RIP SLYME、MV撮影は20時間超え 大雨の“長旅”に密着…RYO-Z「『結果論』大成功ってことです」
RYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAの5人体制で2026年3月まで約1年間の期間限定で再集結し、メジャーデビュー25周年イヤーに突入したヒップホップグループ・RIP SLYMEが7月16日にベストアルバム『GREATEST FIVE』をリリースした。これまでの数々の代表曲に新曲4曲を加えた3枚組48曲入りとなっており、ファンすいぜんの作品に。今回、ENCOUNTは同アルバムに収録された新曲『結果論』のミュージックビデオ(MV)の撮影現場に潜入し密着取材を敢行。大雨の中での“行き当たりばったりの旅”を前後編にわたって紹介する。後編は、5人の素顔が見えた旅館でのロケを中心にレポートする。

新曲『結果論』のMV撮影に密着取材・後編
RYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAの5人体制で2026年3月まで約1年間の期間限定で再集結し、メジャーデビュー25周年イヤーに突入したヒップホップグループ・RIP SLYMEが7月16日にベストアルバム『GREATEST FIVE』をリリースした。これまでの数々の代表曲に新曲4曲を加えた3枚組48曲入りとなっており、ファンすいぜんの作品に。今回、ENCOUNTは同アルバムに収録された新曲『結果論』のミュージックビデオ(MV)の撮影現場に潜入し密着取材を敢行。大雨の中での“行き当たりばったりの旅”を前後編にわたって紹介する。後編は、5人の素顔が見えた旅館でのロケを中心にレポートする。(取材・文=福嶋剛)
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撮影日の7月15日午前3時に宿を出発して、午後5時までの14時間かけて新潟・妙高市の高原、長野・軽井沢のハンバーガーショップを回った一行。次のロケ地の群馬・嬬恋村方面では、辺り一面、キャベツ畑が広がる広大な土地をバックに、真っ暗になるまで5人がワゴン車で旅をするシーンを撮った。
そして午後8時、この日4か所目のロケ地となった群馬・川原湯温泉山木館へ。1661年創業の歴史ある旅館で5人が宴会を行うシーンに臨んだ。撮影準備の間、控室からウクレレの音色が聴こえてくると、スタッフはすぐにPESが弾いていると分かった。
PES「これはね、普通にお土産で買ったウクレレなんだけど、15年くらい使っているからすごく良い音が出るんです。ライブでは弾かないけど、今度マイクを付けたいなって」
スタッフの緊張をほぐすように、いろんな曲を奏でるPES。ほかの4人も宴会モードで、リラックスした雰囲気の中で撮影が始まった。テーブルには、この日のために旅館が用意した心づくしの料理が並べられ、『結果論』のラベルを貼った特別な日本酒やビールなど5人それぞれが好きなお酒を持って乾杯した。このシーンの主役はRYO-Zが担当。乾杯シーンはアングルを変え、何テイクも撮ったが、そのたびに「乾杯!」というメンバーの声が響き、笑顔がこぼれた。会食シーンでは、撮影を気にせずにカットが掛かるまでおいしい料理と酒を堪能した。
上機嫌な5人は、料理に舌鼓を打ちながらここまでの撮影を振り返った。
ILMARI「めちゃくちゃ(料理が)うまいです。撮影終わったら全部食べたいくらいです」
SU「炊き込みご飯がいいですね」
RYO-Zは「ここで終わった感はあるんだけど、もう1シーン残ってるんで程々にしないと。でも久しぶりの長いロケだったね」
SU「移動が一番大変だった」
PES「移動ね……確かに」
RYO-Z「長い移動とか、寝不足とか、その感じが監督が求めているリアリティーだったのかもしれないね」
ILMARI「刹那な感じね。ガソリン入れて飯食って最後に広大なキャベツ畑で霧とともに俺たちも消えていくみたいな。そういえばキャベツの花言葉を調べたんだけど何だと思う? 利益だって」
SU「利益、いいね!」
全員 笑い
ここでスタッフがバースデーケーキを持ってきた。撮影当日の7月15日はRYO-Zの51歳の誕生日だ。PESのウクレレの伴奏でハッピーバースデーを全員で歌い、RYO-Zがうれしそうにロウソクの火を消した。「こんなRIP SLYMEを見たかった」と楽しそうな5人の言葉に、その場にいた全員も大きな拍手で祝った。
RYO-Zは「昨年息子を授かったので、息子が一人前になるまで元気に働かなきゃいなきゃいけないから、これからの目標は健康第一ですね! もう50歳を過ぎて、酒はそんなに遅くまで飲むことがなくなりました。さっさと飲んでさっさと寝る。これが一番です」と抱負を述べた。
