田原俊彦に心酔したボイメン平松賢人、演歌・歌謡ジャンルに新風吹かせる決意「踊っている人、あまりいませんよね」

愛知・名古屋市を拠点に活動するボーイズグループ・BOYS AND MEN(ボイメン)の平松賢人(30)が今月27日、ソロ歌手としてシングル『メラメラ』でメジャーデビューする。昭和歌謡の大ファンで既に自社レーベルから2曲を発表し、いずれもオリコンの演歌・歌謡シングルランキングで1位を獲得。今回、日本クラウンからリリースする『メラメラ』も懐かしいエッセンスを随所にまぶし、平松が歌う「令和の昭和っぽい歌」に仕上がっている。演歌・歌謡ジャンルに「歌って踊れる“新人”」が登場した。

ソロでメジャーデビューを控えた平松賢人【写真:増田美咲】
ソロでメジャーデビューを控えた平松賢人【写真:増田美咲】

平松賢人、27日にソロでメジャーデビュー

 愛知・名古屋市を拠点に活動するボーイズグループ・BOYS AND MEN(ボイメン)の平松賢人(30)が今月27日、ソロ歌手としてシングル『メラメラ』でメジャーデビューする。昭和歌謡の大ファンで既に自社レーベルから2曲を発表し、いずれもオリコンの演歌・歌謡シングルランキングで1位を獲得。今回、日本クラウンからリリースする『メラメラ』も懐かしいエッセンスを随所にまぶし、平松が歌う「令和の昭和っぽい歌」に仕上がっている。演歌・歌謡ジャンルに「歌って踊れる“新人”」が登場した。(取材・文=笹森文彦)

 歌、ダンス、演技と多彩に活動するエンターテインメント集団のボイメンから、平松がソロ歌手としてメジャーデビューする。北島三郎、鳥羽一郎、三山ひろし、純烈らが所属する演歌・歌謡ジャンルの老舗・日本クラウンからだ。ボイメン平松のイメージとは違うが、『メラメラ』はそんな懸念を吹き飛ばして、演歌・歌謡の新世界を感じさせる作品だ。

 開放的になる真夏の恋を刺激的な歌詞と、どこか懐かしく耳なじんだメロディーとリフレインで歌い上げる。澄んだ張りのある声質が、絶妙にマッチしている。キレの良いダンスも見どころだ。

「古き良き音色を使いつつ、うまく今の時代にフィットできるような作品です。『平松が歌ったらこうなるよな』という(演歌・歌謡の)新しいジャンルを切り開きたいですね」

 平松は「昭和歌謡ファン」を公言している。昭和歌謡とは、昭和の時代にはやった音楽のこと。歌謡曲、演歌、フォークソング、ポップス、アイドルソングとさまざまな音楽ジャンルを含んだ総称。最初は両親の影響だったが、2人の歌手との出会いがその熱い思いを決定づけた。安全地帯の玉置浩二と田原俊彦だ。

「中高生ぐらいの時、玉置さんが歌う『恋の予感』をテレビで何げなく聴いたんです。そしたら、初めて電波を通した歌で感動したんです。画面を通して、『歌で伝えられることがあるんだ』と実感した。僕もこんな歌が歌えるような人になりたいと思ったんです」

 田原に心酔するきかっけは、大人の女性だけを集めたボイメンのイベントだった。カバー曲を歌うことになり、平松は田原の代表曲『抱きしめてTONIGHT』を初めて披露した。

「今までグループで味わったことのない熱狂度、盛り上がりで、僕自身、その空気のとりこになってしまったんです。その後、田原さんのライブを見る機会をいただきました。広い会場の端から端まで、余すことなくすべての人を魅了するパフォーマンスのすごさに、『俺もこうなりてえ~!』って思ったんです」

 そんな平松に自社レーベルから、ソロ曲を配信するチャンスがめぐってきた。第1弾は『灼熱ロマンス』(21年)。昭和歌謡をベースにサンバのリズムを取り入れて、大人の恋を歌い上げた。キャッチコピーは「今、聴くべき昭和がここにある」だった。

 第2弾は『ア・ヤ・シ・イ・ネ』(24年)。恋人の言動に疑心暗鬼になりつつも信じ続ける女心を昭和歌謡にラップを組み入れて歌った。

 2曲ともCD化され、オリコン演歌・歌謡シングルランキングでいずれも1位を獲得した。平松の昭和歌謡へのこだわりとチャレンジが、演歌・歌謡に新しい風を注ぎ込んだ。

「昭和って、何かめちゃ元気だったじゃないですか。今の日本を見ると、みんな暗く落ち込んでいるように感じます。でも、昭和の時代はそんなの置いといて『みんなで騒ごうぜ』みたいな。それを担っていたのが、昭和の音楽だったと思うんです。そのきらびやか過ぎる音楽、ド派手な音楽たちがなくなっちゃった。だから、『元気過ぎるエネルギッシュな曲をやりたい』とずっと思っていたんです」

 実はメジャーデビュー曲『メラメラ』にも、自社レーベルから出した2曲同様のチャレンジがある。

 昭和を代表する中森明菜、近藤真彦、さらには昭和歌謡を感じるAKB48らのエッセンスが織り込まれているのだ。それが懐かしさと耳残りの良さ、親近感を生んでいる。

「僕はいいものって何度でも使った方がいいと思っている人です。コード進行とか組み合わせは全く違うけど、それで1回聴いただけで覚えられるって、すごくいいことだと思う。(デビュー曲は)『平松が歌う令和の昭和っぽい歌』だと思っています」

自身の歩みと目標を語る平松賢人【写真:増田美咲】
自身の歩みと目標を語る平松賢人【写真:増田美咲】

結成15周年のボイメンではダンスリーダー

 結成15周年を迎えるボイメンでは、ダンスリーダーで振り付けやステージ構成も行った。そのダンスを生かしたいという。

「先日、小林幸子さんやいろんな方とご一緒させていただきました。正直、『どれだけ稽古を積んだら、(歌で)肩を並べられるんだろう』と思いました。ならば、僕の武器の『踊りながら歌えます。息切れしないんだぜ!』で戦った方が勝ち目があるんじゃないかなって(笑い)。演歌・歌謡で踊っている人、あまりいませんよね」

 目標は『NHK紅白歌合戦』出場。高いハードルであることは、重々承知している。ボイメンは名古屋市が拠点で、紅白出場で応援してくれる方々へ恩返ししたいという思いは強い。

「名古屋が好きだから、地元に盛り上がっていただきたい。そこを担っているのが、(プロ野球の)中日ドラゴンズと(Jリーグの)名古屋グランパスですが、それを僕も背負いたいです。そして、優勝バーゲンがあるように、平松が紅白に出たら『紅白おめでとうバーゲン』があってもおかしくないと思うんです(笑)。そんな夢を持って、頑張りたいと思います」

 かつて使ったキャッチフレーズ「今、聴くべき昭和がここにある。」は、平松本人が考えた。まさにその言葉通りのメジャーデビューになる。

□平松賢人(ひらまつ・けんと) 1994年11月14日、愛知県生まれ。小学校からモデルやダンサーとして活動し、2010年、オーディションでボイメン初代メンバーに。グループは16年、第58回日本レコード大賞新人賞を獲得。カメラはプロ級の腕前で、写真集の出版や写真展を開催。趣味は家電量販店巡り、旅行(御朱印集め)。175センチ。血液型O。

次のページへ (2/2) 【写真】平松賢人の撮り下ろし別カット
1 2
あなたの“気になる”を教えてください