綾野剛、映画『星と月は天の穴』で主演 女性求める“40代こじらせ男”に挑戦…荒井晴彦監督と再タッグ
俳優の綾野剛が主演を務める映画『星と月は天の穴』が12月19日より全国公開されることが5日、分かった。併せて、田中麗奈、咲耶ら共演者も発表された。

映画『星と月は天の穴』が12月19日公開 共演に咲耶、田中麗奈ら
俳優の綾野剛が主演を務める映画『星と月は天の穴』が12月19日より全国公開されることが5日、分かった。併せて、田中麗奈、咲耶ら共演者も発表された。
脚本・監督を務めるのは『火口のふたり』『花腐し』などで知られる日本映画界を代表する荒井晴彦氏。原作は吉行淳之介さんによる芸術選奨文部大臣賞受賞作となる同名小説で、荒井にとって念願だった映画化となる。
物語の主人公は、妻に逃げられ結婚に失敗して以来、独身のまま40代を迎えていた小説家・矢添克二(綾野)。心に空いた穴を埋めるように娼婦・千枝子(田中麗奈)と時折り体を交え、捨てられた過去を引きずりながらやり過ごしていた。愛することを恐れながらも、どこかで愛されたいと願う矢添は、自身の書く恋愛小説に投影した“精神的な愛”を日々模索。ある日、画廊で大学生・瀬川紀子(咲耶)と偶然出会い、奇妙な関係を続けるうちに心にも変化がもたらされていく。
監督・脚本を務める荒井氏は、日活ロマンポルノの名作群をはじめ、『ヴァイブレータ』『共喰い』など数多くの映画脚本を手がけ、キネマ旬報脚本賞を5度受賞。今回の新作では、“女を道具として扱おうとしながら、結局は敗北していく男”を通じて、愛と性の本質を描く。1969年という激動の時代背景のもとで描かれる、ひとりの男の滑稽で哀愁漂う姿が、文学性とエロティシズムを交えてスクリーンに映し出される。
主演の綾野は、荒井監督との前作『花腐し』に続き、本作でも主人公・矢添を演じる。過去のトラウマにとらわれながらも女性を求めてしまう“こじらせ男”の魅力を新たに体現した。矢添と関係を結ぶ女子大生・紀子役には咲耶、なじみの娼婦・千枝子役には田中が扮(ふん)し、それぞれに印象的な存在感を放つ。さらに柄本佑、岬あかり、MINAMO、宮下順子らが脇を固め、昭和レトロな空気を漂わせる世界観を構築している。
本作の撮影は2024年4月、東京近郊で実施。綾野は「脚本に導かれたその過程は、役者人生においても、唯一無二の体験でした。今思い出しても武者震いします」と振り返っている。
出演者のコメントは以下の通り。
○綾野剛
「映画『花腐し』に続き、本作でも荒井監督の脚本を浴びる事ができ、主人公を通して言葉の美しさと滑稽さ、なにより文学への造詣に触れられ、とても稀有なひとときでした。とある小説を主人公が説明するシーン。噛めば噛むほど、呑めば呑むほど説明台詞を逸脱し、煙草を燻らせ酒を堪能する様に台詞を生み吐き出し、生きた言葉へと昇華する。脚本に導かれたその過程は、役者人生においても、唯一無二の体験でした。今思い出しても武者震いします。映画『星と月は天の穴』どうぞ言葉の心地を召し上がってください」
○咲耶
「『純文学の登場人物になりたい』そんな願望が私にはありました。それがまさかこんなに早く実現してしまうなんて、全力で掴みに行った紀子という人物を演じる事が出来たのは私にとってこの上ない幸せです。現代の日本映画界に真っ向から反抗するような作品ですが、美しくもユーモラスな観る文学であると私は感じます。だからこそ多くの方に御覧頂きたいと心から感じます。綾野さんがどれだけ頼り甲斐のある素敵な先輩だったのか、荒井監督とご一緒した事がどれだけ貴重で特別な経験だったのか、あの夢のような時間、語り尽くせない程です」
○田中麗奈
「荒井晴彦監督とは、脚本を書かれた『幼な子われらに生まれ』、『福田村事件』でご一緒していました。監督された『火口のふたり』、『花腐し』には惹かれていましたし、ご縁を感じてもいたので、お話しをいただいた時はびっくりしましたが、お声がけいただき大変嬉しかったです。主演の綾野剛くんとの共演もとても久しぶりで楽しみにしていました。剛くんは現場で色々とアイデアを出し、荒井監督もそれを楽しんでいるのがこちらにも伝わってきて、とても良い現場だと思いました。役者としてだけではなく作り手として客観的にも現場を見ている視界の広い方だと改めて感じました。千枝子に関して、彼女が何を想っているのかというのは、脚本を読んだ時点で直感的に感じましたが、もっと細かく腑に落ちていくように、、と丁寧に彼女の背景を作っていきました。今でも千枝子を思い出すと胸がキュッとします。年齢制限もあり、チャレンジングな作品だと思います。作品を観ていただいたお客様からどんな反応がうかがえるのか、楽しみにしたいと思います」
