TBS退局した小倉弘子アナ、ネットメディアで再出発 フジ問題にも動画で言及「いつか触れなくては」

昨年12月にTBSを退社したフリーアナウンサーの小倉弘子が新たな扉を開いた。今年6月にニュースメディア専門のYouTubeチャンネル「miraiA(ミライエース)」を立ち上げ、政財界などからのゲストに対し、鋭い質問をぶつけて本音に迫るなど、活動の幅を広げている。小倉アナを直撃したインタビューの後編は、YouTubeメディアに初挑戦した感想やフリー後、夫(元Jリーガーの水内猛氏)と3人の子どもたちとの関係性について話を聞いた。

YouTubeチャンネル「miraiA」で活動中の小倉弘子アナ【写真:冨田味我】
YouTubeチャンネル「miraiA」で活動中の小倉弘子アナ【写真:冨田味我】

ニュースメディア専門YouTubeチャンネル「miraiA」で活躍中

 昨年12月にTBSを退社したフリーアナウンサーの小倉弘子が新たな扉を開いた。今年6月にニュースメディア専門のYouTubeチャンネル「miraiA(ミライエース)」を立ち上げ、政財界などからのゲストに対し、鋭い質問をぶつけて本音に迫るなど、活動の幅を広げている。小倉アナを直撃したインタビューの後編は、YouTubeメディアに初挑戦した感想やフリー後、夫(元Jリーガーの水内猛氏)と3人の子どもたちとの関係性について話を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

――初めてのYouTubeチャンネルということでテレビとの違いや苦労もあったのでは。

「そうですね、やっぱり再生回数は気になります。それだけが目的ではないので、あまり振り回されないようにはしていますが、個人的にとても面白いと思った動画が思ったより伸びなかったり、意外な話に数字が伸びたりとネットならではの反応を見ながら学んでいるところです。中でも過激な発言はテレビと同じように数字につながるところはあると思いますが、聞き手として公平な立場でいることを心がけています」

――7月の参院選前には各政党代表に話を聞いていました。感想はいかがでしたか。

「政治の問題と向き合うのは久しぶりでしたが、各党の政策の内容を直接聞いて肌で感じたことは、昔よりもスポットライトの当て方一つでその政党や代表の顔が違ってくるなって。話を聞けば聞くほど分からなくなるようなところもありましたし……。給付か減税かみたいな議論だけを取り上げても、今の日本の社会では所得の違いによって意見が大きく分かれますし、確かに意見もバラバラになるよなって感じました。私も市民の1人として喫緊の課題と長期的な課題をちゃんと整理して考えないといけないと思いましたし、それを整理できる人がこれから必要になってくると感じました。またその一方で政治を扱う難しさも感じました」

――と言いますと。

「実際に私は主義主張みたいなものは全く持っていないのですが、動画を公開する順番やお相手の話を真剣に聞いていた、その表情だけで『小倉さんはこの人(政党)を支援しているんですね』と勝手にラベリングされてSNSで拡散され、1人歩きしてしまうというネットの世界の怖さを感じました」

――また、「miraiA」ではフジテレビ問題や女性アナウンサーに関する問題も議論しました。局アナとして20年以上、テレビ局に携わった小倉さんが自らこの話題に切り込んでいくという驚きもありましたし、ネットメディアだからこそできた企画でもあるなと感じました。

「おっしゃる通りです。やっぱり管理職を経験した女性アナウンサーという立場から、この話はいつか触れなくてはと思っていました。これも今の私のチームだからこそ、さまざまな視点で話ができたと思います」

――実際に小倉さんも周りから「どうだったの?」と聞かれることがあったのでは。

「ありました。友人から『実際はどうなの?』って聞かれましたけど、やっぱり友人も組織の中で女性という立場で苦労してきた人なので、似たようなケースはどの業種にも当てはまるよねって話をしました。この問題は決してアナウンサーだけでくくってはいけない問題だと思っています。もっと言うと性別も関係ないですし、これを教訓に社会の問題として考えていく必要があると感じました」

――今後は、政治経済分野だけでなく、文化人やスポーツ関係者など幅広いゲストを予定されているそうですね。

「そうですね。毎回スタッフと人選を考えながら進めているのですが、私がお会いしてみたい方から全く知らない分野の方まで、さまざまなゲストのお話をお聞きできるのが楽しみです」

