栗山千明、晩酌への徹底したこだわり「譲れない」 ドラマ主演も転機に…“まるで美幸”な生活ぶり

「美幸は私で、私が美幸だなって」――。現在放送中のテレビ東京系連続ドラマ『晩酌の流儀4』(金曜深夜0時42分)で主人公・伊澤美幸を演じる俳優の栗山千明は、弾ける笑顔でそう明かす。2022年のシーズン1から主演を務め、今作で第4弾に。『孤独のグルメ』に続く同局系人気グルメドラマの裏側を探るとともに、昨年芸能生活35年を迎えた俳優としての“流儀”に迫った。

インタビューに応じた栗山千明【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた栗山千明【写真:荒川祐史】

『晩酌の流儀4』で主人公・伊澤美幸を熱演

「美幸は私で、私が美幸だなって」――。現在放送中のテレビ東京系連続ドラマ『晩酌の流儀4』(金曜深夜0時42分)で主人公・伊澤美幸を演じる俳優の栗山千明は、弾ける笑顔でそう明かす。2022年のシーズン1から主演を務め、今作で第4弾に。『孤独のグルメ』に続く同局系人気グルメドラマの裏側を探るとともに、昨年芸能生活35年を迎えた俳優としての“流儀”に迫った。(取材・文=猪俣創平)

 白いシャツに紺のパンツスーツ姿……美幸の劇中衣装でインタビュールームに爽やかに登場。今シーズンの撮影で気になった料理について、時折スタッフらとも会話が弾み笑顔を見せるなど、終始和やかな雰囲気で取材が進んだ。

 本作は「1日の最後に飲むお酒をいかにおいしく飲むことができるか」を追求するグルメドラマ。2022年にシーズン1がスタートし、同年末にスペシャル、23年にシーズン2、24年にシーズン3と1年おきに放送してきた。

 シーズン4となる今回は、25年7月クールと10月クールでそれぞれ“夏編”、“秋・冬編”と称して2クール連続というテレ東深夜ドラマでは異例の放送に。シーズン4を迎え、栗山は「『このまま続いてくれたらな』という願いがかないました」と喜びをかみしめ、「まだまだ料理のメニューやドラマになるシチュエーションも含めて、ネタ自体はたくさんあります。視聴者の方に求めてもらえれば、これからも長く続けられる作品だと思いますが、(今回)ありがたい気持ちと、その期待にちゃんと応えられるように、というプレッシャーを感じて緊張がありました」と心境を明かした。

 栗山演じる主人公の美幸は、不動産会社の敏腕社員でありながら晩酌という日々の幸せのために全力を尽くす人物で、おいしいお酒を飲むためのストイックな生活スタイルも印象的だ。晩酌に心血を注ぐ美幸について「自分で言うのも恥ずかしいのですが、本当に“私が美幸で、美幸が私だな”と思います」と、共通点の多さに照れ笑いを浮かべる。

 栗山自身、仕事からの帰宅途中には「家に帰ってどう晩酌するか」を考え、大好きな晩酌が「一日の活力そのもの」と明言する。「考え方として本当にそっくりだと思いますね。晩酌をおいしく楽しみたい、そんな時間を過ごしたい……本当に私と一緒です。撮影で遅く終わる日や、翌日が早い日もあるんですけど、晩酌は譲れないんです」とライフスタイルのこだわりを語る。

『晩酌の流儀』が始まってからは、美幸のようにお酒のグラスを冷やすようにもなったそうで、「(晩酌時間が)なくなったら生きている楽しみがないじゃないですか(笑)。ストレスの発散にもなりますし、やっぱり食べ物って自分の体を作るものだと思っているので、そこは大事にしたいなと思っています」と熱弁した。

 劇中では、美幸の手際のいい料理シーンも見どころの一つ。栗山自身、自宅で手料理を作ることがあるという。特に海鮮系が多いようで「お魚をさばいたり、貝が好きなので貝を買ってきたりもします」とまるで美幸のような暮らしぶりだ。

