『べらぼう』福原遥、花魁役で小道具持ち帰り自宅特訓 初大河は「一生の思い出」も「力のなさも痛感」

俳優の福原遥が、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)で花魁・誰袖(たがそで)を演じている。このたび取材に応じ、念願だった大河ドラマ初出演への思いや、花魁役ならではの苦労、そして役作りについて語った。

福原遥演じる誰袖【写真:(C)NHK】
福原遥演じる誰袖【写真:(C)NHK】

役作りのポイントは「花魁特有の体の使い方」

 俳優の福原遥が、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)で花魁・誰袖(たがそで)を演じている。このたび取材に応じ、念願だった大河ドラマ初出演への思いや、花魁役ならではの苦労、そして役作りについて語った。

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 本作は、18世紀半ばに江戸のメディア王として時代の寵児となった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)を軸に描かれる痛快エンターテインメント。福原が演じる誰袖は、吉原の女郎屋・大文字屋を代表する花魁で、幼いころから蔦重に恋心を抱いていたが、田沼意知(宮沢氷魚)と出会ったことで一目惚れし、身請けを約束される役どころだ。

 初めての時代劇、そして初の花魁役ということもあり、「花魁特有の体の使い方を意識していました」と役作りのポイントを明かし、「体の軸がブレないようにしながら、柔らかくてしなやかな動きをするのがとても難しかったです。自分が思っている動きと、実際の動きが違うことがあったので、花魁道中も含めてたくさん練習し、収録に挑みました」と振り返った。

 稽古では、立ち居振る舞いや歩き方のほか、小道具を使った所作も特訓。自宅でも練習を続け、「キセルを持ち帰らせてもらって家で練習したり、花魁道中用の高下駄もお借りして使っていました」と、役作りを徹底していたことを明かした。

 演じた誰袖は、天真爛漫(らんまん)でありながら小悪魔的な魅力も印象的だ。意知が松前家の抜荷の証拠を探していると知ると、その情報を提供する代わりに自分を身請けしてほしいと提案。色気を使って松前廣年(ひょうろく)を誘惑し、抜荷をそそのかすなど、大胆な一面も見せていた。

 そんな誰袖について「なんてかっこいい女性なんだろうと思いながら演じていました」と語り、「肝が据わっていて、たくましくて本当にかっこいい。それでいてピュアでかわいらしい部分もたくさんあります。演じているうちにどんどん愛情が湧いてきて、自分もこんなかっこいい女性になりたいと思いました」とその魅力を語った。

 一方で、実際に演じるにあたり緊張や不安もあったとし、「所作の先生からは、少し首を傾げるだけ、胸を前に出すだけでも見え方が変わると教わりました。そうした細かな動きで色っぽさを出せるよう意識していましたし、セリフのテンポ感や“間”についても、演出やスタッフの皆さんにアドバイスをいただきながら、よりミステリアスな雰囲気を目指して試行錯誤しました」と、役作りの工夫を明かした。

誰袖(左=福原遥)と蔦重(横浜流星)【写真:(C)NHK】
誰袖(左=福原遥)と蔦重(横浜流星)【写真:(C)NHK】

誰袖にとって蔦重は「お兄ちゃんのような存在」

 第27回「願わくば花の下にて春死なん」では、誰袖が意知に身請けされ、幸せの絶頂が描かれた。しかし、第28回「佐野世直大明神」では、意知が佐野政言(矢本悠馬)に斬られ、志半ばで落命。誰袖は深い悲しみに突き落とされた。

 意知と誰袖との関係について福原は、「とにかく意知さんとの幸せな時間をすてきなものにしたいと思いながらずっと収録していました。2人が深い絆で結ばれていることをたくさん表現できればと思っていました」と振り返る。「誰袖としては、意知に初めて会った瞬間から『あ、この人好き』と感じていたと思っています。この人のことをもっと知りたい、そんな気持ちでいたのではないかなと」と、誰袖の心情を語った。

 印象に残っているシーンとして、誰袖が意知に膝枕をする場面を挙げ、「初めて意知さんの思いが分かって、愛情のようなものが伝わってきて、すごく幸せなシーンでしたね」としみじみ語った。

 意知の死後、憔悴しきっていた誰袖。第29回「江戸生蔦屋仇討」では、蔦重が誰袖を笑顔にすることが仇討ちだとして、黄表紙『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』が作られた。

 振袖新造時代の誰袖は「かをり」と名乗り、蔦重に恋心を抱いていた。福原は、誰袖にとっての蔦重は「お兄ちゃんのような存在で、いつも助けてくれる、すべてを知ってくれている存在」と説明し、「だからこそ、誰袖の笑顔を見たいという蔦重の思いが伝わってきて、そんな蔦重だったからこそ、誰袖も心が和らいだのかなと思います」と話した。

 笑顔を取り戻した誰袖に、蔦重は「どこまでもお前だな」と言葉をかけた。このセリフについて福原は、「誰袖としては『かをり』としての私に言ってくれたんだと思いますし、本当にすべてを知ってくれているんだと分かって、うれしかったと思います」と語り、「最後に『幸せになれよ』と言われるシーンも印象に残っています。桜の木の下で一緒にいるんですけど、今までは『誰袖花魁』と呼ばれてきたので、幸せを願ってくれているあの場面はとても印象的でした」と振り返った。

 改めて今作への出演について、「一生の思い出だなと思いながら収録していました」と語り、「すべてが学びでしたし、それと同時に自分の力のなさも痛感しました。所作や稽古ごとを続けて、もっともっと勉強して力をつけて、いつかまた大河ドラマに出演できたらと思います」と、今回の経験を糧にさらなる飛躍を誓った。

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