賞金1億円、豪華すぎる出演者…やらせは一切なし「ガチだからこそ」 設楽統&バカリズムが明かす舞台裏
お笑いコンビ・バナナマンの設楽統とピン芸人・バカリズムが、Prime Videoで8月1日から世界独占配信されたAmazon MGMスタジオ製作のオリジナル作品『賞金1億円の人脈&人望バトル トモダチ100人よべるかな?』に“主催者”として出演している。企画構想の段階から携わり、番組の展開を左右する仕掛けの数々なども発案したという2人に大規模スケールの舞台裏について話を聞いた。

変化したポジションに思うこと「僕らは向いてるところだけを頑張ってきた」
お笑いコンビ・バナナマンの設楽統とピン芸人・バカリズムが、Prime Videoで8月1日から世界独占配信されたAmazon MGMスタジオ製作のオリジナル作品『賞金1億円の人脈&人望バトル トモダチ100人よべるかな?』に“主催者”として出演している。企画構想の段階から携わり、番組の展開を左右する仕掛けの数々なども発案したという2人に大規模スケールの舞台裏について話を聞いた。(取材・文=中村彰洋)
同番組は、日本のAmazonオリジナル番組史上最大の賞金1億円を懸けた壮大なスケールのバラエティー。さらば青春の光・森田哲矢、河合郁人、Mattがプレイヤーとして参加し、制限時間内に最も多くの友達を集めた人が1億円を手にできるというゲームに挑んだ。100人を超える芸能人や著名人が参加し、プレイヤーと“トモダチ”の本物の友情が試される究極のマネーゲームが繰り広げられた。設楽とバカリズムは、プレイヤーと集まった“トモダチ”を翻弄するさまざまなトラップなどを仕掛けていった。
――とにかく規模の大きい前代未聞なバラエティー番組となりましたが、お2人はどの段階から携わられたのでしょうか。
設楽「基本の形はもちろん作られていて、そこからルール作りやゲーム進行上の細かい部分を擦り合わせていきました。打ち合わせは何回もやりましたね」
バカリズム「最初の打ち合わせの段階では、収録予定日がすごく先だったので『実現しないだろうな』と思っていました。あまりにも雲をつかむような番組内容で、ちゃんと成立すれば面白いけれど、なんだかんだ途中で消えてしまう企画もよくあるので、実現が難しいだろうなと思っていました」
――参加者の方々も「カメラの数が多すぎる」などとスケールの大きさに言及する場面もありましたが、お2人から見ていかがでしたか。
バカリズム「セットを見た時に、お金が掛かってると思いましたね」
設楽「ないよね。こんなセット」
バカリズム「我々がいた本部のモニター台数とかね」
設楽「もちろん賞金も高額でしたが、制作費だけでもえげつないんじゃないですかね」
――そこにプラスして賞金や出演料などもあるわけですよね。
設楽「その割には俺らのいる部屋が狭くて(笑)」
バカリズム「そうなんですよ。掘りごたつみたいな」
設楽「10時間以上いたので、体が痛くなっちゃうんですよ。足入れるとこもすごく狭いんだよね。もし次回があるとしたら、あそこの居心地の改善は必要ですね」
――斬新な企画かつ出演者が多種多様なバリエーションに富んでいて、とても豪華でした。一方で、視聴者目線では「どこまでがやらせなんだろう」と勘ぐってしまう部分もありましたが、この点についてはどのように見てもらいたいと考えていますか。
設楽「やらせは本当にないですね。でも一般の方を呼んじゃうと収集つかなくなっちゃうので、そのあたりの根回しとして、プレイヤーの3人には交友関係をざっと聞き出していたはずです。その上で、『こういう人に連絡するかもしれない』と本人たちには内緒で事務所の方々には、連絡を入れているんです。だけど、そこから本当に3人が電話をするのか、そして本当に来るのかという部分はドキュメンタリーですね」
バカリズム「そもそもやらせだったら、大物芸能人の方はもっと後半に持ってきますよ(笑)。あんな前半の中途半端なタイミングでは呼ばないです。ガチだからこそ、あんなタイミングで来ちゃうんです」
設楽「俺らはあまり知らないですが、“この人はやめてください”もあったと思います。配信までに支障が出るような人が来ちゃうと困りますからね(笑)。いずれにしても規模がすごすぎて、スタッフの方々は大変だったと思います」