同じく51歳のSUも「俺も50歳になってパッと変わりましたよ。なんか『これ以上飲んだら酔うからいらない』って体が受け付けなくなったんですよ。今は仕事がない日は朝6時半に起きて、夜は10時に寝ますから。『よくまあ、あんなに飲んでたな』って今は思いますよ」
RYO-Z「普通じゃなかったよね。週末だけとかじゃなかったし」
SU「今はDJの音量もちょっと下げ気味だしね」
メンバー 爆笑
楽しい宴の撮影を終えて、一行は最後のロケ地、北軽井沢のガソリンスタンドへと向かった。午後11時に到着すると、スタッフは手際よく準備を進める。最後のシーンはPESが主役を務めた。エンストした車を5人が押してスタンドに入り、給油シーンでPESがパフォーマンス。すでにスタートから20時間が経過していたが、メンバーは疲れた表情を一切見せず、店員に扮(ふん)した撮影スタッフがあまりにも似合っていたので、ゲラゲラと笑った。そして午前0時に撮影が終了。ワゴン車から降りてきたメンバーに、スタッフらから大きな拍手が送られた。
5人もロケ地として貸してくれたスタンドのオーナー、スタッフに拍手して感謝を述べた。そしてこの日一日を振り返った。
PES「良かったです。どうなるかと思ったけど、てっぺんギリギリで終わったし、ホント良かった」
RYO-Z「もう記念に残る誕生日になりました」
ILMARI「今日は朝からボルボのワゴン車でたくさん移動したから、最後の方で俺の車みたいな気分になっちゃって、思わず『持って帰っていい?』って言いたくなるくらい、愛着が湧きました」
FUMIYA「ここまで移動の多いロケは今までなかったかもしれないですね。雨というハプニングもあったけど、その長時間の移動があったからこそ楽しかったのかもしれないです。実際どんなMVになるのか完成が楽しみです」
SU「もしかしたらこれが、5人のRIP SLYMEとして最後の撮影になるかもしれないです。だけど、ハッピーエンドで終われたので、すごくよかったと思う」

今日一日のロケは大成功ってことで
監督を務めた映像作家の丸山雄大氏も、この日の撮影を振り返った。
「自分はRIP SLYMEのファンでもあって、やっぱり5人の集大成というか、『RIP SLYMEのここから先』というのが撮りたいと思っていたんです。撮影スタートから雨でいろんなことがあった日で、その都度決断を求められる一日でしたけど、撮りたいものは全部撮れました。うまくいったところもそうじゃなかったところも全部ひっくるめて『結果論』になっているので、『RIP SLYMEのここから先』がしっかり撮れて大作になると思います」
最後にロケの合間に、今回の楽曲『結果論』について聞いた5人のコメントを紹介する。
PES「結果論……。終わりよければ全てよしって、『じゃあ途中で払った犠牲はどうなるんだろう?』っていう、それもあるよね。逆説的に言うと無責任な曲だとも言えるのかなって」
SU「結果的にいいように捉えれば全部良かったって思えるし、PESが言ったようにある種、無責任なところもあるのかもしれないけれど俺は好きな曲ですね」
RYO-Z「まあ2人が言ったことと俺も変わらないというか『終わりよければ全てよし』という落としどころにしたかったんですよ」
ILMARI「だから『結果として良かったんじゃない?』って。もうそれに尽きますね」
RYO-Z「『結果論』、今日一日のロケは大成功ってことです」
全員が納得した表情でうなずいた。
RIP SLYMEは、10月3日から全国12公演を開催するライブツアー「DANCE FLOOR MASSIVE FINAL」をスタートさせる。来年3月までの活動期間で、どんな風にファンらを楽しませてくれるのか、期待せずにはいられない。
□RIP SLYME(リップ・スライム)1994年に結成。2001年に1stシングル『STEPPER’S DELIGHT』でメジャーデビューした。斬新なアイデアのビートと個性あふれるMC(ラッパー)陣による独自のHIP HOPを鳴らし続け、人気を博す。2ndアルバム『TOKYO CLASSIC』(02年)のミリオンヒットや日本のHIP HOPアーティスト史上初の日本武道館単独公演(02年)、国営昭和記念公園で開催した5万人野外ライブ『SUMMER MADNESS ’03』(03年)など、数々の実績を残した。活動休止(2018年)とメンバー脱退を経て、22年よりRYO-Z、ILMARI、FUMIYAの3人体制で活動した後、25年4月にPES、SUがメンバーに復帰し、約1年間の期間限定で4MC+1DJ編成で再集結。7月16日、これまでの代表曲の数々に新曲4曲を加えた3枚組48曲入りのベストアルバム『GREATEST FIVE』をリリースした。
