94歳・野村万作、最新主演映画はコーヒーCMに続いて「2回目」の晴れ舞台 萬斎「“違いのわかる男”ね」

狂言師の野村万作、野村萬斎、野村裕基が23日、都内で行われた映画『六つの顔』の公開記念舞台あいさつに登壇した。同作にまつわるトークを繰り広げた。

イベントに登壇した野村万作
イベントに登壇した野村万作

映画『六つの顔』公開記念舞台あいさつ

 狂言師の野村万作、野村萬斎、野村裕基が23日、都内で行われた映画『六つの顔』の公開記念舞台あいさつに登壇した。同作にまつわるトークを繰り広げた。

 同作は、“人間国宝”の狂言師・野村万作と、万作が磨き上げてきた狂言『川上』を舞台裏とともに収めたドキュメンタリー。650年以上にわたり受け継がれ、人々を魅了してきた狂言の第一人者であり、芸歴90年を超えてなお、現役で舞台に立ち続ける万作の人生の軌跡に迫る。

 現在94歳の万作。同作の公開について「昨日と今日でございますから、いくつかニュースが入ってきて、こういう感想を誰が述べたとかを聞くたびにうれしく思っております」と喜び、「知った方もいらっしゃいますし、知らない方で『こういう映画を見て感動した』とおっしゃってくださった方もいる。私としては、600年の伝統を持つ狂言の、しかも作品のいい『川上』を取り上げたことに意義が十分になったのではないかと思っております」と述べた。

 犬童一心監督は「万作先生がよく『自分たちがやる狂言は、まず美しくなければならない。その後に面白さがある』とおっしゃっている。万作先生と『川上』の映画を撮る以上、その言葉に準じた映画にしないといけないと思った。できるだけその言葉の通りに、美しさを保ち、面白さも映像としてきちんと伝わるよう心がけています。あとは万作先生のシルエットやたたずまいをできるだけちゃんと残そうということを、ものすごく心がけました」とコメント。

 萬斎は、万作と犬童監督のタッグについて「(犬童監督に)非常にリスペクトを持って撮っていただいた」と言い、「手練手管を尽くすということでもなく、自然体を自然に撮るということだったのではないか。世阿弥がですね、『老木の花(おいきのはな)』という話をする。老いた木に桜が咲くというのを究極の美だと言う。うちの父は少なからず、そういう芸境に入っている。観察者、犬童一心監督がそれを眺めている。そういうことがこの映画の1つの在り方なのではないかと思います」と語った。

 最後のあいさつで万作は、マイクを手にすると「私のこういう晴れがましいのは2回目です。1回目は、インスタントコーヒーのテレビコマーシャルに出たこと(笑)。我々狂言の人間が、コマーシャルに出た最初だと思っています」と「ネスカフェ ゴールドブレンド」の人気CMシリーズに9代目として出演したことに言及し、会場を笑わせてニンマリ。隣にいた萬斎が「“違いがわかる男”ね」と補足した。

 さらに万作は、締めの言葉を求められて、裕基から「当たるといいな」と言う言葉を勧められると、万作は「『当たるといいな』ではちょっと下品ですから。……“当然、当たる”と思います」とほほ笑み、会場から拍手喝采に包まれた。

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