『べらぼう』出演、セクシー女優界トップ君臨8年 吉高寧々がタレント転身を考えない理由
セクシー女優になって8年。吉高寧々(よしたか・ねね)は、年間約3000人の女優が入れ替わる業界でトップを走り続けている。今年1月には、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)第1話に死体役で出演し、話題になった。活動内容は「AV」の枠を越え、今秋には京都の由緒ある寺院で写真展を開催する。さまざまな形で注目されている29歳。その素顔に迫った。

業界トップ君臨8年 活動は枠を越え
セクシー女優になって8年。吉高寧々(よしたか・ねね)は、年間約3000人の女優が入れ替わる業界でトップを走り続けている。今年1月には、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)第1話に死体役で出演し、話題になった。活動内容は「AV」の枠を越え、今秋には京都の由緒ある寺院で写真展を開催する。さまざまな形で注目されている29歳。その素顔に迫った。(取材・文=柳田通斉)
吉高はスタッフ3人とともに取材場所に入った。少し高い声で「よろしくお願いします」と言い、関西弁のイントネーションで言葉を続けた。
「AV女優が、このような格式ある寺院で写真展を開催することは、これまで誰も成し遂げていませんし、これからもあるかどうか分かりません。だからこそ、ここで実現できることに大きな意味と価値があると信じています」
吉高は10月25日~11月9日に京都・海宝寺で「#寧々密会 京都編」と題した写真展を予定している。同寺は、豊臣秀吉の手水鉢や伊達政宗が手植えしたと伝わる木こく、東山魁夷による版画など数々の文化財が貯蔵されているが、この期間は寺全体に吉高の写真が展示されるという。
「撮影もお寺の中でさせていただきました。もちろん、ヌードの作品も多くあります。歴史と革新が交錯する挑戦的な写真展です。タブーをアートへ。誰も見たことのない景色を皆さんと一緒に創りたいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。『こんなこと、許されるの』と思われますが、お寺の方々がものすごく協力的なんです」
同写真展を成立させるには、撮影、会場設営、展示制作、運営など多くの準備が必要になるため、7月20日からクラウドファウンディングを開始。瞬く間に最初の目標300万円をクリアし、8月中旬に500万円を突破した。昨日5日時点で約630万円。最終目標は、期限の同15日までに800万円をクリアすることで、達成した際には「京都の駅に大規模広告を掲載」と約束している。
「京都の大学の構内にもポスターが貼られていると聞きました。私が大学時代を過ごした京都で挑戦できることもうれしいです。期間中も京都に滞在して、なるべく会場にいるようにします」
明るくテンポ良く話す吉高だが、幼少の頃は引っ込み思案だったという。
「それでいて負けず嫌いでした。自分からは行けないけど、負けたくないという感じで。ただ、高校の途中からあがり症になって、人前でしゃべれなくなりました。その次は人としゃべれなくなって、大学時代も特定の友達としか話せませんでした」
本人いわく、「うつうつとした学生時代」だったが、卒業後に今の所属事務所関係者に出会い、グラビアアイドルとしての活動を始めた。DVDの売れ行きも良く、週刊誌の表紙を幾度も飾っていた。その最中、マネジャーからAV転身を提案された。
「グラビアでデビューして半年での提案でしたが、私は『やるなら、全力でやりたいです』と返しました。事務所の先輩方もAVに出演されていたので、『自分もそうなりたい』という思いもありました。そして、人とうまく話せない自分を変えたいという思いもありました。初めての撮影では緊張はしていましたが、楽しかったです。カメラも全く気にならず、気付いたら没頭していました」
キュートなルックスが評判になり、デビュー作で『AV OPEN2017』グランプリを受賞。『FANZAアワード』で優秀新人賞、優秀女優賞と週刊プレイボーイ賞も獲得した。フジテレビ系『世にも奇妙な物語』、Netflix『全裸監督』に出演し、今年1月5日放送のNHK大河ドラマ『べらぼう』第1話には、着衣をはぎ取られた遊女の死体役で出演した。スケジュールは4日間押さえられ、撮影当日は早朝4時から6時間に及ぶロケだったという。
「ずっと砂の上でうつ伏せになり、死体に徹していました。引きの絵で顔は映らなかったのですが、お尻は映っていました。私自身、『まさかNHKで』ととても驚きました。そして、藤かんなさん、与田りんさん、私とAV女優3人の名前が出演者としてテロップに出たことで大反響になりました。ファンの方々、業界関係者の方々から『どうやって、出られたのか』との問い合わせが相次ぎました」
大河出演をきかっけに、吉高の名前はネット上で拡散。3年以上前から、写真家・笠井爾示氏にプライベートな姿も撮影されて完成した写真集『#寧々密会』、海宝寺とのコラボ企画も話題になった。
「AV以外のお仕事のオファーはありがたいですし、やれたことが自信にもつながります。何より、それで名前と存在を知ってもらえたことがうれしいです」
ただ、吉高はAV業界でトップであり続ける難しさもよく分かっている。続々と新人女優が登場し、辞めていく女優も多くいる世界。業界関係者は「約3000人規模の女優が出たり、入ったりしていますから」と証言する。吉高も実感を込めて言った。
「最初は初々しさだけで来れた部分はありますが、今、8年目。第一線で活動をし続ける難しさは感じていますね。ただ、事務所の先輩だった葵つかささんが8月17日で引退され、事務所内では私が一番長いキャリアになりました。ずっとつかさんの背中を追い続けたい思いがあり、甘えてもいたので、今は『もっと、頑張らなければ』という思いです」

週1でインスタライブ、クラファンの目標は800万円
AVの世界で人気者になり、引退後にタレントや俳優に転身して成功した例もある。だが、吉高はそんな将来はイメージしていないという。
「私は表に出る活動をし続けるのなら、AVをずっとやっていると思います。『できるだけ、長くやりたい』とも思ってきました。もちろん、演じることは楽しいですし、AV以外のオファーはありがたいです」
撮影は月に1回のペースで現在は、海宝寺との企画成功に注力している。
「まずは、クラウドファウンディングで800万円を達成したいです。そのために何をどうすべきかを考え続けています」
昨年5月、『#寧々密会』の発売記念イベントを都内で開催。この時のことを吉高は「やっと、人前で素の自分を出せました」と振り返る。以降、インスタライブを週1ペースで実施。SNSフォロワー数は急増し、今月5日時点でインスタグラムで約34.3万人、Xで約61万人を数えている。世間では色目で見られるAV業界。無修正画像が流出するなど、さまざまな問題も抱えているが、吉高は「前向き」であり続ける。
「エロはみんなが持っているものと思いますし、私にとっては自分自身を変えられた仕事ですから」
まだ29歳。吉高はセクシー女優のトップ堅持を目指しながら、未知の可能性を探っていく。
□吉高寧々(よしたか・ねね)1995年12月1日、兵庫県生まれ。京都の大学を卒業後、2017年4月、グラビアモデルとして芸能界入り。イメージDVD『初めての…』をリリースし、数々の週刊誌でグラビアが掲載された。同12月20日、初写真集『ねぇねぇ。』(ジーオーティー)が発売。その後、マネジャーの提案を受けてセクシー女優に転身。155センチ、B84-W56-H85センチ。
