アイドル卒業から3年 上京2年で地元にUターン…やのほのかが「普通の幸せ」を選んだ理由
歌手・タレントのやのほのかは、アイドルを卒業後に地元・広島を離れて東京でタレント活動を行っていたが、今年4月に再び広島へ戻った。広島で生まれ育ち、誕生日は8月6日。生粋の広島っ子であるやのが掲げる今の目標は――。

広島で1人暮らす母親の存在もあって戻ることを決断
歌手・タレントのやのほのかは、アイドルを卒業後に地元・広島を離れて東京でタレント活動を行っていたが、今年4月に再び広島へ戻った。広島で生まれ育ち、誕生日は8月6日。生粋の広島っ子であるやのが掲げる今の目標は――。(取材・文=小田智史)
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広島県江田島市出身の矢野は、小学2~6年生で空手を習い、中学校3年間はバレーボールに励むアイドルとは無縁だった生活から一転、母親がオーディションに応募したのがきっかけで、高校生だった2017年3月に瀬戸内7県を拠点とするSTU48の1期生メンバーとなった。
2017年からの約5年半、アイドルとしての活動を全うし、「アイドル人生はやりきった」との思いで、卒業と同時に芸能界引退を宣言。しかし、それでも応援してくれるファンに後押しされる形で、「もっと恩返しをしたい」と芸能活動を再開。同時に、仕事に専念するために広島を離れて上京を決断した。
東京では2年間、タレントとして活動したのち、今年4月に広島へ戻った。こうだと決めたら即行動に移すタイプのやのだが、“Uターン”は当初から頭の中にあったという。
「芸能界を引退するつもりでSTU48を卒業しました。でも、『ファンの方が1人でもいるなら続けよう』と思い、せっかくなら芸能界をもっと知りたいと東京に行こうと決断したのが広島を出た理由でした。広島と違う環境でホームシックになることもありましたけど、東京に2年住む経験ができましたし、もともと広島に絶対に帰るつもりではいました」
決断がこのタイミングになった背景には、愛する母親の存在も大きかった。
「私は母子家庭で育ちました。弟が就職で家を出てからお母さんが実家で1人暮らしで、家族のことをこれまで以上に考えるようになりました。広島の街も私が離れて2年間で駅が新しくなったり、江田島に新しいカフェができたり、SNSなどを通じて見ていたら、『広島は魅力的な場所だな』と改めて感じて、『もう1度住みたい』と思いました。何か月か考えて、帰省したタイミングで(また広島に)住もうと決めました」

東京での2年間で強まった地元・広島愛
今年1月に広島へ戻ることを考え始め、3月末に前事務所を円満退所。4月から広島で歌手・タレントとして活動を再開した。
アイドル卒業、芸能活動再開、東京行き、Uターン……、経験してきたさまざまな岐路も、やのは「後悔はないです」と言い切る。
「正直、『まだグループにいるべきだったんじゃないか』とか、いろいろ思う時はありました。でも、一度広島を出ていなかったら後悔していたと思うので、あのタイミングで東京に行って本当に良かったです。今は広島で頑張って、しっかりと“認められる存在”になりたいと考えています。そうなれば、STU48の頃の自分をもっと褒められるし、ファンの方にも誇りを持って推してもらえるはずです」
東京に行ったことで、地元・広島への愛もより一層深まった。
「私は23年間、広島から一歩も出たことがなくて、広島にいると、知っている人たちがいる恵まれた環境の中での自分を勝手に評価して、自分の力を勝手に決めていたところがあったので、広島から出たら自分は芸能界の中でも人としてもどれだけの力があるのか知りたくて、とにかく(広島以外の場所に)出てみたいという時期がありました。でも、大事な家族、友人、広島で応援してくれる方たちに、もっと近くで活動して応援してもらいたいという気持ちにもう1度なって、自分に必要なのは広島で、ここが居たい場所なんだと思いました。広島は自分に合っているし、人も雰囲気も温かくて大好きです」
やのはアイドルを卒業する際、将来の夢に「広島でお店を構えること」を挙げていた。「今すぐは現実的には難しいと思いますけど、いつかはやりたいですね」。そこには、人との縁や絆を大切にするやのなりの思いがある。
「お店を構えたい気持ちは今も持っています。広島に戻ったら『お帰り』と言ってくださる方がたくさんいて、STU48の頃から応援してくれる方、最近出会えた方、広島を中心に縁がたくさんあって、少し関わっただけでもすごく応援してくださる。それがなくなってしまうのは悲しいので、せっかく関わった方とはみんなでずっと頑張りたい。その場所がほしいと思っていて、それがお店なのかなって。私がおばさんになってからかもしれないですけど(笑)、絶対にかなえたいです」
掲げた目標は「広島で一番知名度のあるタレントになる」
くしくも、地元に戻った今年は戦後80年の節目。「よほど何かない限り、広島に骨をうずめるつもりです」。広島への思いは何があっても揺らがない。
「私は広島出身で、(広島に原爆が投下された)8月6日生まれで、おじいちゃんが海上自衛隊で船に乗っていて、STU48は船上劇場を持っている時期もありました。お母さんは東京に行って、東京で売れて、テレビにたくさん出るというのを望んでいたと思いますけど、近くにいて、地元の人に愛されながら、普通の生活を送るのが大事だなと。普通の幸せが私にとって一番の幸せ。今年で26歳。自分を大事にして、周りの人と出会って、人生ができていると改めて感じます。これまでのこと、今やっていること全てに意味がある。直観を信じるタイプなので、今は広島で一番知名度のあるタレントさんになるのが目標です」
やのが口にした「今は本当に人生が楽しい」との言葉。その笑顔からも、新たに歩み出した日々の充実感がにじみ出ていた。
□やのほのか(本名:矢野帆夏)1999年8月6日、広島県出身。2017年、アイドルグループ・STU48に加入。22年9月にグループ卒業とともに芸能界引退も発表。23年4月に芸能活動を再開した。今年4月に広島に戻り、地元愛を忘れず活動中。8月1日に初のソロシングル『おかえり』が配信スタート。
