小山田圭吾が知的障害のある作家と“共創” 主催者の思い「過去は許されるものではない」
知的障害のある作家たちとミュージシャン・Corneliusとして活動する小山田圭吾による展覧会『Glow Within -Corneliusと13人の作家の声-』が24日から東京・HERALBONY LABORATORY GINZAで開幕する。初日に先駆けて23日には内覧会が行われ、代表・松田崇弥氏による企画趣旨の説明などが実施された。

小山田へ直筆の手紙を送る「覚悟が詰まったプロジェクト」
知的障害のある作家たちとミュージシャン・Corneliusとして活動する小山田圭吾による展覧会『Glow Within -Corneliusと13人の作家の声-』が24日から東京・HERALBONY LABORATORY GINZAで開幕する。初日に先駆けて23日には内覧会が行われ、代表・松田崇弥氏による企画趣旨の説明などが実施された。
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ヘラルボニーは、2018年の創業以来、知的障害のある作家の表現を軸に既存の福祉やアート業界の枠組みを拡張。22年には、障害のある人々の“ルーティン(常同行動)”に伴う音に着目した音楽レーベル「ROUTINE RECORDS」を立ち上げた。同展は、小山田と、ヘラルボニー契約作家13人による共創のプロジェクトとして生まれた音楽『Glow Within』を起点に、楽曲に込められた「声」と作家たちの表現の背景にある「日常の音」を体感することのできる展覧会となる。
松田氏は、兄が重度の知的障害を持っていたこともあり、日常的に常同行動に触れてきた。そういった生活を送る中で、情動行動によって発せられる音をBGMに「曲として昇華させることができたら」と考え、「ROUTINE RECORDS」の立ち上げに至った。
同展覧会の初日が7月23日になった理由については、3年前の東京五輪開会式の日と同日を選んだとのこと。過去の知的障害者へのいじめが明らかになり、同五輪の作曲担当を辞任した小山田とのプロジェクトだからこその日程だと明かし、「覚悟が詰まったプロジェクトです」と断言した。
ヘラルボニーのコンセプトは「人は変化することができるということを信じるブランドでありたい」。そういった意味でも、決して許されることのない過去を持つ小山田との“共創”という形で「社会にメッセージを打ち立てることができたら」と考え、松田氏が小山田へ直筆の手紙を送ったことで今回の形に至った。
「小山田圭吾さんが起こした過去の問題を直視して、社会に対して投げかけていくことで、人は変化していける、よりよい未来を作っていけるということを伝えたいです。それと同時に過去のことは許されるものではないということも表明していきたいなと思っています」
さらに、「勘違いしてほしくないのは、これは小山田圭吾さんを援護するものではなく、この問題や取り組みに対して直視してもらいたいという表明でございます」とも加えた上で、「曲として本当に面白いものに仕上がっていると思います」と仕上がりに自信をのぞかせた。
さまざまな常同行動から発せられる音を楽曲に落とし込んでいるが、「今回は小山田さんと一緒に施設を回りました」と、実際に音を発する瞬間にも立ち会って確認したという。その上で、これまで蓄積してきた膨大な音声データを小山田に提供。「小山田さんの琴線に触れたものが使われたのだと思います。素直にすごいなと思いました」と絶賛した。
今後もさまざまなアーティストとの“共創”を考えているとのこと。「レーベルなどと組ませていただき、アルバムなどを作ることができればと思っています」とさらなる発展を見据えた。
同展は、7月24日から8月11日までHERALBONY LABORATORY GINZA、8月30日から9月26日まで岩手・HERALBONY ISAI PARKで開催される。
