【LDH/DDT】ダンサー武知海青がプロレスラーになったワケ 裏にある「一番大事にしていること」
2024年2月、プロレス界に彗星のごとく現れた武知海青。THE RAMPAGEの一員として活動している彼が、DDTのリングでプロレスデビューを果たしたことは大きな話題を呼んだ。2024年はわずか3試合ながら大きなインパクトを残し、専門誌の新人王を獲得。そして今年に入り、LDH所属のままプロレス団体DDTへの入団を発表。ダンサーとプロレスラーの“ハイブリッドパフォーマー”という、新たな道を踏み出した武知を直撃した。

ダンスを始めてからはうれしいこともあったが、悔しいこともたくさん経験した
2024年2月、プロレス界に彗星のごとく現れた武知海青。THE RAMPAGEの一員として活動している彼が、DDTのリングでプロレスデビューを果たしたことは大きな話題を呼んだ。2024年はわずか3試合ながら大きなインパクトを残し、専門誌の新人王を獲得。そして今年に入り、LDH所属のままプロレス団体DDTへの入団を発表。ダンサーとプロレスラーの“ハイブリッドパフォーマー”という、新たな道を踏み出した武知を直撃した。(取材・文=橋場了吾)
武知の母親はダンススタジオを経営している。その背景もあり、武知は生まれながらのダンサーともいえる。
「幼い頃からダンスをしていたんですが、コンテストチームに入って人前で踊るようになると、評価されたり順位がついたりして良くない結果ばかりが続くこともあったんです。もちろんうれしいこともあったんですが、悔しいこともたくさん経験していく中で、自分のダンスをもっとたくさんの方に見てもらいたいという気持ちはありました。自分でもどうしたらいいのか全く分からないままコンテストに参加していたんですが、スカウトをしていただけて芸能界の道に挑戦してみようと思いました」
その決意をしたのは、武知の思春期真っただ中だった。
「当時は周囲のみんなも進路を決めるときで『いい高校に行きたい』『なりたい職業に合わせて高校を選びたい』みたいな話をしていました。自分は親のダンススタジオを引き継ぐという夢もあり、ダンスの道に進みたいという気持ちが大きかったので、その夢を追いかけたいと。親にも相談して『まあ、勝負をしてみてもいいんじゃないか』と。正直なところ、親にも不安はあったみたいで。母親は元々芸能界にいた身でもあるので、その厳しさを知っていますから。でも、自分的にはここまでダンスもやってきて、いろいろな方々に見てもらいたいという夢もあったので芸能界に進みたいという話をして、家族みんなで頑張ってみようということになりました」
ちなみに歌の方はというと……。
「歌は壊滅的です(笑)。昔も今も本当にダメです(笑)」

一歩踏み出して挑戦している姿を見せる…自分が見せたい姿はプロレスでも表現できる
その武知に転機が訪れる。2022年10月からABEMAで配信されたドラマ『覆面D』にハオウ役で出演、ドラマながらプロレスラー役を演じた。
「ドラマは声をかけていただいたのがきっかけです。当時プロレスは映像では見たことがあったんですが、生では見たことがなくて。もともとは役者をやりたいという気持ちが強くて、その役がたまたまプロレスラーだったんです。ただこれはあくまで“最初”の順番であって、プロレスの練習をしていく中で『プロレス、楽しいな』という気持ちが大きくなって、逆転していったんですよね。(コーチの)大石(真翔=当時DDT所属、現フリー)さんから、何をやってもすごく褒めていただいて。『なんでもできるね! プロレスラーに向いているよ』と。『俺、こんなに運動神経良かったっけ?』みたいな感じでした(笑)。でもそこで気づいたんですよね、リングとステージの表現の方法もそんなに変わらないのかなと。大石さんからも『THE RAMPAGEの武知海青でリングに立ってみたら? その方が表情も感情も伝えやすいよ』と。自分が表現したいことって、プロレスでも表現できるんじゃないかなと思うようになりました」
武知が考える「表現したいこと」とはどのようなものなのだろうか。
「僕はアーティストなので、自分が一番大事にしていることは『挑戦すること』なんです。挑戦することで勝ったり負けたりしますけど、成功しても壁にぶつかってもいろいろな答えが出る瞬間だと思うんです。最近の若い子たちは挑戦することを恐れているというか……SNS社会ですし周りからの目が目立つようになっている今、何事にも前に一歩出づらい世の中になってしまったとは感じるんですが、一歩踏み出すことで自分はこんなにできるんだという風に自分自身を高めることができたので、挑戦している姿、戦っている姿、立ち向かっている姿を見せることでファンの方々にも何かを感じ取ってもらいたいですね。自分が立ち向かっている姿を実際に見てもらうことで、伝えることができるんじゃないかと思っています」
武知はダンス以外に柔道の経験があった。その経験というのが、一般論では語れない型破りなものなのだが……。
「THE RAMPAGEに入ってからですね、柔道は。体を鍛え始めたときに『強そうだね』と言われたことがあって、それが悔しくて。『強そう』ではなく『強い』ということを証明したくて、当時格闘技の中で好きだった柔道を始めました。習い始めて3か月くらいでトーナメントに優勝して一発で黒帯になって……人一倍集中力があるらしく、技術というより勝負のメンタルは強いのかもしれません。その分プライベートではメンタルが弱いこともあるんですが(苦笑)。表に立つ以上負けたくないですし、勝ちにはこだわる性格なので、ここまで結果がついてきているのかなとは思いますね」
(26日掲載の後編へ続く)
