昨年12月末にデビューしたマリーゴールドの橘渚は、まだ自力初勝利に手が届いていない。6月に出場した『DREAM＊STAR GP2025』出場選手決定ガントレットマッチでは、3カウント寸前まで先輩・南小桃を追い込むも惜敗。1か月ほど体調不良により欠場し、7月29日・新宿FACE大会での復帰が決まった橘は今何を考えているのか、そして度々お互いのSNSに登場するスーパールーキー・山岡聖怜との関係も聴いた。（取材・文＝橋場了吾）

　今年1.3大田区大会には出場した橘だが、ケガで3か月弱の欠場を経て復帰。その後の試合内容の評判は上々だったが、6月末にめまいを訴え欠場に入っている。

「（大田区後の）欠場期間はずっと練習を頑張ってきたので、復帰して先輩にも『良くなっているね』と言ってもらえたのは嬉しかったですね。今はたくさんプロレスを見て、たくさん練習をしています。特に去年（7月にマリーゴールドに参戦した）イヨ（・スカイ／WWE）さんの試合を見たときに、大好きになってしまって。こんなに動けて、こんなに会場を沸かせてカッコいいなと思って、イヨさんの試合をたくさん見ています。なので、今の目標とするレスラーはイヨさんなんです」

　大田区大会後、3か月ほど欠場していた橘。復帰後はマリーゴールドとマーベラスの対抗戦が始まったが、まだ橘は対抗戦には出場していない。

「まだ自分の団体内でも勝利がないので、その状態で出たとしても『負けちゃう』と思われるじゃないですか。なので、自分は戦力になるのかなと思ってしまいますよね。でも……練習はしっかりしているんです。やっぱり（同時期入門の勇気みなみ、咲村良子とは）グラビア3人組でまとめられることもありますが、正直、私はそれが本当に嫌で。グラビアやアイドルの仕事と、プロレスは別なんです。3人の中で絶対に私が一番気持ちも強いし、練習もしている自負があります。家でも筋トレをして、プロレスの動画を見漁って、自分がプロレスのためにできることをやって強くなりたいですし、イヨ（・スカイ／WWE）さんに近づきたいですし……その中でまとめられるのは、正直しんどいと思っています」

　その言葉の裏付けと言っていいのは、山岡聖怜との仲の良さだろう。“スーパールーキー”と呼ばれ、生粋のアスリートである山岡が、橘の存在を認めているのだ。

「（山岡とは）もともと練習生の頃から仲良くしていて、練習も筋トレも一緒にしています。あと裸の付き合いも(笑)。聖怜が通っていた筋トレの場所があったところの近くに銭湯があって、そこで裸の付き合いをしていろいろ語り合って……」

　当の山岡は、橘に対してどのような思いを持っているのか、

「仲良くなったきっかけは、一回揉めたことなんですよ（笑）。それから仲良くなって、心を開き合ったというか。常に一緒にいますし、筋トレも一緒にしているので。渚は、練習して練習して悔しい思いをしながらもめっちゃ頑張る人なんです。電車に乗る前にもスクワット始めますしね（笑）。筋トレも好きで努力家で……まだ結果としては報われてはいないかもしれないですけど、仲が良いから言うわけではなくて、渚も一緒にマリーゴールドを背負っていく、この人となら一緒に背負いたいなっていう気持ちです。だからといって負ける気はないですよ。渚は常に努力しているから、それに負けないように。あと我が強いから私のアドバイスは聞いてくれないんですけど（笑）、絶対いつか成功すると思いますし一緒に海外にも行きたいねとも話をしているんです」

　現在欠場中の橘だが、できる範囲での練習は欠かしてはいない。マリーゴールド所属選手がなかなかフルメンバーで揃わない話を振ると……。

「そうなんですよ、それが悔しくて。もう欠場したくなかったのに、また欠場になってしまって……でも今は、自分を見つめ直す時期として前向きに考えています。薬が合わなかった影響もあるのかもしれないんですが、薬をやめてからは調子も上がってきてプロレスへの気持ちも高まってきました。今日も練習だったんですけど、これまでより調子もよかったので、もう少しで復帰できるかなと思っています。今、実は密かに練習している技があるんですが……（スマホで動画を見せる）」

　多くは語れないが、この技はまだ誰もやっていない動きだと思われるだけに、初公開された日には会場全体が驚くことになるだろう。デビュー戦の相手・田中きずなの凱旋興行でもある9．27逗子プロレスのリングでは、メインで世羅りさ＆天麗皇希と組み、AKINO＆ビクトリア弓月＆田中との対戦も決定。最後に、橘に今後の目標を聴いた。

「試合勘を取り戻すまで少し時間がかかるとは思いますが、復帰後はできる限り早く勝ちたいですね。あと（10月26日に）両国国技館で試合があるんですが、その頃には道場でたくさん練習ができるようになっていると思うので、いろいろなもののクオリティーを上げたいです。技のひとつひとつはもちろん、表情も含めてクオリティーを上げて、遠くにいるお客さんにも伝えられるように表現できたらいいなと思っています」