【マリーゴールド】中学卒業翌日からバイト4つかけもち、グラビア、夜の仕事…波乱万丈の橘渚「死ぬこと以外、怖くない」

マリーゴールドにおける昨年デビュー組のひとり・橘渚。グラビアやアイドル活動出身のため、同じ背景を持つ選手と比較されることも少なくないが、彼女は「ひとくくり」に対してはっきりと「NO」を突き付ける。1か月ちょっと体調不良により欠場していたものの、7月29日・新宿FACE大会での復帰が決まった橘に話を聴いた。

プロレスラーになるまでを赤裸々に語った橘渚【写真:橋場了吾】
プロレスラーになるまでを赤裸々に語った橘渚【写真:橋場了吾】

初めてプロレスの練習をしたときに「楽しい」と思えた

 マリーゴールドにおける昨年デビュー組のひとり・橘渚。グラビアやアイドル活動出身のため、同じ背景を持つ選手と比較されることも少なくないが、彼女は「ひとくくり」に対してはっきりと「NO」を突き付ける。1か月ちょっと体調不良により欠場していたものの、7月29日・新宿FACE大会での復帰が決まった橘に話を聴いた。(取材・文=橋場了吾)

 橘渚は千葉県で生まれた。しかし、これまでの人生は山あり谷ありだった。

「生まれは千葉で、小学校3年生くらいまでは千葉に住んでいたんですけど、親の離婚や再婚の関係で、それ以降は茨城で過ごしました。正直なところ、親とはあまり仲が良くなかったので、掛け持ちで4つのバイトをしていました。中学を卒業して次の日からバイト生活です(笑)。通信制の高校だったので4年間あったんですが、1年目がまったくやる気が起きず単位ゼロ……これはまずいと思って、残りの3年間しっかり頑張って卒業しました。それから一人暮らしを始めたんですが、グラビアやアイドルをやりながら夜の世界にいたこともあって、メンタルがやられてしまって」

 彼女は、自らの存在をこの世から消そうとした。

「ビルの7階から飛び降りて、肋骨が5本折れて、肺にも穴が開いてしまいました。ICUで2日間ほど意識がなかったらしく、荷物も何もなかったので病院側では名前も何もわからなかったと。でも、目覚めたときに自分の名前を言えて記憶もあって……『死ぬこと以外、怖くない』という気持ちになったんです。それまで、メンタルがめちゃくちゃ弱くて。でも、その一件があってからはメンタルのコントロールができるようになって、多くの人が関わっている世界でも前向きにやっています」

 その橘がプロレスに興味を持ち始めたのは、マリーゴールドが旗揚げするタイミングだった。

「(勇気)みなみさんが前の団体にいたときは、撮影会で会ったときにお話しする程度だったんですけど、マリーゴールドが旗揚げしたときに練習をみなみさんと見に行ったことがあって。というのも、事務所の社長がプロレスの良さを食事会で熱心に話されていて、もともと格闘系には興味があったので一度行ってみようかなと。それがマリーゴールドの練習の初日で、練習にも参加させてもらったら楽しくて。それで1週間後に2回目の練習に行ったら、咲村良子もいたんです」

入場時のポーズも様になっている【写真:(C)マリーゴールド】
入場時のポーズも様になっている【写真:(C)マリーゴールド】

デビュー戦は自分が何をしているかわからなかった

 橘と勇気、咲村は同時にマリーゴールドの練習生となったが、プロレスの経験があった勇気は2024年8月に再デビュー、橘と咲村は同年12月にデビューすることになった。

「実は、(2024年)4月に練習生になって、5月半ばに足を骨折してしまいまして……1か月くらいで治ってよしやるぞ!と思っていたら、次は靭帯を切ってしまって。でも何もできないのは悔しくて気合いをいれて毎日病院にも行って(笑)、筋トレもしっかりして9月にプロテストに合格できました」

 2024年12月26日、橘は田中きずな相手に後楽園ホールでデビューした。しかし、デビュー日当日、橘のXのアカウントが凍結するという事件が起こる。

「グラビアの写真を掲載していたので、シャドウバンはされていたんですが……デビューに向けて煽っていたこともあってそれがヘイト行為と認められたみたいで。今は新しいアカウントがありますし、そのときは逆に話題になったからいいかなと思っています」

 そのデビュー戦、橘は大緊張の中リングにいた。

「自分的には全然ダメでしたね……実は最初のエルボーから緊張と興奮で過呼吸気味になっていて、息が上がっちゃって。自分で何しているのかもわからない状態でした。やっぱり、あれだけのお客さんに見られる経験というのがなかったので、入場の時は『これがプロレスの世界か!』と気持ち良かったんですけど、ゴングが鳴ったらいっぱいいっぱいになってしまって……」

 デビュー戦で田中に負けてしまった橘だが、5日後の大みそかには新人王トーナメント1回戦で勇気と対戦した。

「プロレスを始める前からの知り合いであるみなみさんが相手ということで、デビュー戦よりは自分を出せたかなというのはありました。デビュー戦は自分を出すも何も、何をしているのかわからない状態だったので、2戦目がみなみさんだったのは良かったかなと思います」

(24日掲載の後編へ続く)

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