野呂佳代、女優として引っ張りだこの今…変わらぬ信念「やれることは全部やりたい」 7クール連続で連ドラ出演中
公開中のディズニー&ピクサーの最新アニメーション映画『星つなぎのエリオ』で、星々をつなぐ“コミュニバース”の案内係・ウゥゥゥゥの日本版声優を務めたのは、タレントで俳優の野呂佳代。かつて東京ディズニーシーでキャストとして働いていたほどのディズニー好き。それだけに今回、ディズニー&ピクサー作品の初の声優に感激しており、USオーディション当時のエピソードや、7クール連続で連ドラ出演するなど、現状について思いを語った。

ディズニー&ピクサー『星つなぎのエリオ』で日本版声優
公開中のディズニー&ピクサーの最新アニメーション映画『星つなぎのエリオ』で、星々をつなぐ“コミュニバース”の案内係・ウゥゥゥゥの日本版声優を務めたのは、タレントで俳優の野呂佳代。かつて東京ディズニーシーでキャストとして働いていたほどのディズニー好き。それだけに今回、ディズニー&ピクサー作品の初の声優に感激しており、USオーディション当時のエピソードや、7クール連続で連ドラ出演するなど、現状について思いを語った。(取材・文=猪俣創平)
本作は、両親を亡くし本当の居場所を探すひとりぼっちの少年・エリオが、さまざまな星の代表が集う“コミュニバース”に招かれ、孤独なエイリアンの少年・グロードンと出会い冒険する中で、ありのままの自分を受け入れていく姿を描いた感動のファンタジー・アドベンチャー。野呂は星と星をつなぐ夢のような場所“コミュニバース”の案内係になるハイテクお助けコンピューター・ウゥゥゥゥの日本版声優を務めた。
「ディズニー作品に携わること自体、ハードルが高いことだと思っていましたので、オーディションのオファーをいただけただけで本当に光栄でした」
USオーディション(米ディズニー本社で行われた米国でのオーディション)を経てつかんだ憧れの仕事。芸能界デビュー前、東京ディズニーシーでキャストをしていたほどのディズニー好きとあって「すごく感慨深かったです。日を追うごとに感動が増していきました」と振り返った。
「ディズニー&ピクサー作品に出られると一番実感したのが、実写映画『リロ&スティッチ』を見に行った時です。上映前に『星つなぎのエリオ』の予告が流れたんですね。私が声をやっていることはまだ発表になっていなかったんですけど、見ていて泣けてきました。映画館での予告に出てくる喜びをすごく感じて、本編が始まる前なのに人知れず泣きました(笑)」
実際の収録は緊張やプレッシャーもあったが、「どうしようと悩んでいても事は進まないので、憧れから“仕事モード”に気持ちを切り替えて臨みました。シーンによってどうやって声を出すのかいろいろ挑戦させてもらえましたし、面白く言ってみようとか、自分のアイデアも組み合わせながらやらせてもらえたので、すごく貴重な経験ができました」と笑顔を見せた。
本作では主人公の少年・エリオがエイリアンの少年・グロードンと出会うことで運命を変える。野呂にとって、運命を変えた出会いがあったかを尋ねると、「AKB48ですね」と即答した。2006年にAKB48からデビューし、同グループの総合プロデューサーを務める作詞家・秋元康氏との出会いも「確実に運命が変わりました」と実感を込めた。
そんなAKB48での経験は「今の自分の基本になっています」と芸能活動の原点だったという。
「当時の自分に足りなかったものが、今になって分かることもたくさんあります。本当はもっと早く気づかなきゃいけなかったんですけど、私は失敗したことによって周りから愛をいただいて、それに気づくタイプだと分かりました。そういう意味でも、AKB48は一番の人生の転機です」

充実する日々は「正直、もっと若い時に頑張りたかった」と本音
2010年にSDN48に移籍すると、12年にグループを卒業。その後はテレビ東京系『ゴッドタン』をはじめとしたバラエティー番組でタレントとしての活躍の場を広げていった。俳優としてもAKB48時代から舞台に出演するなど活動しており、現在では連続ドラマに多数出演し、ファンの間では「出演作にハズレなし」と評判だ。
「少しずつ自分の中で形になってきています。昔は、バラエティーがやりたいのか、女優がやりたいのか、『あなたは何がやりたいんですか?』『どっちかにしなさいよ』と言われたりしたんです。でも、私はバラエティーも演技のお仕事も、やれることは全部やりたいんですね。その信念だけは昔からずっと変わりませんでした」
その言葉通り、俳優として引っ張りだこの活躍を見せる。昨年のNHK大河ドラマ『光る君へ』以降、4月期『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)、7月期『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)、同じく7月期『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)、10月期の『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)に続き、今年に入っても1月期『ホットスポット』(日本テレビ系)、4月期『なんで私が神説教』(同)、7月期『初恋DOGs』(TBS系)など、7クール連続で連ドラ出演し、存在感を発揮している。
「正直、もっと若い時に頑張りたかったなと思うこともあるんです(笑)」と本音を吐露しつつ、充実した日々を送るうちに、マイナス思考が前向きに変化した。
「仕事のあることが、どれだけありがたいことかを考えながらやっています。昔は良かったことよりもつらいことを先に思い浮かべていたし、『若い時だったらもっとできたのに』と思うこともありますけど、その時にできなかったから今の目の前の仕事を頑張るんだと、前向きな考え方に変換できるようになりました。自分の変化を感じられて、とてもうれしいです。でも、それはバラエティーもドラマも映画も、やりたいことが全部できているからだと思います」
今後もタレントと俳優、芸能界で“二刀流”として活動する考えだ。しかし、あくまでも「楽しい」ことが基本にある。
「楽しくなくなったら終わりだと思っています。今のところはバラエティーも演技もとても楽しいです。体力が続く限りはいろいろやって、楽しい人生にしたいとすごく思うんです。でも、芸能界だけが楽しい人生かと聞かれたら、きっとそうじゃないだろうとも思います。現状は自分が一番やりたいことをやれているので、そのままできたらありがたいです」
通る声でハキハキと質問に答える姿が印象的。充実した日々を冷静に語るも、その表情は穏やかで、今後も感謝を胸に、自分らしく楽しみながらまい進する。
□野呂佳代(のろ・かよ)1983年10月28日、東京都出身。2006年、AKB48に2期生として加入し、芸能活動をスタート。09年にSDN48としても活動開始。10年にSDN48に完全移籍しキャプテンを務め、12年に同グループを卒業。以後、テレビ東京系『ゴッドタン』、テレビ朝日系『ロンドンハーツ』などのバラエティーで活躍。俳優としても存在感を見せ、テレビ朝日系連続ドラマ『ザ・トラベルナース』、日本テレビ系連続ドラマ『ブラッシュアップライフ』、NHK大河ドラマ『光る君へ』などに出演。現在はTBS系連続ドラマ『初恋DOGs』(火曜午後10時)に出演中。163センチ。
猪俣創平
