大河で注目…“弓道ガール”中島瑠菜の素顔 NEXTステージに意欲「自分が成長していけている年」
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で注目を集めた18歳の女優・中島瑠菜が『蔵のある街』(8月22日全国公開、平松恵美子監督)で映画初主演を果たした。演じた白神紅子は美術大学への進学を夢見ながらも、自閉症の兄と父を支えるため、夢を諦めようとする高校3年生。少女の成長と心の揺れを等身大で表現している。

『蔵のある街』で新境地
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で注目を集めた18歳の女優・中島瑠菜が『蔵のある街』(8月22日全国公開、平松恵美子監督)で映画初主演を果たした。演じた白神紅子は美術大学への進学を夢見ながらも、自閉症の兄と父を支えるため、夢を諦めようとする高校3年生。少女の成長と心の揺れを等身大で表現している。(取材・文=平辻哲也)
中島は2021年、松竹グループのオーディション「松竹 JAPAN GP GIRLS CONTEST Supported by BookLive」でグランプリを受賞し、華々しくデビュー。今年は『べらぼう』で大河初出演。吉原最下層の女郎屋「二文字屋」に身を置く女郎「ちどり」役で注目を集めたほか、近作は出演作が相次いでいる。
待望の初主演作『蔵のある街』は岡山県倉敷市が舞台。高校3年生の白神紅子は、自閉症の兄(堀家一希)と父(長尾卓磨)と3人暮らしという家庭の事情から美術大学進学の夢を諦めようとしている。そんな時に、幼なじみの蒼(山時聡真)が、騒ぎを起こした紅子の兄をなだめるため、「この街に打ち上げ花火を上げる」という無謀な約束をしてしまう。紅子は美しい町並みが残る“蔵のある街”で、家族や仲間との絆を深めながら、自分の未来と向き合っていく……。
「紅子は頑張ることがたくさんあって、たぶん抱え込んでしまう人。自分はあまり“頑張る”タイプではなかったので、その重さがすごいなと思いました」と率直な思いを明かす。
撮影は昨年夏、倉敷で行われた。「景観が本当にきれいで、いるだけで心が落ち着く場所でした。晴れの日が多く、暑さはありましたが、スタッフさんが涼しい場所を用意してくださって助かりました」と振り返る。撮影初期は共演者と距離があったが、堀家一希の声掛けで一気に打ち解けた。「関係性を築くには、撮影外でのつながりも大事だと気づきました」と話す。
難しかったのは、紅子の心の葛藤。「夢を押し殺して兄と頑張ろうとする気持ちと、やっぱり夢に向かいたい気持ちがぶつかる部分をどう演じるか悩みました。監督からいただいたアドバイスをつなぎながら表現しました」。小学生の頃に絵画造形クラブに通っていた経験は、紅子が美術を志す設定にも自然に結びついた。「全く関わりがなかったわけではないので、役作りもしやすく、うれしかったです」と笑顔を見せる。

熊本県出身の中島は中学時代に弓道部で活躍し、中体連(日本中学校体育連盟)の大会で優勝、県大会で2位に入った実績を持つ。
「弓道は集中するので自分との戦いでもあります。一発勝負の場面で“ここで決める”という感覚は、オーディションや芝居にも生きています」。今も近くの道場で弓を引き続け、中学時代に取得した二段を維持している。「いつか弓道部の役をやってみたいです」と意欲を見せた。
東京での生活は4年目。現在は大学で経営学を学びながら、俳優業を続けている。
「進学するか悩みましたが、“行って頑張ろう”と決めました。芝居とは全く違う分野ですが、両立していきたいです」
大河ドラマ『べらぼう』では、ベテラン俳優・かたせ梨乃らと共演した。
「遊女役はなかなか出会わない役で、見たこともない世界。ちょうど美術館で吉原展があって、それを見て時代背景を膨らませました。もちろん難しさはありましたが、かたせさんの演技を間近で拝見して、はつらつとされている姿から刺激を受けました。(かたせの出演映画)『吉原炎上』も観ていたので、同じ現場に立てたことは貴重な経験でした」
憧れの俳優は橋本愛。映画『ハピネス』(2024年)でのロリータ姿に衝撃を受けたという。
「かっこいいイメージの方がロリータを役に落とし込み、似合わせているのがすごいと思いました。私もいろんな役に出会って、いろんな人を知っていきたいです。今年はたくさん出会いがある年だと思います。新しいことを知れて、自分が成長していけている年だと思います」と力強く語った。
■中島瑠菜(なかしま・るな)2006年10月10日生まれ、熊本県出身。2021年、松竹グループのオーディション「松竹 JAPAN GP GIRLS CONTEST Supported by BookLive」でグランプリを受賞しデビュー。出演作に『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023)、『鬼平犯科帳 血闘』(24)、『九十歳。何がめでたい』(24)、『うちの弟どもがすみません』(24)など。『Seventeen』(集英社)の専属モデルも務める。2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)に出演した。
ヘアメイク:川又由紀(HAPP’S.)
スタイリング: 青柳裕美(Azzurro)
衣装クレジット
kiku製作所、Fumiku
