ロバート秋山、喪黒福造“再現”の舞台裏 オファー時はMAX体重103kg「できる限り雰囲気を似せられるように」

お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が、Prime Videoで独占配信中の実写ドラマ『笑ゥせぇるすまん』で主役の喪黒福造(もぐろ・ふくぞう)を演じ、その“怪演”ぶりが話題になっている。コントでさまざまなキャラクターになりきり、NHK大河ドラマ『光る君へ』で好演。役者としても評価の高い秋山に、お笑いと俳優業について聞いた。

インタビューに応じたロバートの秋山竜次【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じたロバートの秋山竜次【写真:ENCOUNT編集部】

初代の声優を務めた大平透さんの声を参考

 お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が、Prime Videoで独占配信中の実写ドラマ『笑ゥせぇるすまん』で主役の喪黒福造(もぐろ・ふくぞう)を演じ、その“怪演”ぶりが話題になっている。コントでさまざまなキャラクターになりきり、NHK大河ドラマ『光る君へ』で好演。役者としても評価の高い秋山に、お笑いと俳優業について聞いた。(取材・文=イシイヒデキ)

――実写版のオファーが来た際は、どんな心境でしたか。

「僕の中では『伊東四朗さんが喪黒をやっていた(1999年、テレビ朝日版)』というイメージがあったので、『その流れで大丈夫かな?』という気持ちがありました。でも、喪黒はやりたかったので『これは来た!』という気持ちでした」

――メインビジュアルや予告動画が解禁された直後は、喪黒を完全再現したような姿が話題になりました。

「いろんなコント衣装で『これ喪黒じゃねぇか!』と思うことがありました。メイクさんに眉毛をつぶしてもらったり、バーのシーンではかつらをして、できる限り雰囲気を似せられるように意識しました。フォルムに関しては、たまたまマックス体重の時にオファーをいただいて撮影時は103キロでしたね(笑)」

――ビジュアル面で特にこだわったポイントを教えてください。

「喪黒のたれ目を再現するために、眉間(みけん)を少し帽子で吊って目をバキバキにしました。1ミリの差でも変わってくるのですが、条件が整うとより喪黒の顔に近づくことがあるんです。鏡を見ていたら『ここだ!』という所があって、帽子の角度を変えたり、サイズを小さくしてみたりして細かく調整しました」

――声や独特な笑いも忠実に再現されていました。どのような役作りをしたのでしょうか。

「初代の声優を務めた大平透さんの声を聴いて寄せていって、『何となくこんな感じなのかな?』と探りながらやっていました。コントでいろんなおじさんを演じて、『オーッホッホッホッホッ』という笑い声も過去にやった記憶がありましたし、変な笑い方が好きで『スリラー』(マイケル・ジャクソン)の『アーッハッハッハ』というのも真似していたので、引き出しにはあったのかもしれません。コントの経験が役立ちました」

――冒頭の語りのシーンも、本家である大平さんの声と思えるほどの再現度でした。

「始まりは一番大事な部分だと思ってこだわりました。歩き方や影も同じ感じにしていただいたんです。でも、冷静に考えると喪黒の歩き方はおかしいんです。ただ、右左に揺れている。あの歩き方だと全く前には進みません」

大河で好演も「本物のお芝居はまだ難しい」

――『光る君へ』での演技も印象に残りました。秋山さんの演技力が、あらためて世間に認知されたのではないでしょうか。

「自分では分かりませんが、演技は自分の中で落とし込んでやっています。大河ドラマは周りの雰囲気に助けられていると感じました。コントだと自由にやって、困ったらコメディーな顔をしますが、本物のお芝居はまだ難しいです。どうしてもコント表情に逃げてしまいます」

――いかりや長介さんや片岡鶴太郎さんのように、お笑い出身の方が本格的に俳優活動をして評価されてきた例もあります。今後の俳優業をどう考えていますか。

「もう、演技の引き出しがありません(笑)。今回はたまたまいい役、素晴らしい作品にめぐり合わせていただきました。ドラマの撮影は何か月も時間が必要なので、それが続くとコメディーストレスが溜まってしまいます(笑)。面白いことはずっとやっていたいので、その時に演じてみたい役、楽しそうだと思ったら、精いっぱいやらせていただきます」

――秋山さん主演の『笑ゥせぇるすまん』も大好評ですが、秋山さんは続編を意識していますか。

「いい反響があるということなら、続編の可能性はあると思います。でも、期待し過ぎると喪黒に『あなた、続編ありきで取材を受けましたね。続編を考えるのはまだ早いですよ。ドーン!』と言われてしまいそうです。なので、欲張らず心の中に喪黒を置きながら生活しようと思います(笑)」

□秋山竜次(あきやま・りゅうじ) 1978年8月15日、福岡・北九州市生まれ。吉本興業のNSC東京校4期生。98年に山本博と馬場裕之とお笑いトリオ・ロバートを結成し、2011年に『キングオブコント』で優勝。個人では、フジテレビ系『IPPONグランプリ』で3度優勝し、15年3月からYouTubeで『ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル』を開始。俳優としては、NHK大河ドラマ『光る君へ』、映画『デトロイト・メタル・シティ』などに出演している。175センチ。血液型B。

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