「日本ではこれはダメじゃないですか」ビーチの手洗い場で女子中学生が困惑… 文化の相違トラブルどう防ぐ
ビーチを訪れたところ、シャワールームの手洗い場で異様な光景を目撃したという女性の投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。周囲には困惑を表情を浮かべた十数人の女子中学生たちの姿が。いったい何があったのか。投稿したAkko|世界を生きる 自分を生きる(@akko_mindtravel)さんに詳しい話を聞いた。

翻訳アプリ見せても伝わらず… 外国人との対話で感じる日本人の戸惑いと学び
ビーチを訪れたところ、シャワールームの手洗い場で異様な光景を目撃したという女性の投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。周囲には困惑を表情を浮かべた十数人の女子中学生たちの姿が。いったい何があったのか。投稿したAkko|世界を生きる 自分を生きる(@akko_mindtravel)さんに詳しい話を聞いた。
「昨日、ビーチでの出来事。遊泳時間が終わった夕方、シャワールームの手洗い場に行った。私は足洗い場でペットボトルに水を汲んで体にかぶせてたんだけど。中学生くらいの女の子たちが十何人も、外で様子を見て立ち往生してた」
Akkoさんがスレッズに投稿した文は、このような書き出しで始まる。
手洗い場は無料で、女子中学生たちも帰宅の身支度をしようとしている場面が浮かぶ。しかし、表情からは明らかに“困惑”が伝わってきた。
理由は見つめる先にあった。
「視線の先には手洗い場4か所を占領して洗濯をしている人。私が中学生たちに『蛇口使いたいの? 何かあったの?』と聞くと、彼女たちは『あそこを全部使って塞いでるんですよ』『翻訳アプリ見せても伝わらない』と困惑気味。中を見ると、確かにその人は、手洗い場を占拠。一応、周りに他に手洗い場を使いたさそうな人はいない。中学生たちの中にも、手洗い場を使いたい人はいないけれど、『日本ではこれはダメじゃないですか、教えてあげないと』と話す彼女たち。『管理事務所に言いにいく?』と真剣相談。(真面目だなぁ)」
一人の外国人女性が手洗い場に洗剤を持ち込み、衣類を洗っていた。「一人で、水着のように見受けられる服を洗っていました。洗剤のようなものを透明の袋から出していたので、他にもわたしが見ている以上の服があったかもしれません」。そのため、すべての手洗い場が占拠され、他の人が使えなくなっていた。マナー違反だと本人に伝えるべきか、女子中学生たちは真剣に悩んでいる最中だったというわけだ。
十数人もの女子中学生たちが、足を止めるのはよっぽどのことだ。
「私も足洗い場でペットボトルに水を溜めていたので『私の使い方もちょっと違うんだけどね』と笑いつつ、こう伝えました。『もし誰かが蛇口を使いたいなら、もしくは使いたいわけじゃなくても『使わせて』とはっきりジェスチャーで示しに行ってみて。割って入ってごらん。『ルールだから、日本ではこうだから』というメッセージは伝わらないかも。考え方とか価値観が違うと、『誰もいないならいいじゃない?』って思ってるだろうね』と」
Akkoさんの夫はアメリカ人。助言したのは、異文化衝突に直面した際の、カドの立たない解決法だった。
女子中学生たちは、しばし話し合って熟考の末、“接触しない”という選択をした。
「彼女たちは『だって日本ではダメじゃないですか!』と困惑し続けて……、結局本人にアプローチすることなく帰っていきました」
手洗い場には、洗濯を続ける外国人と、得も言われぬ虚無感が残った。
日本人が取るべき適切な対応とは?「同じような場面や戸惑いがたくさん発生しているのかな」
インバウンドが過去最高を記録し、あちこちで文化の相違によるトラブルが増えている。そんな時、日本人は、適切な対応をどう取ればいいのか、モヤモヤとした感情をどのように伝えればいいのか考えさせられる事例だ。
「実際に迷惑を被っているならば、『使用したい』などのメッセージを明確にして伝えたらいいと思います。もし、ルールや日本の道徳を伝えたいと思うなら、伝わらないことも覚悟しつつ、伝え方を工夫して考える。『ダメだよ』的な一方的な伝え方ではなく、『日本では周り見ながら心を配る文化があるので、よく受け止められないよ』など互いの違いを明確にして相手の国の在り方も尊重した表現や対話的メッセージで伝える。もしくは『あなたの国では問題ないの? こちらの気分は悪いわ』とあくまで自分の考えであることをはっきり示して伝えたらいいと思います。
遠目で見て、ネットなどで風評を増やすだけでは根本的には偏見を広げるだけ。直接声をかけるなどの関わりを試みないなら、『よその国の考え方はそうなんだ』と異なる価値観を割り切ることも大切かなと思います」と、Akkoさんは続けた。
外国人観光客が急増する中、コミュニケーションの壁を乗り越えるための具体的な方法論を模索する動きは今後も続いていく。
多くの日本人が直面する問題に一石を投じる投稿について、「特に主張も明確なメッセージも入れてない、状況を伝えただけの投稿でした。でも閲覧が増えるというのはそれだけ同じような場面や戸惑いがたくさん発生しているのかなと思いました。『どうしたらいいか分からない』このような状況を投稿で可視化していくことで、改めて日本で当たり前だと思っている自分たちの考え方も振り返ることができるので、投稿して良かったかなと思います」と締めくくった。
