【マリーゴールド】リングを降りても憧れられる、お客さんを味方につけて戦う存在…MIRAIの目指すプロレスラー像

2024年4月、MIRAIはスターダムを退団しマリーゴールドへの入団を発表。その気持ちは「ロッシー小川さんについていく」というシンプルなものだった。経験値やキャリアを考慮すると、どうしても後輩たちを教えることが増えてしまったMIRAIだが、自身の練習もしっかりこなしていた。そしてマリーゴールドでは、これまで接点がなかった良きライバルも現れた。インタビュー後編では、MIRAIの今、そして理想のレスラー像を探った。

目指すレスラー像を語ったMIRAI【写真:橋場了吾】
目指すレスラー像を語ったMIRAI【写真:橋場了吾】

全力で応援してくださる方に全力で応えたいから、全力で練習をする

 2024年4月、MIRAIはスターダムを退団しマリーゴールドへの入団を発表。その気持ちは「ロッシー小川さんについていく」というシンプルなものだった。経験値やキャリアを考慮すると、どうしても後輩たちを教えることが増えてしまったMIRAIだが、自身の練習もしっかりこなしていた。そしてマリーゴールドでは、これまで接点がなかった良きライバルも現れた。インタビュー後編では、MIRAIの今、そして理想のレスラー像を探った。(取材・文=橋場了吾)

 インタビュー前編ではコーチによる練習の違いの話になったが、その続きを。東京女子、スターダム、マリーゴールドと3団体を渡り歩いたMIRAIが憧れている選手がいる。それがスターダム時代に同じユニットに属していた朱里だ。

「朱里さんは基礎体力からしっかり見てくれます。あとグラップリングの練習もしてくれます。本当に朱里さんはカッコいいんですよ。一般論として、キャリアがあがっていくとある程度自由がきくというか、プロレス界でいうとキャリア3年までは雑用もしっかりこなすのが通例なんですが、朱里さんはあれだけのキャリアがあるのに練習も指導するだけではなくて全部一緒にやってくれるんです。かつその練習が一番できているのが朱里さんで、かつパーソナルにも通って……もう憧れでしかないです。私は憧れられる人になりたいですし、カッコいい背中を見せられる人でいたいので、それで練習へのマインドが作られていると思います。全力で応援してくださる方に全力で応えたいから、全力で練習をするし何でも100%でやるという気持ちです」

 練習も全力で、という姿勢はMIRAIが習っていた柔道時代に遡る。

「もともと柔道を習っていたときから親からは『練習を休むな』と。いいかどうかは別として、台風の日でもみんな休んでいるのに連れていかれて。でも、人数が少ないときの方が濃い練習ができますし、キツいといえばキツいんですけど嫌ではなかったです。その影響もあって『練習は休まないもの』なんです」

 旗揚げから1年強、ついにマリーゴールドにも自前の道場ができた。

「いつでも練習できる環境ができましたし、コーチ(近藤修司)もいて成長するしかない環境ですね。例の技失敗動画については、自分は良いことにも悪いことにも目を通す受け止め派なので、種を蒔いているのは自分たちだなと。その元ネタを提供しなければいいと思っていました。なので、外部からコーチを招聘して俯瞰の目で見てもらえるのは本当に良かったと思います」

 MIRAIはマリーゴールド以外の団体の試合もよくチェックしているらしく、ある2選手の受け身がそっくりだと指摘した。「二人とも体幹が強いから、ああいう受け身になるんですよね」とMIRAI。その2選手が誰かは、皆さんの想像に任せよう。

青野未来とは毎回死闘を繰り広げている【写真:(C)マリーゴールド】
青野未来とは毎回死闘を繰り広げている【写真:(C)マリーゴールド】

お客さんも一緒に戦って味方につけて、という試合を続けていきたい

 旗揚げ直後は試合内容に厳しい声もあったマリーゴールドだが、その中で内容保証付きの鉄板カードになったのが「MIRAIvs青野未来」だった。3試合連続で時間切れ引き分けなど実力も拮抗、2024.7.13両国大会では青野が勝利したものの、先日8.2大阪で行われた久々のシングルマッチも時間切れ引き分けに終わった。

「正直なところ、(青野がいた)アクトレスガールズのことは詳しかったわけではないんです。でも、スターダムにもアクトレス出身の選手は多かったので、色々な個性を持った選手がいる団体だなとは思っていました。(青野は)厚みはありますけど、身長がそれほど高いわけではないのに、リングの上に立つと大きく見せる選手だなと思いましたね。あと打撃なら打撃、パワーならパワーという選手が多い中、全部やっちゃう選手なのでどう攻略すればいいの?という感じの選手です。あと……蹴りは強烈すぎるんですよ!(笑) この間のシングルは久々だったので、新鮮な感じがしました」

 当の青野も、MIRAIには特別な思いを持っている。

「今や一番のライバルだと思っていますよ。最終的にMIRAIに勝って初代のUN王者になれましたけど、それまでのMIRAIとの戦いがなかったらそのあとの試合も乗り越えられなかったかもしれないですし、お客さんからも認めてもらえなかったかもしれないですし。MIRAIのおかげで、本当の意味でチャンピオンになれたと思っているので、ライバルであり大事な存在です。先日は久々にシングルで戦ってまた時間切れだったんですけど、MIRAIとの試合を戦い抜けたのは、逆に自信になりましたね」

 そしてもう一人、MIRAIの魂に火を点けた選手がいる。それが7.13新木場で対戦したマーベラスの桃野美桜だ。

「他団体さんの試合に出るというのは今までほぼなかったので、こっちも負けられない気持ちで行くじゃないですか。で、入場した瞬間のアウェイな感じ……これぞ対抗戦だなと思いました。負けられない戦いではあるんですが、自分のいつもの戦い方の目標である『お客さんを味方につけて一緒に戦う』ことができない難しさは感じましたし、すごく緊張しましたね。結果的に負けたのですごく悔しいんですけど……桃野美桜といういい相手を見つけた感もありますね」

 現在マリーゴールドは最強戦士を決めるリーグ戦『DREAM*STAR GP2025』が開催中で、MIRAIももちろん参加している。

「自分の中でも、お客さんからも結果を求められていますよね、どう考えても。今回こそは、という感じです。リング上でもリングを下りても憧れられる選手でいたいっていうのと、MIRAIが見た最初のプロレスがそうだったように、リング上で戦っているのはレスラーですがお客さんも一緒に戦って味方につけて、という試合を続けていきたいですね。自分がキツいときには応援してもらって奮い立たせてもらえますし、自分が何か結果を残したときには一緒に喜んでもらえる、そういう選手になりたいな……。まずは今回のDREAM*STARを一緒に戦って、優勝してみんなで喜びたいです」

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