『仮面ライダーガヴ』で注目の23歳・日野友輔、同級生は天才棋士「体育で藤井とキャッチボールのペアでした」

8月31日に最終回を迎えたテレビ朝日系『仮面ライダーガヴ』で仮面ライダーヴァレン/辛木田絆斗役として注目を集めた若手俳優・日野友輔が9月12日に初の写真集『hiSTORY 1』を発売した。自らストーリー監修を務めたといい、多彩な表情が詰まった意欲作に。もともとはプロのサッカー選手を目指していたという23歳の今、そしてターニングポイントに迫った。

サッカーが得意な日野友輔 ジュニアユースでキャプテンを務めた【写真:くさかべまき】
サッカーが得意な日野友輔 ジュニアユースでキャプテンを務めた【写真:くさかべまき】

日野友輔が1st写真集『hiSTORY 1』をセルフプロデュース

 8月31日に最終回を迎えたテレビ朝日系『仮面ライダーガヴ』で仮面ライダーヴァレン/辛木田絆斗役として注目を集めた若手俳優・日野友輔が9月12日に初の写真集『hiSTORY 1』を発売した。自らストーリー監修を務めたといい、多彩な表情が詰まった意欲作に。もともとはプロのサッカー選手を目指していたという23歳の今、そしてターニングポイントに迫った。(取材・文=福嶋剛)

――『hiSTORY 1』というタイトルの通り、写真集は日野さんの歴史の1ページ目ということでしょうか。

「そうですね。写真集のお話をいただいて、役者としての今の自分を撮っていただくのが一番良いと思いました。高校1年の時にCDデビューして、歌やモデルなどさまざまなことに挑戦してきましたが、やはり『仮面ライダーガヴ』で仮面ライダーヴァレン/辛木田絆斗を演じてきたこの1年で役者として大切なことを叩き込んでいただいたので僕の第1章だと思います」

――では、日野さんのこれまでをうかがいます。学生時代はサッカー選手だったと聞きました。

「ずっとクラブチームに所属していてジュニアユースの時はキャプテンをやらせていただきました。最初はボランチで、中学に入ってからはセンターバックになりました。そして高校に入り、芸能活動が始まったところでサッカーを辞めました」

――幼いころから全てを捧げてきたサッカーを辞めた理由は。

「子どもの頃から負けず嫌いな性格でプロでということも意識して、一番を目指してやってきたのですが、中学3年の春休みの遠征で全国の強豪チームと試合をした時に大きな挫折を味わいました。前橋育英の中等部との試合では大人と子どものような差でしたし、今はJリーグでゴールキーパーをしている東ジョン君が所属していた東海地区のチームは、僕の背番号を指して『4番から攻めろ!』と、みんな簡単に僕を抜き去っていきました。『こいつらには逆立ちしても勝てない』と完全に心が折れましたね」

――それでも芸能デビューするまではユースのチームに在籍していたそうですね。

「監督から引き留められていったんユースに入ったのですが、中3の時点で気持ち的にはもうお先真っ暗でしたからサッカー推薦ではなく、自力で高校を受験しました。そんな時に叔母が男子グループのオーディション(『TOKAIスクールボーイズ』)を見つけて僕には内緒で応募していて合格したのがきっかけですが、もしかしたら新しい自分を見つけられるかもという思いで芸能活動を始めました」

――俳優を目指そうと思ったきっかけは。

「2021年の朗読劇(『5years after』)の時、これだと思いました。3人の役者で50人の役を演じるという作品でしたが、お客さんの心を芝居で動かせると分かった時に『俳優をやりたい』と思いました」

――そして2024年に運命の出会いとなった『仮面ライダーガヴ』のオーディションで仮面ライダーヴァレン/辛木田絆斗役をつかみました。

「サッカーとは違う人生一番の大勝負でした。地上波で毎週放送される番組のメインキャストを務めさせていただけるなんて奇跡だと思いましたし、この先の僕の人生において最も大切な時間になると確信して撮影現場での1年間、あらゆることを見逃すまいとノートをつけて記録しました」

――ノートには具体的にはどんなことを記録していったのですか。

「監督のアドバイスや自分が感じたこと、完成した作品を見た感想など、現場で起こった全てを、毎日欠かさず書き残しました。『辛木田ノート』と勝手に名付けたんですが、役者として僕だけの教科書です」

――現場で学んだことは。

「制作のスタッフのみなさんと全員で1つの作品を作り上げる大切さや監督、演出家の思いを表現する大切さです」

――仮面ライダーというヒーローを演じてみて。

「仮面ライダーという歴史に名を連ねさせていただく重みを感じました。子どもたちが『仮面ライダーヴァレンみたいになりたい』と思ってもらえるように普段から誰かに勇気や元気を与えられるような存在でいたいと思いました」