まさかの木村拓哉が登場「僕には手に負えないので来ないでほしかったくらいです(笑)」
――では本当にお2人も誰が来るか分からずに収録されていたんですね。
設楽「だから、ぶっちゃけ誰だか分からない方もいらっしゃいました。スタッフの方に調べていただいて、カンペで出してもらったりね」
バカリズム「ちょくちょくいましたよね。その分野ではめちゃくちゃすごい方なんですけど、僕らが全然分からなくて」
設楽「Mattのトモダチには、毛色が違う方々が多かったですからね。そういった部分でも面白かったです。本当に筋書きはないので、フラットに見てもらった方が楽しめると思います」
――そういった意味では、プレイヤーが電話する段階でざわつくこともあったのでしょうか。
設楽「まさにあの大物の人はとかはそうでしたよ。なんなら電話しないでほしいって思いました。来てもらってもどう対応したらいいのか(笑)」
バカリズム「正直、緊張しますし、僕には手に負えないので来ないでほしかったくらいです(笑)」
――木村拓哉さんですね(笑)。長い時間残っていらっしゃいましたね。
設楽「そうなんです。多分楽しかったんだと思います」
バカリズム「なかなかないですもんね。あんな経験(笑)」
――木村さんは収録後にお2人がモニタリングしていた“本部”まであいさつに来る場面も流れていました。他の参加者の方々にもお会いできたのでしょうか。
設楽「いや、木村さんだけでした。俺らは本当に物理的に離れた場所でやってたんです」
バカリズム「だから僕らだって知らないままの人もいたと思いますよ。別の現場で若槻(千夏)さんに会った時に、『あれってバカリズムさんだったんですか!?』と言われたぐらいです(笑)」
設楽「参加してくれた人に違う現場で会った時に『あの収録、すごい賞金額が掛かってたんだよ』と言ったら、『え?』って(笑)」
――その説明はプレイヤーのお3方は収録後にされていないんですね。
バカリズム「多分、参加してくれた人が多すぎたので、情報が行き届いてないんじゃないですかね」
設楽「エキストラの人なども含めたら他にもあるかもしれないですが、純粋に芸能人の出演者数だけでいったら、バラエティー史上でナンバーワンなんじゃないかと思いますね」
バカリズム「あの規模はないですよね」
――具体的にお2人が提案した仕掛けなどはございますか。
設楽「縄跳びみんなでやらせるとかはそうでしたね」
バカリズム「プレイヤーの3人がすし食ってるとこを見せるの設楽さんじゃないですか?(笑)」
設楽「そうだった(笑)。金額の部分はヒデ(バカリズム)が言った?」
バカリズム「金額は最初の段階でもうちょっと安かったですね。『もっと高くした方がプレイヤー側のいやらしさが出てくるんじゃないですか』みたいなことは言わせてもらいました」
設楽「いろんな仕事をやっている中で、企画の段階で『どうなるか』を想定することはよくありますが、実際に現場に行って『思っていたよりすげえな』となったのはこの番組ぐらいかもしれないです。スケール感は聞いてはいたけど、やっぱりすごいなって」
バカリズム「こんなに人が残ってくれるとも思ってなかったですよね」
設楽「こんなにもたくさん人が来て、有名な人が集まるなんてね。『こんなにも筋書きのないドラマが生まれるのか』って。そういった点も含めて全部想定を上回ってきました」
――収録している中で想定外の展開にざわつくような場面などもあったのでしょうか。
設楽「全体的にはいい感じだったと思います。でも、用意していたのにやらなかった仕掛けとかはありましたね」
バカリズム「思っていた以上に、こちらが何もしなくてもみんなが面白くしてくれましたよね」
設楽「そうだね。後は仕掛けても意外とみんなが動かないんですよ。ネズミカード(参加者を惑わす仕掛け)とかもっと波乱が起きるかと思ったんだけどね」
バカリズム「全員が疑心暗鬼になってるから、『何か罠があるんじゃないか』と思って少々のことじゃ動かないんですよ」
設楽「ミスリードしだす人がいるんだよね。それも“おもしろ”じゃない方向に(笑)」