――熱い気持ちが伝わってきますね。フリーになってからも、局アナ時代と変わらない多忙な毎日を過ごされているようですが、家にいることも多いとか。

「はい。子どもたちの習いごとの送り迎えができるようになったのは、良かったです。でも、この夏、私が家にいて喜んでくれるのは小学2年の息子だけです。長女は高校3年でブラスバンド部の最後の夏なのでほとんど家にいないのですが、中学1年の次女は夏休みくらいゆっくりさせて欲しいと好きな動画を1人でのんびり楽しみたいと思っていたら、私がいるもんだから、『何で家にいるのよ』って突っ込まれています。おまけに夫もいると『家族そろっているんかい!』って(笑)」

実は運動が苦手な小倉アナ【写真:冨田味我】
実は運動が苦手な小倉アナ【写真:冨田味我】

親子ゲンカはしょっちゅうです

――親子ゲンカはありますか。

「ありますよ。次女は反抗期の真っ最中なので、しょっちゅうです。でも長引かせたくないので1回ワーッてお互いに言い合ったら止めるようにしています。どうしても止まらない時は『もうやめなよー』と、夫が仲裁に入ります」

――ケンカした時はお父さんがお子さんの味方になってくれる。

「そうですね。次女は夫の方がコミュニケーションが取りやすいかもしれませんね。でも夫は厳しい面もあって、ちょっとでも習い事で手を抜くと『だったらやめなさい!』って叱るので、そんな時は私に甘えてきます」

――元Jリーガーの水内猛さんが父親ということで、お子さんたちも運動が大好きだそうですね。

「おかげ様で3人とも運動神経だけは抜群です。私は運動が苦手だったので、夫に似てくれてホッとしています」

――小倉さんはスポーツキャスターを担当していたので、運動が得意なイメージがありましたが。

「それはイメージだけです。意外とスポーツ選手の子どもあるあるで、実は運動が苦手な子も多いとよく話に聞きます」

――ところで、水内さんと家事の分担はどのように。

「それはよく聞かれる質問なのですが、特に話し合って分担するみたいなことは一度もなくてお互いに気付いた人がやるみたいなスタンスです。でもだいたい食器洗い、洗濯、お掃除は夫がやってくれます。気がつくといつも夫がコロコロしながら目の前を横切っていきます(笑)」

――とても几帳面な方ですね。

「女性が多い家なので『お父さん臭い!』とか言われちゃうので(笑)」

――ご夫婦で子育てをする上で大切にしてきたこととは。

「やっぱりあいさつですね。それと一度決めたことはちゃんとやるという責任感を持ってもらうことです」

――将来お子さんが、お父さんやお母さんみたいに人前で活躍したいと言ったら、どうしますか。

「もちろんやりたいことをやればいいと思っています。親なんて簡単に超えていって欲しいと思っていて、もうすでに超えてしまっているところもありますから何も心配していません」

――最後に小倉さんの今後の抱負をお願いします。

「まずはこの『miraiA』というチャンネルをどんどん大きくしていきたいです。始まったばかりですが、私がやりたかったことが少しずつ形になっているので日々とてもやりがいを感じています。チームスタッフのみなさんも一生懸命支えてくれるので、これからどんどん挑戦していきたいと思います。ぜひYouTubeチャンネルをご覧いただけるとうれしいです」

□小倉弘子(おぐら・ひろこ)1974年9月4日生まれ。東京都出身。東洋英和女学院大卒業後、97年にTBSに入社。同期のアナウンサーに安住紳一郎アナ、伊藤隆太アナらがいる。『筑紫哲也 NEWS23』『はなまるマーケット』『サンデージャポン』『輝く!日本レコード大賞』など主要な番組を担当。ラジオでは『ジェーン・スー 生活は踊る』に出演するなど、TBSを代表するアナウンサーとして活躍。2005年4月14日に元プロサッカー選手の水内猛氏と結婚し、1男2女をもうけた。24年末に同局を退社し、フリーとして活動を開始。25年6月にYouTubeのニュースメディア「miraiA」を立ち上げた。

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