――日野さんにとってのヒーローは誰ですか。

「僕を選んでくださった仮面ライダーの監督の杉原(輝昭)さんです。『オーディションでおまえのことを好きになったんだから、おまえが売れるところを見たいんだ』って言われた時、僕を信じてくれる人がいると分かって力が湧いてきました」

自らプロデュース、構成を考えたファースト写真集のカット【写真:(C)ワニブックス】
自らプロデュース、構成を考えたファースト写真集のカット【写真:(C)ワニブックス】

影のある泥臭くて何度も立ち上がるキャラクターが好き

――さて写真集の話題に戻りますが、今回は日野さんのセルフプロデュースと聞きました。

「お話をいただいた時、僕から『物語を写真集にするのはどうですか』と相談させていただきました。『ストーリーや構成も含めて考えてみては』という提案をいただき、日常を想像させるような、いわゆる写真集のパートと自分で台本を書いた2つの物語の3部構成にしました」

――自らストーリー監修をされました。そのパートは、ページをめくるたびに物語が進行していくような面白い構成です。

「ありがとうございます。1枚のカットを見て、どんなシチュエーションなのか、どんな台詞を言っているのかを、見てくださっている方が自由に想像できるように余計な文章は書かず、写真で構成しました。実はこれ『辛木田ノート』がベースになっていて、今まで書き留めていたアイデアを参考に台本を書きました」

――なるほど。刑事とボクサーという2つの物語があって、まるで昭和の刑事ドラマやボクシング漫画を彷彿(ほうふつ)とさせる人間臭いキャラクターが印象に残りました。

「親の影響もあるのかもしれませんが昭和の雰囲気が好きなんです。キラキラした主人公よりも影のある泥臭くて何度も立ち上がるキャラクターに感情を揺さぶられます。いつかこういう役をやってみたいと思っていたので自分の写真集で一足先に演じてみました(笑)。ちなみに2つの物語にはカギとなるカットがあって、さらに深く物語を楽しめるようになっているので、ぜひチェックしてみてください」

――完成した写真集を見た感想はいかがでしたか。

「撮影期間は2日間というタイトなスケジュールでしたが、僕のアイデアを形にしようと、スタッフのみなさんが一丸となって作り上げてくださり、感謝でいっぱいです。まさに僕の新たな第一歩となる作品になりました」

――写真集の中で特にお気に入りのカットを1枚挙げるとしたら。

「2つ目の物語の(ボクサー)ラストカットです。前に走り出す後ろ姿を撮っていただいたのですが、背中で未来を語るイメージのカットが撮れるまで何テイクも重ねました」

――ところでヒーローと言えば、日野さんは将棋界のヒーローでもある棋士の藤井聡太七冠と同級生だったそうですね。

「そうなんです。高校1年の時に一緒に授業を受けていたクラスメイトで体育では僕と藤井がキャッチボールのペアでした。その頃、僕はすでにテレビに出ていたので、一緒にいると迷惑が掛かるかなと心配したのですが、藤井は教科書の年表に最年少棋士ということで写真入りで載ったんですよ(笑)。勝手に心配していた自分が恥ずかしいです。『いつか共演するまでは2ショット写真は撮らない』と意地を張っていたんですが、撮っておけばよかったです(笑)。いつか藤井と会える日を楽しみに僕は役者として頑張ります」

――最後に俳優としてのこれからの目標を聞かせてください。

「もっともっと勉強が必要だし、知っていただける機会も必要だと思いますが『日野が出ているなら見たい』『日野が出ているなら面白いんだろう』と言われるような役者になりたいです。その一歩となる写真集を手にとってもらえるとうれしいです」

□日野友輔(ひの・ゆうすけ)2002年6月3日生まれ、愛知出身。2018年、アイドルグループ『TOKAIスクールボーイズ』のオーディションで5075名の中からメンバーに選ばれる。東海地方を拠点に活動する2人組男性アイドルグループ・Hi☆Fiveのメンバーとして活動する一方、21年の朗読劇『5years after』から役者として舞台や映画に出演。24年9月1日スタートのテレビ朝日系『仮面ライダーガヴ』に仮面ライダーヴァレン/辛木田絆斗(からきだ・はんと)役で出演した。特技はサッカーで高校1年までクラブユースに所属。身長は178センチ。

ヘアメイク:SHUTARO(Vitamins)
スタイリスト:石橋修一

衣装
ニット(meagratia/semina)
パンツ&シューズ(LAD MUSICIAN/LAD MUSICIAN HARAJUKU)
リング(JOHAN SILVERMAN/TEENY RANCH)

次のページへ (2/3) 【写真】日野友輔のインタビュー別カット
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください