「なんであんなに警備が薄いのか」外国人が絶句する日本の光景…他の国ではあり得ない?
選挙カーが走り、候補者が街頭で声を張り上げる――。日本ではおなじみの光景だが、海外から来た人たちの目にはどう映るのか。スペイン出身で日本在住16年のカルラさん、そして日本初訪問となる米国人のアレックさん、それぞれの視点から“日本の選挙文化の特異性”を探った。

安倍晋三元首相の銃撃事件と重ねて…外国人が驚く“日本の選挙”
選挙カーが走り、候補者が街頭で声を張り上げる――。日本ではおなじみの光景だが、海外から来た人たちの目にはどう映るのか。スペイン出身で日本在住16年のカルラさん、そして日本初訪問となる米国人のアレックさん、それぞれの視点から“日本の選挙文化の特異性”を探った。
7月20日に投開票を迎える「第27回参議院議員通常選挙(参院選2025)」。選挙期間中は、全国各地で候補者や政党による街頭演説が活発に行われている。東京・渋谷のスクランブル交差点周辺でも、連日、政党スタッフやボランティアがマイクを手に訴え、ビラ配りを行う光景が見られ、街の喧騒(けんそう)とともに選挙ムードが高まっている。
スペイン出身で日本在住16年のカルラさんは、ツアーガイド兼通訳として活動中。スペイン語・英語・フランス語・日本語を話し、日本国籍も取得しており、今では日本人と同様に選挙権も持つ。日々多くの外国人観光客と接する中で、日本の文化に驚く反応をたびたび目にしてきた。
「『ルールをきちんと守る人が多い』『街中にゴミ箱が少ないのに道がきれい』といったことに、皆さん驚かれています。あと、たまに『日本人が冷たい』っていうイメージを持たれるんですけど、私は両方の文化を知っているから分かります。日本人は冷たいわけではなく、ただ価値観が違うだけ。欧米では初対面でもハグしたり、距離が近い。でも日本ではそうじゃないだけ」
そんなカルラさんにとって、日本の選挙スタイルもまた驚きだった。
「スペインでは政治家が路上で演説することはまずありません。体育館や建物の中が基本です」
スペインでは、事前に許可を得た集会形式が主流で、演説場所の管理や警備も厳格に行われている。日本のように、候補者が街頭で自由にマイクを使って訴えるスタイルは一般的ではないようだ。
2022年7月には、奈良県・大和西大寺駅前で安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され、命を落とす事件が起きた。このニュースは、スペインでも大きく報じられた。
「安倍元首相が街頭で演説していたことに対して、元警察官の父は『なんであんなに警備が薄いのか』と驚いていました。スペインの政治家は、そんな簡単に近づけません」
スペインでは1970年代から2000年代初頭にかけて、バスク独立を主張する武装組織による政治家や警察官を標的とした暗殺事件が相次いだ。この背景から、現在でも政治家の警護体制は非常に厳重で、演説は屋内が基本。入場制限や金属探知機による検査が行われることも珍しくない。
一方、米国・ワシントン州出身で、今回が初めての来日となるアレックさんも、日本の選挙風景に強い印象を受けた。観光で訪れた東京の街で、思いがけず選挙の熱気に触れることになった。
「大きなマイクを積んだ選挙カーが走っているのを見ました。アメリカではほとんど見かけません。看板を立てて、政党の方針に賛同する人が投票するスタイルです。日本のように個人が街頭でアピールする姿勢は、とても積極的で新鮮です」
文化や政治スタイルの違いは、時に驚きとして、時に新たな気づきとして外国人の目に映っているようだ。
