ウエンツ瑛士、奈緒との夫婦役の秘訣は「全くない(笑)」 演出は称賛「息の合い方がとんでもない」
俳優の奈緒とウエンツ瑛士が4日、夫婦役で主演する舞台『WAR BRIDE-アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』のゲネプロに参加し、囲み取材に応じて出演の抱負を語った。

米軍人と結婚した日本女性という実在のカップル役
俳優の奈緒とウエンツ瑛士が4日、夫婦役で主演する舞台『WAR BRIDE-アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』のゲネプロに参加し、囲み取材に応じて出演の抱負を語った。
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同公演は、第二次世界大戦後の占領下日本で進駐軍の軍人フランク・ハーン(ウエンツ)と恋に落ち、結婚・渡米して“戦争花嫁”と呼ばれるようになる桂子・ハーン(奈緒)の生涯を軸に、戦争を憎みながらも敵国の軍人と恋に落ちた桂子、そして日米の架け橋となるべく尽力したフランクとの愛の物語を描く。実在した夫婦役で、奈緒とウエンツが初共演となった。
戦後80年の節目にこの舞台に主演することを奈緒は「戦後80年が終わっても、私たちは一度戦争があった過去と向き合いながら生きています」と重みを語り、ウエンツは「なかなか当事者たちの生の声が聴けなくなってきたこの時代に、エンターテインメントの世界で五感を使って感じられるこの作品を届けられることに、責任を感じています」と当時を語り継ぐ責任感をにじませた。さらにウエンツは「戦争の話ではありますが、その中にある“愛”を通して、今を生きる自分たちの世界を考えるきっかけになればうれしいです」と話した。
奈緒は役作りのために、米国で存命の桂子・ハーンさんの元を訪れたという。
「桂子さんと街をたくさん散歩して、桂子さんのお知り合いとお会いすることもあれば、市長さんともお話をして、街の皆さんが桂子さんを大切にされている姿を肌で感じました。ハーンさんのお墓の前で、今でもハーンさん愛していらっしゃる姿も拝見したので、桂子さんとの思い出も胸に舞台に立ちたいです」と真摯(しんし)に語った。
一方、ウエンツは夫婦役ならではの役作りについて問われると、ウエンツは「全くないです(笑)」と即答し、笑いを誘う。「稽古場では大体、『昨日何食べた?』とかそういう話ばかりです。テレビで見るままのイメージでお話されていて」と明かし、奈緒も「最初から打ち解けた感じでした」と、稽古場での気さくな様子をうかがわせた。
ウエンツはまた「10代で出会って70代まで、奈緒さんは90代まで演じられます。出会ってから50年が経つとどんな夫婦になるんだろう、というのはすごく大切に演じています。ただここが一番何の打合せもなくやっています」と、奈緒との阿吽の呼吸ぶりを明かす。これに演出の日澤雄介氏も「そこが本当にすごいです。息の合い方がとんでもないです」と2人を称賛していた。
また自身の家族への思いを聞かれると、奈緒は「私の母親くらいの年齢の役を演じて、改めて母への気持ちを考えさせられました。珍しく母に『愛してるよ』と3回くらい伝えたら、母からもすぐに『愛してるよ』って返ってきました」と告白。ウエンツも「僕も父がアメリカ人、母が日本人で、フランクさんの子どもが自身のアイデンティティーに迷うシーンでは、『どのように演じればいいんだろう』と考えました」と自身のルーツと役柄を重ね、「家族の縁が繋がって僕が生きています。そのことを大事に演じたいです」と語った。
最後に奈緒は「戦争があった過去にはいろいろな向き合い方があると思いますが、この舞台はそんな時代でも一人ひとりの登場人物がそれぞれの愛を持っていて。その愛が舞台の上で、切なくキラキラと輝く花束のような物語です。どうか、私たちの花束を受け取ってください」と観客へメッセージを送った。
公演は5日から27日まで東京・よみうり大手町ホールで、9月6~7日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、9月13~14日に福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールで行われる。
