坂本美雨、産後2か月でのラジオMC復帰を回想 大沢たかおが娘を抱っこ「みんなに育ててもらった」
ミュージシャンの坂本美雨が、「TOKYO FM開局55周年記念『ディア・フレンズ30 th Anniversary LIVE』」を12日に開催する。TOKYO FM『坂本美雨のディア・フレンズ』(月~木曜午前11時30分)のMCを務め、30周年の『ディア・フレンズ』では歴代最長14年になる。そんな坂本へのインタビュー企画。「前編」では『ディア・フレンズ』でのエピソードや子育てについて聞いた。

毎日違うゲストと向き合うTOKYO FMの週4トーク番組
ミュージシャンの坂本美雨が、「TOKYO FM開局55周年記念『ディア・フレンズ30 th Anniversary LIVE』」を12日に開催する。TOKYO FM『坂本美雨のディア・フレンズ』(月~木曜午前11時30分)のMCを務め、30周年の『ディア・フレンズ』では歴代最長14年になる。そんな坂本へのインタビュー企画。「前編」では『ディア・フレンズ』でのエピソードや子育てについて聞いた。(取材・文=コティマム)
――歴代最長MCです。長年続けるために意識してきたことはありますか。
「スタッフさんもゲストさんも含めてみんなが優しくて。『ディア・フレンズ』はチームがずっと変わらず、絆が固いんです。私も安心感があって、言わなくちゃいけないことがある時はハッキリと言えるし、スタッフさんも真剣に聞いてくれます。私の気持ちをいつも考えてくれて、やりやすい環境を整えて雰囲気作りをしてくれる。本当にそのおかげです」
――MCに決まった時、どんな気持ちでしたか。
「もともとJ-WAVEで番組をやっていたのでラジオで話すことは好きでした。ただ、『ディア・フレンズ』のように週4で毎日違うゲストの方が来るのは初でした。番組プロデューサーから『美雨ちゃんの素直な気持ちで向き合えばいい。知識を持っている必要もない。“驚き”を大事にしてくれ』と言ってくださって、『それならできるかもしれない』と。また、オファーをくださった方が信頼できる人だったから、『この方が言うなら、“まだ開けていないけど開けたら面白いドア”があるのかもしれない』と思いました」
――週4でゲストを迎えるとなると、リサーチも大変そうです。
「できる時にギュッと絞って調べたり、ゲストさんが直前に決まって慌てて調べたり。でも、『分からないところは、素直に聞こう』と思って、知ったふりをせずスタッフさんに頼ります。また、ゲストさんのインスタグラムを拝見して、本当に1個だけ『おや?』と思うことがあったら、そこに触れます。『すごく焼き肉を食べているな』『猫を飼っているな』とか、そういうワンポイントから素や日常が分かれば、お話も広げられます」
――14年間で印象的だったエピソードはありますか。
「ユーミン(松任谷由実)さんが4日間毎日ゲストにいらっしゃる回があり、本気の恋愛相談をしたことがあります(笑)。まだ夫と結婚する前の付き合ってもいない頃の話ですが、ユーミンさんに『イニシャルは何?』と聞かれて、『Yです』みたいな(笑)」
――そんな赤裸々なトークもされていたのですね。
「しましたね(笑)。あとは山下達郎さんや竹内まりやさんをはじめ、父(音楽家の故・坂本龍一さん)の旧友の方々とお話をすることもありました。父の新たな一面を知るような稀有な場面でした」
――娘として、どんな風に感じましたか。
「純粋に、うれしいですね。ボロボロな格好をしていたとか、無精ひげでボサボサだったとか、そういう私が生まれる前の父を姿を知ることもできました。小さい頃にお会いしていた父の仲間と番組で再会できるのもうれしいです。その方々からしたら私は『あの頃のちっちゃい美雨ちゃん』のままで、『大きくなったねぇ』と言われます(笑)」
――「30th Anniversary LIVE」はどんなイベントになりそうですか。
