パチスロでメガヒット『北斗の拳』 原作者が思うコト、多種多様なタイアップは「別物だと思うように」
武論尊先生は、多数のヒット作を生み出してきた漫画原作者だ。中でも『北斗の拳』は、その人気ゆえにさまざまな“横展開”が行われている。前日譚『蒼天の拳』、また人気キャラクターのラオウ、トキ、ジャギ、レイ、アミバをそれぞれ主人公としたスピンオフ。そして『イチゴ味』や『世紀末ドラマ撮影伝』といったパロディーギャグなど、派生漫画だけでも複数ある。それに加えて、遊技機(パチンコ&パチスロ)としても人気が高いことは、よく知られているだろう。自身が産んだ作品が、自らの手を離れて広がっていくことを、武論尊先生はどのように考えているのか。

『イチゴ味』はよくできてるし絵もうまい
武論尊先生は、多数のヒット作を生み出してきた漫画原作者だ。中でも『北斗の拳』は、その人気ゆえにさまざまな“横展開”が行われている。前日譚『蒼天の拳』、また人気キャラクターのラオウ、トキ、ジャギ、レイ、アミバをそれぞれ主人公としたスピンオフ。そして『イチゴ味』や『世紀末ドラマ撮影伝』といったパロディーギャグなど、派生漫画だけでも複数ある。それに加えて、遊技機(パチンコ&パチスロ)としても人気が高いことは、よく知られているだろう。自身が産んだ作品が、自らの手を離れて広がっていくことを、武論尊先生はどのように考えているのか。(取材・文=関口大起)
「スピンオフ漫画はシナリオが送られてくるから、一応見ることになっています。面倒だから任せちゃうことも多いけどね。あ、でも『イチゴ味』は面白いね。俺は元々コメディーが好きだから、あれは笑っちゃう。よくできてるし絵もうまい」
『北斗の拳 イチゴ味』は、『北斗の拳』に登場する敵役・サウザーを主人公としたギャグ漫画だ。原作で描かれた名シーンをパロディーし、優れた画力と巧みな“ハズし”でファンを笑わせてくる。
筆者も同作のファンだが、原作者がどう捉えているのか一抹の不安があった。命を削って生み出した熱い漢たちの物語がギャグ化される。そこにマイナスな感情を覚えることもあるのでは……。しかし、それは杞憂だった。いち読者として、生みの親と一緒に笑って読めているというのはどこかうれしい。
余談だが、『世紀末ドラマ撮影伝』は『北斗の拳』がオリジナル特撮ドラマとして制作された世界を描くスピンオフ。これもまた、ファンなら大笑いすること請け合いなのでおすすめだ。
パチンコもスピンオフも、ファンが増えるならうれしい
『北斗の拳』は、パチスロ機としても大人気だ。2003年に登場した初代機は、パチスロ史上最大のセールス数になった。ケンシロウ、ラオウなどおなじみのキャラクターが登場し、物語を追体験しながらパチスロを楽しめることで、多くのユーザに支持された。
以降も定期的に後継機がリリースされ、2023年4月には、最新機であり初代機の完全復活リメイク機として「スマスロ北斗の拳」が登場している。
武論尊先生の作品だけでなく、漫画作品がパチンコ・パチスロ化する例は多い。しかし、中にはそれを拒否する作家もいると聞く。では、武論尊先生はどのようなスタンスとをっているのだろうか。
「パチスロの話がきた当初は、ただの二次使用くらいの感覚で何も思ってませんでした。もう、勝手にやっていいよと。そんなにヒットするなんて考えてなかったしね(笑)。『北斗の拳』は、アニメ化も映画化もしてるし、俺の手から離れてアレンジされることも慣れてたからなあ。もう別物だと思うようにしていたんです」
ちなみに、パチスロの初代機は先生の自宅にも届けられたという。以降も新型がリリースされるたびに提案されるというが、現在は断っているそうだ。「倉庫がいっぱいになっちゃうしね」と先生は笑う。
「パチスロで“北斗”を知って読んだっていう人もいるみたいだし、良かったことが多いんじゃないかな。俺としては、遊技機もスピンオフ漫画も、結果的に原作『北斗の拳』の読者になって、ファンが増えるんだったらうれしいよ」
ただ、今後も「実写映画」は難しいだろうと先生は語る。
「ハリウッドで作った映画がイマイチだったからって話じゃないよ(笑)。ケンシロウのアクションも、北斗神拳で敵を倒すシーンも、いくらCG技術が進化した今でも、映像で再現するのは厳しいだろうなと思っているんです」
とはいえ、Netflixなどが『シティハンター』や『幽☆遊☆白書』、『ONE PIECE』など、日本の名作漫画を実写化し、立て続けにヒットさせている。それゆえ、ファンとしてはどうしても期待してしまうのが事実だ。
