日航機墜落事故で没後40年…坂本九さんの功績「語り継ぐ」ベスト盤がリリースへ
『上を向いて歩こう』で知られる歌手・坂本九さん(享年43)のベストアルバム『坂本九』が、ユニバーサルミュージックから8月20日にリリースされることが1日、分かった。坂本さんは1985年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故で死去。今年は没後40年で、さらに坂本さんが生きた「昭和」と、活躍の場だった「放送」の100年が重なった。その年に、生前の功績を語り継ぐ一つ作品となる。

世界中の楽曲になった『上を向いて歩こう』も収録
『上を向いて歩こう』で知られる歌手・坂本九さん(享年43)のベストアルバム『坂本九』が、ユニバーサルミュージックから8月20日にリリースされることが1日、分かった。坂本さんは1985年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故で死去。今年は没後40年で、さらに坂本さんが生きた「昭和」と、活躍の場だった「放送」の100年が重なった。その年に、生前の功績を語り継ぐ一つ作品となる。(取材・文=笹森文彦)
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ベスト盤『坂本九』はCD3枚組。最新のリマスタリング音源で、56曲(トークなどを含めると61トラック)が収録されている。
『上を向いて歩こう』『見上げてごらん夜の星を』『幸せなら手をたたこう』『明日があるさ』などの代表曲はもちろん、覆面歌手のXQS名義でリリースした『ぶっちぎりNO文句』など、レアな作品の数々も収録。その歌声や軽妙なトークから、関係者は「ジャケット写真のように、笑顔の九ちゃんの“温かさ”が伝わるアルバムになっている」と声をそろえる。
今年は、昭和が続いていれば100年。NHKがラジオ放送を開始してから100年にあたる。太平洋戦争が開戦した直後の41年12月10日、神奈川・川崎市で生まれた坂本さんは昭和を駆け抜け、NHKの歌番組『夢であいましょう』などに出演し、国民的な人気者になった。
さらに今年は坂本さんの没後40年で、関係者は「節目の年に、坂本さんのエンターテインメント性をあらためて今に伝えたい」としている。坂本さんは、エルヴィス・プレスリーにあこがれて歌い始めた。16歳でプロの世界に入り、マナセプロダクションに見いだされた。ロカビリー歌手として東京・日劇ウエスタンカーニバルにも出演した。
1961年8月には、『夢であいましょう』で、『上を向いて歩こう』(作詞・永六輔、作曲・中村八大)を初披露すると、視聴者からすぐに「楽譜がほしい」などの問い合わせが殺到したという。そして、同10月に東芝レコードから発売されると、大ヒットとなった。
それを受け、欧州各国で日本を想起させる『SUKIYAKI』に改題され、発売された。63年5月に同タイトルで全米発売されると、全米シングルチャート(Billboard Hot 100)で、3週連続1位を獲得。約3か月にわたりチャートインした。日本人歌手による日本語曲の全米1位は史上初の快挙で、現在も唯一の達成者だ。
同曲は世界約70か国で発売され、これまでのレコード総売り上げは1500万枚以上と言われる。まさに日本初の世界的ヒット曲だった。このヒットで、外国人として初めて全米レコード協会のゴールデン・レコード(100万枚突破、現ゴールドディスク)に選ばれた。
坂本さんの全米デビューの成功で、同時期に英国で人気が沸騰し、米国進出を狙っていたザ・ビートルズの全米デビューを「遅らせた」とも言われている。そして、『上を向いて歩こう』は国内の歌手だけでなく、ボブ・ディラン、スティービー・ワンダー、ブルーノ・マーズら海外のビッグアーティストにも敬意を込めて歌われている。
坂本さんはかつて「もう『上を向いて歩こう』は僕だけの歌じゃない。世界中の人の歌なんだ。僕はそのメッセンジャーボーイになれただけでも光栄です」と話していた。その思い通り、これまでベスト盤だけでなく、坂本さんの出演映画のDVD発売など、既にさまざまな話題が発表されている。
来年には、岡田准一が中村八大氏を演じる映画『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』(瀬々敬久監督)の公開予定。関係者は「今後も続々と(坂本さんの)トピックスをお届けしますので、ご期待ください」としている。