「トーク半分ライブ半分で、ゲストの本当の顔を見られる構成です。今回は竹原ピストルさんをお迎えして、一夜限りのスペシャルコラボが実現します。竹原さんは『ディア・フレンズ』に何回も来てくださっていて、お話をしていると毎回、心を動かされるんです。『もっと一緒にいろんなことやってみたい』と思っていたので、セッションできるのが楽しみです」

10歳娘は「TOKYO FMで生まれたようなもの」 赤ちゃん時代は大沢たかおが抱っこ
取材日の現場には、10歳の娘“なまこ”ちゃんも同行していた。なまこちゃんはあだ名で、坂本のインスタグラムにも度々登場。この日はスタジオ内でキレキレのダンスを披露してくれた。
――なまこちゃんは、仕事現場によくいらっしゃるのですか。
「学校以外の時は来ることが多いです。本当にTOKYO FMで生まれたようなもので(笑)。生後2か月から仕事復帰したので、ベビーシッターさんやマネジャーさん、みんなに育ててもらいました。歩けない頃からずっと抱っこしていて、ヨチヨチ歩きをするようになってからはマットを持ち込んで。授乳している時に次のゲストの方が入ってきて、『あ! すみません!』となることもありました(笑)。別の収録で廊下にいらした大沢たかおさんにあやしてもらったこともあります」
――それは豪華です。
「お子さんや赤ちゃんがいらっしゃるゲストさんは、“お仕事の顔”ではない普段見せない顔になってくれて。『オフレコだけど』とご自身のお子さんの話をしてくださることもありました。お仕事の場に子どもを連れて行くことは気を遣うこともありますが、とにかくスタッフさんが優しく受け止めてくれて何よりも感謝です」
子育ての中、両親から受けた影響とは
――子育てで大事にしていることはありますか。
「『いろんな大人と接して育つ』のは私自身もそうだったので、娘もそうなってくれたらと思います。大人と触れることで真剣な顔を知り、いろいろな職種も知れますよね。ラジオの現場だけでも、エンジニアさん、原稿を書く人、編集する人といろんな人がいる。それを生で見て吸収できるから、『大人の姿を見るといいかな』と思います。夫婦で“子育て方針”とか“心がけていること”と言うと、唯一それぐらいかもしれないです」
――自身の子育ての中で、お父さまやお母さまの矢野顕子さんから影響を受けたことはありますか。
「この『現場に来て、いろいろな仕事を見る』というのが、私の直接的なルーツになっています。いろいろな仕事があって、そういう人に支えられてステージにいる人は光を浴びている。コンサートの場でもヘアメイクさんやスタイリストさん、舞台監督や演出家がいて、PAさんが重い荷物を持って影の忍者のように仕事をしている。そういう姿が子どもの目にはとてもカッコよく思えました。それが父と母と一緒にいて感じた一番の影響ですね」
――生で実感できたということですね。
「そうですね。直接言葉で話してくれたわけではないですが、その現場の緊張感から学びました。『今はしゃべってはけない』『話しかけちゃいけない』『真剣な時だから大人の話には入らない』とか。そういうピリッとした空気ってあるじゃないですか。それを見て感じた部分はよく覚えていますね」
子育てをしながら音楽活動やMCを続けてきた坂本。『ディア・フレンズ』の歴史をさらに重ねていく。インタビュー「後編」では、坂本が歌詞を担当した映画『国宝』の主題歌『Luminance』の作詞について語っている。
□坂本美雨(さかもと・みう) 1980年5月1日、東京都生まれ。父は音楽家の坂本龍一さん、母はシンガー・ソングライターの矢野顕子。90年、9歳の時に米ニューヨークに移住。97年、16歳でSister Mとして歌手デビュー。98年11月からは、本名の坂本美雨で活動し、『aquascape』をワーナーミュージック・ジャパンからリリース。
