【あんぱん】高橋文哉、博多弁が「一番怖かった」 役作りで意識する意外な軸「心臓の位置を5cm上げる」
俳優・高橋文哉が、辛島健太郎役で出演するNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、健太郎を演じる上で軸にしたことや役作り、共演した北村匠海、大森元貴の印象などを語った。健太郎は主人公・のぶ(今田美桜)の夫・柳井嵩の美術学校時代からの友人で戦友。のぶの妹・メイコ(原菜乃華)の夫でもある。

嵩の友人でのぶの妹のメイコの夫・辛島健太郎
俳優・高橋文哉が、辛島健太郎役で出演するNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、健太郎を演じる上で軸にしたことや役作り、共演した北村匠海、大森元貴の印象などを語った。健太郎は主人公・のぶ(今田美桜)の夫・柳井嵩の美術学校時代からの友人で戦友。のぶの妹・メイコ(原菜乃華)の夫でもある。
まずは朝ドラ初出演の心境を明かしてくれた。
「朝ドラはこのお仕事を始めた時からの目標の一つだったのですごくうれしかったです。緊張と不安を持ちながら現場に来たことを覚えています。出演の情報解禁は厳重で、母にも言っていませんでした。言えないことがカッコいいなと、どこかうれしかった自分がいました(笑)」
健太郎は福岡出身の設定。博多弁を話す。
「一番怖かったというか、大丈夫かな、という部分が一番大きかったのはそこでした。プライベートで旅行がてら博多に現地の人の声を聞きに行きました」
健太郎はいつメイコに恋心を抱いたのだろう。
「皆さんに想像していただこうと思いながらやっていました。正解はないと思いますが、メイコが心の片隅にずっとい続けただろうということだけは大切にしようと思っています」
仕事はNHKのディレクターの設定。ユニークなエピソードを紹介してくれた。
「健太郎がNHKのディレクターになったという台本ができてスタッフさんたちが知った時、物語は昔のお話なので、スタッフさんたちから『俺たちの大先輩だ』といじられて何と反応していいか分からず『そっすね』と答えていました(笑)」
健太郎を演じる上で大切にしている軸もあるという。
「外見は変えていますが、心情は変えていません。健太郎は人が好きで人たらし、底抜けの明るさとこの人のために頑張ろうと周りから思ってもらえる人。そのためクランクインからずっと心臓の位置を5センチ上げることを意識しました。それは感覚的な問題で、危なっかしさとか軽さみたいな意味を伝えたい表現…ふわついている心というか。人のテンションが上がったときのフワついている感じを常に意識しています」

“老けメイク”に最初はワクワク
外見的な変化も尋ねた。
「戦前の学生時代はふっくら、戦時中に体重を落とし戦地から帰って戻して、今もう1回落としています。今は50代を演じています。今まで25歳ぐらいが一番上で、等身大の役しか演じたことがありませんでした。なので、今回すごくその世代の男性を観察するようになりました。疲れてきた時間帯の仕草など……若い人は肩を回しますが、オジサンは揉んでほぐそうとします。今までの引き出しは通用せず、新しいものをとり入れないといけないと思っています」
自身の老けメイクをどう思うのか。
「最初はワクワクしましたが、今、現場に行くとみんな老けているので見慣れてきました。でもこんなにきれいに老けられたら最高です」
高橋にとっては父親役も初めてだ。
「結婚指輪も初めてでした。僕は兄が2人いて甥っ子と姪っ子がいます。子役の子が食べている時、後ろに倒れないように手で支えるなどを意識せず自然にやっていたのは、甥、姪を見ていたからかと思います」
高橋は調理師免許を持ち料理が得意。演じる健太郎がカレーを作って嵩と食べるシーンがあった。人に料理を振る舞う意味のとらえ方を尋ねた。
「誰かのために作るというきっかけがあるだけで、かける時間、お金、労力が全く違ってきます。その気合は料理だけでなく何にでもいえる気がします。料理を振る舞うのも他人を思う気持ちの象徴だと思うので、その気持ちは大事にしていきたいと思います」
この物語の中で健太郎はどんな存在でありたいと思って演じているのか。
「皆さんの心に空気を送り込む存在でありたいと思って演じています。戦時中、自身もたくさんつらい経験をしてきたけれど、それを出さず、元気を出して頑張っていこうと大人になってもずっと言っているんです。僕はそう登場人物に言いながら、朝、視聴者の皆さんの頭に残って一日すごしてくださればいいなと思って演じています」
放送される画面の中の自身を見て、どんな思いだろう。
「健太郎が出てくると空気の色が変わる感じがするので、皆さんにとっていい方向にはたらいていたらいいなと思います」
いせたくやを演じる大森元貴の印象はどうだろうか。
「面白い人。すごく等身大で、気張ることも飾ることもなくそこにいてくださる方。北村匠海さん、大森さん、僕の3人でいると、今ぜいたくな時間を過ごしているなと思います。年齢は僕が下なので、お兄ちゃん2人と話しているような関係性。お芝居でも負けないように準備しています」
北村についても語ってくれた。
「お話させていただいているなかで、本当にたくさんの収穫、学びがありました。北村さんと出会えたことはすごく大きな柱になると思います」
朝ドラ出演は高橋の俳優人生にとってどういう位置づけになりそうか。
「『あんぱん』という作品で辛島健太郎を演じたことにすごく意義を感じています。役で一人の人間を生ききるのは初めてで、役を作るというより役を生きている感覚で、緊張感を持って現場にいるのがすごく幸せです。すごく濃い時間を過ごしています」
