたファイナルは、現地観戦約500人、YouTubeLiveの視聴回数は約63・8 万回/最大同時接続数は約7・6万人を記録した。今年7月に千葉県で行われた「モンストグランプリ 2019 アジアチャンピオンシップ」決勝大会については、現地観戦約8000人、現地でのライブビューイングを含めると1万5000人、そして、YouTubeLiveの最大同時接続数は14万人超をマークした。
ツアーの観戦チケット販売やグッズ製作など、野球やサッカーといったリアルスポーツのプロ球団と同じようなビジネスモデルを導入。ツアー大会開催は、昨年の「元年」から歩き出した日本eスポーツ界の発展につながる取り組みであるとも言える。比奈本氏は将来的な展開について、「ファン層拡大へのアプローチをしっかり考えていきたい。長期的には、プロチーム自体が収益を得られる構図を目指す」と話す。
eスポーツ選手という“新しい職業”への関心が高まる中で、日本の現状は、プロと言っても賞金だけで生活をしていく「専業プロ」になるのは難しい実情もある。比奈本氏は「生活ができる実態の伴う形で実現できるような世界に発展させたい。個人が、仕事と両立させる『兼業』との選択肢を選べるような状態まで持っていきたい」と強調する。
いよいよ、国内最大規模のツアー大会の火ぶたが切って落とされる。YouTubeの生配信も予定されており、昨年ツアー王者の「今池壁ドンズα」、今年の新王者「どんどんススムンガ」の戦いぶりにも注目だ。