 また、お酒をキンキンに冷えたグラスに注ぎ美幸がおいしそうに飲む姿や手作り料理の数々が、視聴者の間で“飯テロ”と放送ごとに話題を呼んでいる。しかし、シーズンを重ねる中で、演じる上での葛藤や難しさがあったという。

「どうしても(演技を)変えたくなると言いますか……『いつもこれでいいのかな?』と気持ちが揺らぎます。いつもおいしそうに『うわあ~!』って表情にしていますが、たまには違うことをした方がいいんじゃないか? とか考えてしまって。でも、変わらない良さがあると思うんですね。なので、変えたいという役者心をぐっとこらえて、今まで認めてもらえている部分をちゃんと続けていくようにしています。そこが難しいですね」

昨年芸能生活35周年に…転機となった作品と“流儀”とは【写真:荒川祐史】
昨年芸能生活35周年に…転機となった作品と“流儀”とは【写真:荒川祐史】

ビールを注ぐおなじみシーンは「正直大変です」

 ちなみに、ワンカットでお酒を注ぐ実演シーンについて尋ねると「それが難しいんです」と苦笑し、撮影での試行錯誤を教えてくれた。

「正直、大変です。まず、グラスが奇麗に冷えているものをスタッフの方に用意していただきます。カメラ前に持ってきて、冷えが甘いとかムラがあるとグラスチェンジになるんです。『これでいきましょう』とグラスが決まっても、私が失敗することもあります。あとは湿度、温度、お酒自体の冷え方で泡の立ち方が変わるので、『うう、今日は……』と思う回もあります(笑)。グラスの形状によっては、急に泡がブワっと出てくるので微調整しながら、テストから何回もやらせていただきます。だから、どうしても撮影に時間がかかっているかもしれません」

 料理のシーンもお酒のシーンも一切の妥協を許さない――。常に真摯(しんし)に役と向き合う俳優としての矜持がうかがえる。そんな栗山は、昨年芸能生活35周年を迎えた。1999年にホラー映画『死国』で俳優デビューを飾ると、クエンティン・タランティーノ監督の代表作の一つ、米映画『キル・ビル Vol.1』(2003年)で女子高校生の用心棒・ゴーゴー夕張役を好演し、海外からも一躍注目を集めた。

 若手時代から華々しくキャリアを重ねる中、ある作品との出合いで、勢いがさらに増す。「10代の時に、アクが強い役をずっとやっている中で、NHKのドラマ『ハゲタカ』(07年)に出たことで地に足がついたというか、現実的な役もやらせていただけるようになりました」と一つの転機だったと振り返った。

 その後も恋愛ドラマやサスペンス、時代劇と幅広い作品で活躍してきた。中でも、やはり『晩酌の流儀』への思い入れはひとしおだ。「以前所属していた事務所を退所した後に、これだけ長く一つの役をやらせていただける作品に出合えたのもターニングポイントだと思います」とハマり役に感謝した。

 最後に、“俳優・栗山千明”にとっての「流儀」を聞くと、少し考えてから「お芝居に対して“これはこう”とか“こうしなきゃ”と、型にはめないことが自分の流儀だと思います」と明快に答え、「いろんな監督さんがいたり、さまざまな作品がある中で、『自分はこういう芝居だ』『こういう役者だ』と決めつけずにいたことで、柔軟に今までいろんな役をやらせていただけたのかな、と思っています」と回顧。歩んだ道が、彼女の輝きを物語っていた。

 これからも一日を締めくくるおいしい一杯のために、硬軟自在に自らの“流儀”を貫いていく。

□栗山千明(くりやま・ちあき)1984年10月10日、茨城県出身。ティーン誌のモデルを経て、1999年に映画『死国』で俳優デビュー。その後も映画『バトル・ロワイヤル』『キル・ビル Vol.1』など数々の話題作に出演。2010年にはアニメ『機動戦士ガンダムUC』主題歌である『流星のナミダ』で歌手デビューも果たす。現在は、ドラマや映画、CMなど多方面で活動する。

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