バカリズム「お前黙ってろよって(笑)」
設楽「収録中も、ヒデがすげえ『黙ってろよ!』って言うんだもん(笑)」
バカリズム「『お前、主導権握りたいだけだろ!』みたいな」
設楽「『爪痕残したいだけだろ!』みたいなね(笑)」

設楽&バカリがやりがちな「影で暗躍する悪いやつ」…過去には日村勇紀を“操縦”
――本当に可能性を感じる番組でした。MCとして企画段階から携わる中で、『他にこういう番組をやってみたい』など考えることはありましたか。
設楽「例えばこれの第2回をやるとしても、ルールを知っている人がいるので、そのままではできないじゃないですか。なので『次はこうしよう』みたいなのは、盛り上がりました。呼んだ上で何かで勝負をしてもらうとか。今後はそういう展開になっていくんじゃないかなと思います」
バカリズム「どんどん賞金が減っていくシステムでしたが、減らした賞金が僕らに入るっていうシステムにしたいですね。そしたら僕らもどんどん仕掛けていきますよね(笑)」
設楽「確かに仕掛け人側の人を投入するとかもありだよね。中に紛れさせちゃうとか」
――お2人もベテランの域に入っていく中で、今まで参加者側だったものが、天の声的な立場で出演されることが増えてきました。その点はどのように捉えていますか。
設楽「両方の良さがあるんですよね。プレイヤーでやると楽しいっていうのもあるし……」
バカリズム「若い頃だったらいいけど、この年でっていうのもありますね(笑)」
設楽「でも、実を言うと俺もヒデも、企画などを考えたり、ちまちま裏でやることは好きだけど、プレイヤーの時にパフォーマンスを発揮できるタイプかと言われたら、そうじゃないですからね」
バカリズム「そうですね」
設楽「だからうれしいよね。逆にこういう立場をやらせてもらえるのって」
バカリズム「信用してくれたんだって思いますよね」
設楽「ものにもよりますが、若手の時は現場に行っても何もしないで終わるとかよくありましたよ」
バカリズム「そうですよね。埋もれて終わりなこともありましたよね」
設楽「だから今のほうが全然いいかもしれないですね」
――逆に今はそういった若手に救いの手を伸ばす立場になった意識などもあるのでしょうか。
設楽「基本はノータッチです。だって人数が多い現場なら、なおさら自分で這い上がらないとどうしようもないですからね。人数の少ない環境であれば、『こうやったら?』と手を差し伸べることもありますけどね」
バカリズム「そういう人は他に向いている場所があると思うので、そこを頑張ればいいと思いますよ。僕らは、向いてるところだけを頑張ってきたので(笑)」
設楽「だからありがたいですよね。こういった番組に声を掛けてもらえて」
――声を掛けられ時はどういう心境でしたか。
バカリズム「ある程度お笑いの中でも、こういう立場をやるキャラクターの人って限られてくるじゃないですか。僕もやりがちな人ですからね(笑)」
設楽「そうね。影で暗躍する悪いやつね」
バカリズム「そうですね(笑)。だから向いているんだと思います」
――お2人がこういった形で一緒にやられることも多いですよね。
バカリズム「2人で日村(勇紀)さんを操縦したりね(笑)。設楽さんとモニタリングするっていうお仕事はよくありましたね」
――ちなみに勝利したプレイヤーの方が手にした賞金額はお2人が想像していた額に比べていかがでしたか。
設楽「俺はもっともらえると思ってました。すげえ少なくなりましたもんね」
バカリズム「僕は逆に、『そんなもらえんのか。もっとなくなればよかったのに』って(笑)」
設楽「ひどい(笑)」
バカリズム「だって、いろいろありましたが12時間いただけで何百万、何千万もらえるって、ちょっと甘すぎですよ(笑)」
設楽「結果はネタバレになるので伏せますが、変な形で違う人にお金が動いているのはおかしな形でしたよね。今度からあれはなしにしたほうがいいですよ(笑)」
――そこの賞金争奪にお2人が加わることも含めて、次回以降の課題になりますね。
バカリズム「そこはちょっと僕らも口を出させてもらわなきゃね(笑)」
設楽「まずは本当に面白いので、今回の配信を見てもらいたいです。そしたら、第2回、第3回といろいろ考えられると思います」
