「人間より運転が上手」米国で乗車した“無人タクシー”に感動 約30kmで6700円「これが一番安かった」

米国旅行で“最先端の乗り物”を試してみたら、「本当に普通に走るんだ」。驚がくした。世界的に注目を集めている自動運転の無人タクシー。交通量の多いロサンゼルスの道路を難なく走り、スムーズに目的地まで届けてくれたという。米大リーグ・ドジャースの大谷翔平の試合観戦をメインにした家族4人の夏休み旅行で、無人運転を経験した50代男性会社員に話を聞いた。

米国で“無人タクシー”を体験【写真:本人提供】
米国で“無人タクシー”を体験【写真:本人提供】

「将来人間の仕事はどうなっていくんだろう」

 米国旅行で“最先端の乗り物”を試してみたら、「本当に普通に走るんだ」。驚がくした。世界的に注目を集めている自動運転の無人タクシー。交通量の多いロサンゼルスの道路を難なく走り、スムーズに目的地まで届けてくれたという。米大リーグ・ドジャースの大谷翔平の試合観戦をメインにした家族4人の夏休み旅行で、無人運転を経験した50代男性会社員に話を聞いた。

 一家は今年8月、6泊8日の海外旅行を満喫。ホームランを連発した大谷、先発登板した山本由伸ら日本人メジャーリーガーの活躍に感激した。飛行機代、宿泊代や大リーグ試合のチケット代などを合わせると費用は約320万円に上り、大奮発の米国旅行になった。

 旅行3日目。真夏のビーチを楽しんだサンタモニカのホテルから、試合が行われるドジャースタジアム近くのホテルまでの移動で、タクシーを使うことになった。約30キロほどの道のり。「いくつかタクシーや配車サービスを検討してみたのですが、これが一番安かったんですよ。1~2割は安い印象でした。米国に住む友人から勧められていたという理由もありました」。

 呼んでみたのは、米企業「Waymo」(ウェイモ)の“自動運転タクシー”だ。ウェイモはGoogleの親会社Alphabetのグループ企業で、ロサンゼルスやサンフランシスコなどで完全自律運転による乗車サービスを展開している。日本でも国内企業と提携し、自動運転車両の導入に向けた検証をスタートさせている。

 専用のアプリを使って行き先などを登録して、早速呼んでみた。少し待っていると、カメラやレーダーなど最新技術を搭載した真っ白なボディーの自動運転車が姿を見せた。路肩に寄せて停車。「静かにやって来ました」。ドアの開け方が最初は分からなかったが、アプリの画面でロック解除できた。ドアを閉めたら、ドジャースタジアムに向けて出発した。

「70分ぐらいの乗車でしたが、一言で快適そのもの。本当に静かで、何の不安もなかったです。私は乗車して10分ほどしたら心地よくて寝てしまったぐらいです」

 男性は助手席に座り、妻と子ども2人は後部座席へ。中学2年の息子は「すげぇ!」と興奮気味で、家族みんなで小刻みにハンドルを操作する無人運転に見入った。道中で、別のウェイモ車とすれ違うこともあった。「人間の運転手がいないので、車の中が本当に家族4人の空間になって、気遣うこともなく、わいわい会話が弾みました」。おしゃべりが盛り上がっているうちに到着。「ちょっと面白かったのが、ホテルの車寄せまで行ってくれなくて、玄関近くの路上で降りることになりました。荷物をトランクから出して、最後にドアを閉めたら、静かにそのまま去っていきました。きっと次の予約が入っていたのでしょうね」。事前に登録していたクレジットカードで支払いするためその場での会計手続きはなし。料金はチップなしで、約46ドル。日本円で6700円ほどの値段だった。トラブルなく、初めての無人タクシー体験を終えることができた。

 自動車産業は新たな時代を迎えており、電気自動車や自動運転テクノロジーが日々進化している。自動運転の乗車サービスは米国西海岸で普及しており、男性会社員は「ロスで働いている友人から『みんな使ってるよ』という話を聞いていました。在留邦人だけでなく、アメリカの市民も普通に利用しているみたいです。それに、友人が驚嘆しているのは運転のうまさ。『縦列駐車が一発で決まって、人間より運転が上手なんじゃないか』と話しているほどです」。無人タクシーが、どんどん“普通”になりつつある状況を教えてくれた。

 帰国後に、“時間の使い方”について考えることがあった。「この夏家族のお出かけで、山梨・清里まで往復9時間や神奈川・佐島まで往復3時間など渋滞の中で運転することがあったのですが、『この時間、自動で運転してもらい、アイスコーヒーを飲みながらゆったりと読書などできたらどんなに幸せか。時間が有効に使えるか』とも思いました」。

 現地で、肌で感じた“自動運転の今”。自動車関係の仕事に就く友人たちに感想を伝えた。「無人タクシーの話は大反響です。友達にタクシー運転手がいるのですが、自動運転が進むことで、2人とも『将来、俺たちの仕事はなくなるんじゃないか』と、不安を口にしていました」。土産話として伝えたところ、人間が行う仕事の未来を巡るリアルな話になったという。

 人生勉強にもなり、「思い返せば、昔はレンタルビデオ屋さんに通っていたのが、今はネット配信が取って代わりました。技術革新は本当に目まぐるしいですよね。世界がどんどん変わっていくという感動はありましたが、AIの普及で言われているように、将来人間の仕事はどうなっていくんだろう、と改めて考えさせられました」と話している。

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