ブレイク前「いつか売れたら」の夢が50歳で…じゅんいちダビッドソン、念願の愛車バイクを巡る不思議な縁
お笑い芸人のじゅんいちダビッドソンが、“青春”を謳歌(おうか)しまくっている。今年7月に、念願の大型バイクをゲット。米国最古のバイクブランドと言われるインディアンモーターサイクルの「インディアン・スカウト・シックスティ」、2016年モデルだ。勢いそのままに、お笑い芸人のヒロシらと一緒に、北海道ツーリング・キャンプ旅に繰り出した。帰りはまさかのフェリー欠航で、青森から東京の自宅まで約762キロを走破する珍道中に。実は愛車バイクには、「いつか売れたら」とがむしゃらだったブレイク前の秘話があるという。50歳を迎えて、バイクと共に駆け抜ける“アメリカンドリーム”について聞いた。

北海道・芸人ツーリング旅は「サプライズの仕掛け合いですよ」 じゅんいちダビッドソンを直撃
お笑い芸人のじゅんいちダビッドソンが、“青春”を謳歌(おうか)しまくっている。今年7月に、念願の大型バイクをゲット。米国最古のバイクブランドと言われるインディアンモーターサイクルの「インディアン・スカウト・シックスティ」、2016年モデルだ。勢いそのままに、お笑い芸人のヒロシらと一緒に、北海道ツーリング・キャンプ旅に繰り出した。帰りはまさかのフェリー欠航で、青森から東京の自宅まで約762キロを走破する珍道中に。実は愛車バイクには、「いつか売れたら」とがむしゃらだったブレイク前の秘話があるという。50歳を迎えて、バイクと共に駆け抜ける“アメリカンドリーム”について聞いた。(取材・文=吉原知也)
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「若い頃、こんなことをやりたかったんだよなあ。北の大地を走っていて、そう実感しました。昔からずっと欲しかったこのブランドのバイクだからこそ楽しめたというのもあります」。ハプニングも盛りだくさんだった北海道旅を終え、しみじみと振り返る。
昨年もヒロシらと北海道ツーリングに出かけた。これが、バイクへの情熱が加速するきっかけになった。ツーリング用にスズキ・ST250を買うと、お気に入りに。一方で、青春時代から憧れてきた米国ブランドへの思いが高まってきた。
今年4月に入って、都内のインディアンモーターサイクル専門店で探してみると、すぐに運命の1台と巡り会えた。真っ黒のスカウト・シックスティだ。「中古で総走行距離は2万5000キロぐらいでしたが、きちんと整備すれば20万キロぐらい走れるのかなと」。排気量は999cc、2人乗り仕様になっていて、メーターもレトロで印象的。ぞっこんだった。5月に購入を決め、整備を経て7月初旬に納車。95万円(税別)の買い物だ。
ヒロシ、ベアーズ島田キャンプ、お笑いコンビ『スパローズ』大和一孝と4人で行く北海道ツーリングの直前に、納車が間に合った。「ヒロシさんが今回の旅に合わせて、ハーレーダビッドソンを買ったんですよ。やりよったなあと思って、それでこっちも『ビビらせたろう』と。サプライズの仕掛け合いですよ」。
7月に1週間のツーリングを敢行した。行きは難なく茨城・大洗からフェリーで苫小牧へ。風任せの旅だ。「室蘭でご当地カレーラーメンを食べようと思って走っていたら、途中の登別で『温泉入ろう』となって、みんなで行きました」。2日目からは襟裳岬、十勝でキャンプ、帯広ではばんえい競馬などを楽しんだ。ちなみに、競馬は2万4000円負けたという。
帰りに衝撃的な展開が。台風の影響で、苫小牧―大洗のフェリーが欠航になってしまったのだ。「次に乗れるのは、1週間後と言われました。無理やんとなって。小樽―新潟のフェリーを見つけたけど満席で……」。困り果てた末に、奇跡のルートを見いだした。「室蘭―青森のフェリーがあることに気付いて、青森から陸路で行けると。思い切りました」。じゅんいちと大和はバイクで帰ることを決意。ヒロシと島田は別ルートで帰路に就いた。

「ハーレーとインディアンのコラボが実現したらうれしいですよね」
青森出発は朝の4時。幸い、仕事は翌日の昼からで、時間的な余裕があった。「ゆっくりとした日程で、那須塩原の温泉宿で1泊しました」。東京の自宅まで762キロの道のり。北海道ツーリングを合わせると、なんと1687キロの長距離を走破してみせた。
来年も、3回目の北海道ツーリングを見据えているといい、「次回は、新潟―小樽のフェリーに乗って、小樽から北を目指したいですね。稚内や日本最北端の宗谷岬に行ってみたいです」。子どものように目を輝かせる。
買ったばかりの愛車で、かみしめたバイクの魅力。「道中もイベント。思い付きでいろいろな場所に寄ったり、ハプニングも楽しんだり。最近はキャンプには雨の日以外はバイクで行ってます。それに、自分のバイクで走るのはこんなに楽しいんだって。目指すのは、やっぱりアメリカ。僕はこの子でね、アメリカの大地を走ってみたいんですよ」と熱っぽく語る。
不思議な巡り合わせもあった。「2015年のR-1ぐらんぷりで優勝する前のことです。当時、東京・祖師ヶ谷大蔵駅の近くに嫁さんと4年ぐらい暮らしていて、ネタ作りの行き帰りに、環八通り沿いにある、インディアンモーターサイクルの専門店の前を通っていたんです。飾られているバイクを見て、『かっこええなあ。売れたら乗りたいなあ』と思っていたんです」。当時は眺めるだけだったバイク。時を経て今回、愛車探しをサポートしてくれたのは、その専門店。じゅんいちの相談に親身に乗ってくれて、このスカウト・シックスティを薦めてくれたのだ。「ピッカピカに整備してくださって、本当にありがたいです。まさに、縁を感じています」と実感を込める。
一つ気になるのが、じゅんいちの芸名にも使われていて、じゅんいち自身が前々から乗りたいと公言している、ハーレーダビッドソンだ。言わばライバルブランドであるインディアンを買ったことはどう考えているのか。「ハーレーは、バイク人生の“いつか”と思っています。ハーレーに乗ってしまうと、ゴールのような気がしていまして。もう一つの夢もあって、ハーレーとインディアンのコラボが実現したらうれしいですよね」。
2児のパパは子育てにも奮闘。そんな中で、童心を忘れずに、バイクにも全力のつもりだ。「本田圭佑選手じゃないですけど、自分の中の“少年じゅんいち”に聞いたら、『ハーレーにもインディアンにも、バイクに乗りたい!』って言うと思うんですよ。これからも好きなことを楽しんでいきたいですね」と笑顔を見せた。
