異色「兼業eスポーツプロ」選手の生き方…スポンサー探しに転職活動の“プロ根性”

プレイするネモ選手。大会出場のため世界を飛び回っている  (C) Team Liquid
プレイするネモ選手。大会出場のため世界を飛び回っている (C) Team Liquid

両立の作法…休日・有休休暇を利用 裁量労働制の仕事と練習時間を切り盛り

「兼業プロ」としての生活は、高い意識が貫かれている。前職時代は海外大会の出場は年間3大会ほどだったが、現在は今年だけでも国内外の約20大会に出場。海外は米国を中心に中国、香港、シンガポールといったアジア圏、欧州はロンドンやアイルランド、スウェーデンにも足を運ぶ。仕事はアプリゲームの部署でスケジュールなどの管理業務を任されており、休日や有休休暇を利用して世界を飛び回る。裁量労働制の仕事と練習時間をうまく調整。上司や同僚の理解を得ながら、副業の契約としてプロ活動を展開する。

 それに、重視しているのが「健康管理」だ。「今年は20回近く海外に行きますが、海外往復をして仕事をしてというのを繰り返すと、体を壊すかもしれない。好きな仕事ができていますけど、体を壊したら元も子もない」。午前11時からの始業前にボクシングエクササイズのジムに通い、みっちり45分間のメニューをこなす。ゲームの練習では、プロ選手仲間が集まる場所に通い、仕事が終わるのが遅い場合は自宅でオンライン対戦にはげむ。動画研究にも時間を割くといい、「対戦相手もそうですが、自分の動画を見みます。自分のどこがダメだったのか、自分が相手からどういう対策をされているのかという点をちゃんと分析しないとダメです」。時間を決めて午後11時までには練習を終えるという。

 社会人とプロ選手との両立。「それは会社のみなさんが協力して応援してくれているからこそ。転職の理由の一つとして、もっとプロ活動の幅を広げたいという思いがありました。理解ある企業に行けたというのが両立の秘訣です」。ネモ選手は充実感に満ちている。

 後編に続く

□ネモ(本名・根本直樹)、1985年1月5日、東京都生まれ。世界最大規模のeスポーツチーム「Team Liquid」に所属。大手ゲーム会社「スクウェア・エニックス」の社員とプロゲーマーとの「兼業プロ」として活動している。ゲームタイトルは「ストリートファイターV アーケードエディション」で、使用キャラクターは「ユリアン」を得意とする。理論的でアグレッシブなプレイスタイルを武器に国際大会で活躍し、主な戦績は「Red Bull Kumite 2017 Street Fighter V」(フランス)優勝、「Capcom Cup 2017」(米国)3位、「Headstomper 2019」(スウェーデン)優勝など。

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