『最後から二番目の恋』で存在感 40歳女優の“三刀流”生活…広山詞葉「プロデューサーの理想は小泉今日子さん」
フジテレビ系連続ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(6月23日終了)に出演していた俳優の広山詞葉(40)は、3つの顔を持っている。学生時代から演技を始め、着実に舞台経験を重ねてきた。制作プロデュースに目覚め、映画を制作してきた。そして、落語の勉強を重ねてきた。小泉今日子、中井貴一が主演の『最後から二番目の恋』には、第1シーズンから出演。その素顔を取材した。

最初に影響を受けたのは安達祐実
フジテレビ系連続ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(6月23日終了)に出演していた俳優の広山詞葉(40)は、3つの顔を持っている。学生時代から演技を始め、着実に舞台経験を重ねてきた。制作プロデュースに目覚め、映画を制作してきた。そして、落語の勉強を重ねてきた。小泉今日子、中井貴一が主演の『最後から二番目の恋』には、第1シーズンから出演。その素顔を取材した。(取材・文=一木悠造)
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広島県で生まれ育った広山は、幼少期から好奇心が旺盛だった。そして、9歳で1994年4月期放送の日本テレビ系連続ドラマ『家なき子』を視聴し、演技に関心を持つようになったという。
「同世代の安達祐実さんの演技にすごい感銘を受けたんです。中学の時には母に蜷川幸雄さん演出のハムレットの公演に連れて行ってもらって、そのエネルギーに感動しました。演劇部にも所属していたので、演劇やテレビで目にした俳優さんたちの演技に影響を受けまくっていたと思います」
大学は迷いなく、日本大芸術学部の演劇学科を目指した。入学試験では実技テストがあり、演劇へのポテンシャルを問われていた。
「演出家の串田和美さんが審査員でいらしたんです。実技試験はエチュード、つまり即興芝居です。お題は『あなたが家の家具の一つになって家主のことを話してみてください』というものでした。お題を聞いて、パッと『座いすかな』と思い浮かんだんです」
広山は「座いす」になりきり、この関門をクリア。演劇中心の学生生活が始まり、俳優の道に進んだ。さまざまなオーディションを受け、ひたむきに演技に打ち込み続ける日々。そして、『最後から二番目の恋』への出演が決定。これが今につながる転機になった。
「ドラマではクランクインに入る少し前の段階で俳優部をそろえて読み合わせをするのですが、私が後に演じることになる飯田役の演者は決まっていませんでした。その日、私は読み合わせのためだけに代読としての参加でしたが、その場にいた脚本家の岡田惠和さんが、私の読み合わせを見て『あの俳優、良いんじゃない』と言ってくださったそうなんです。それでそのまま、飯田ゆかり役を演じさせていただくことになりました」
テレビ局プロデューサーの吉野千明(小泉)が率いるチームのメンバーである飯田ゆかり役をゲット。広山は、ムードメーカー的な役柄を演じ切った。そして、撮了後に小泉のマインドに影響され、映画プロデューサーとしても進むことを決意した。
「その後、小泉さんが制作会社を立ち上げられて4回目にプロデュースされた舞台に出演させていただきました。その時に小泉さんがプロデューサーとして舞台を監修しながら、チケットのもぎりとか受付の対応をされていたんです。その姿を見て『かっこいい』『大先輩がこれだけのことをやってくださったら、役者がどれだけのものを発揮しなきゃいけないんだろう』と思いました。それは今でも私が目指すプロデューサーの理想の姿です」
広山は昨年、主演映画『運命屋』のプロデュースを担当。同作の設定は現代におけるファンタジーで、運命屋の女性(広山)によって人生の選択を迫られる元ミュージシャンの男を描いたヒューマンドラマだ。もう一人の主人公である元ミュージシャン役は、ミュージシャンで俳優のミッキー・カーチス。広山によるオファーだった。
「ロカビリーのミュージシャンとしてキャリアをスタートされ、何か圧倒的な存在感で役を演じられるのがミッキーさん。ただベンチに座っているだけで、何もしゃべらなくても伝わってくる演技が素晴らしくて、自分もその領域にいつか行きたいなと思っています」

落語はミッキー・カーチスに師事
それほど尊敬するカーチスに落語を師事。多様なメンバーで構成される「ミッキー・カーチス一門」の中で、広山は7番目の弟子にあたるという。
「自分の落語を動画で撮って、師匠に送って、師匠から電話がかかってきて稽古をつけてもらうっていうことの繰り返しです。師匠からのアドバイスはいつも面白いです。舞台は自分の台詞があって、共演者がいてできあがっていくものですが、落語は自分の話芸だけでお客さんを感動させられる。それを教えてくれたのが、ミッキー・カーチスさんでした」
さまざまな顔を持つ広山のもっぱらの趣味は「企画を考えること」。本日27日と28日には、東京・渋谷ドリカムシアターで、自身がプロデュースした一人舞台『ゆめ、さわげ。「夢の途中も、DREAMS COME TRUE」』(正午から午後7時30分)を上演する。
「企画することを日々、本気でやっています。そして、必死に考えた企画をとにかくどうやったら実現できるかを考えています。主演映画『Page30』のプロデューサーであるDREAMS COME TRUEの中村正人さんが始めた渋谷ドリカムシアターで、『私の夢を叶えてください!』と映画上映やトークベント、演劇の企画を提案してOKしてもらえたんです」
1日24時間では足りず、「もう一人の自分がほしい」と思うほどの充実した生活。その状況で、広山がさらなる目標を口にした。
「今年の末に大阪でミニシアターをオープンさせたいと準備を進めています。新進気鋭の作り手の発表の場にしていきたいですし、自主映画でも監督やプロデューサーが持ち出しではなくマネタイズできる仕組みも整えていきたいです。私自身今年3月に40歳になってすごく気持ちが楽になりました。20代はすごく焦っていましたし、30代はまだまだ苦しかった。最近、ようやく自分のやりたいこと明確に見えてきて、今までとは違う角度で作品と向き合うことができるようになった気がします。私の新たな章の始まりかもしれません」
自分の人生について、「もっと盛り上げていきたい」と声を弾ませる40歳。そのチャレンジに終わりはない。
□広山詞葉(ひろやま・ことは)1985年3月29日、広島県生まれ。日本大芸術学部演劇学科出身。2017年から俳優業と並行し、映画のプロデュース活動を開始。国内外の映画祭にて俳優・プロデューサーとして数多くの受賞歴を誇る。フジテレビ系『最後から二番目の恋」(CX)、NHK『ひきこもり先生』、テレビ朝日系『やすらぎの郷』、TBS系『SPEC』シリーズ、映画『ヘルタースケルター』『ファーストラブ』『Page30』など出演多数。また、ミッキー亭コトハとして高座にもあがっている。来年2月には、東京・紀伊國屋ホールでの主演舞台『売春捜査官』を控えている。160センチ。「プロデューサーの理想は小泉今日子さん」
