當真あみ、影響受けた先輩俳優に上白石萌音「すごくきれいな字でお手紙を」 令和版『ちはやふる』で新たな扉開く
俳優の當真あみが、7月9日スタートの日本テレビ系『ちはやふる-めぐり-』(水曜午後10時)で、連続ドラマ初主演を務めた。競技かるたの世界を舞台にした青春群像劇で、マンガ原作の作品を完全オリジナルストーリーとして映像化する。過去にアニメ化や映画化がされており、今作も注目される。2021年にデビュー後、CMやドラマ、映画などで快進撃を続ける當真が、令和版『ちはやふる』の主人公に選ばれた思いを語った。

オリジナルストーリー『ちはやふる-めぐり-』でクールなかるた部員役
俳優の當真あみが、7月9日スタートの日本テレビ系『ちはやふる-めぐり-』(水曜午後10時)で、連続ドラマ初主演を務めた。競技かるたの世界を舞台にした青春群像劇で、マンガ原作の作品を完全オリジナルストーリーとして映像化する。過去にアニメ化や映画化がされており、今作も注目される。2021年にデビュー後、CMやドラマ、映画などで快進撃を続ける當真が、令和版『ちはやふる』の主人公に選ばれた思いを語った。(取材・文=大宮高史)
『ちはやふる』は末次由紀氏の同名マンガが原作で、これまで映画化、アニメ化され、どちらも人気を呼んだ。映画は3部作で上映され、2016年に『-上の句-』『-下の句-』、2018年に『-結び-』が公開。主演した広瀬すずをはじめ、出演俳優らの出世作になった。そして今回の連ドラ『ちはやふる-めぐり-』は、3部作映画から10年後の世界を描くオリジナルストーリー。當真演じる藍沢めぐるが通う梅園高校の競技かるた部は部員が少なく、廃部寸前。そこに赴任してきたのが、古文の非常勤講師・大江奏(上白石萌音)。映画版で瑞沢高校かるた部員だった彼女が、梅園高校の競技かるた部再興のために奔走。競技のルールも覚えていなかったほどの幽霊部員だっためぐるも、かるたに本気になっていく――。
――まず、當真さんと『ちはやふる』の縁をお聞きします。
「中学生くらいの時に、広瀬すずさんが主演されていた映画を初めて見ました。ちょうどコロナで学校がなかった時期に家で見たこともあって、一つのことに真剣に向き合っている高校生がすごくまぶしく見えました。そんなシリーズに出演のお話をいただき、うれしかったのと同時に、本当にたくさんの人が知っている作品だったので、新しく飛び込んでいくことへの不安は正直、少しありました」
――めぐるは高校2年生ですが、スマホで投資をしていたり、現実的で冷めた性格をしています。台本を読んで、どんな印象を持ちましたか。
「あまり学生っぽくない子ですよね(笑)。少し大人びた印象の女の子ですが、台本を読んだ時『寂しそうな子』と感じました。彼女は中学受験の失敗や、幼馴染の月浦凪(原菜乃華)とのすれ違いがあって、自分は“普通の青春”は向いていないと考えてしまいます。それが無意識のうちに続いているような状態なんです。彼女がかるたに夢中になっていく前は、この『寂しさ』を意識して演じていました」
――當真さんも競技かるたに触れるのは初めてだったそうですね。
「所作も全くわからなかったですし、読まれた札を払おうにもまず札が見つからないし、札を払ったとしても全然皆さんに追いつけなくて。『こんなに難しいの!』が第一印象でした(笑)。でも練習してだんだんできるようになって、本番で狙った札をきれいに飛ばせたりすると、『やった!』と燃えましたね。空き時間でも皆でかるたのミニゲームをやっていたので、本当にかるた部にいるかのように勝利への執念がわいてきました。だから競技のシーンのめぐるの反応は、ほぼ素ですね(笑)」
――ご自身の学生時代、そういった熱い体験はあったのでしょうか。
「中学ではテニス部に入っていましたが、当時は勝負というよりも、友達がいて同じことを一緒にできていることが楽しい、という感覚だったので、熱中とまではいかなかったんです。『ちはやふる』の学生たちのような『ここに命をかけている』みたいな経験はなくて。だから今回、こんなにかるたに熱くなれたのは、いい経験でした」

原菜乃華、藤原大祐ら若手俳優が出そろう
――今作には、映画版に引き続き、大江奏役で上白石萌音さんが出演します。印象は。
「初めてお会いした時『映画で見てた、かなちゃんだ!』とちょっと不思議な気分になりました。映像で見ていた方が目の前にいらして、『先生』と呼んで一緒にお芝居をしていくなんて……。ただ上白石さんの、奏として百人一首に情熱を注ぐ姿は以前と全く変わっていなくて。しっかり和歌の意味も覚えていらっしゃって、作品への愛を感じました」
――例えば『ちはやふる』らしさを継承するために上白石さんと話し合ったりはしましたか。
「ストレートに役作りについて聞くことは少なかったんですが、上白石さんとかるた部の皆で、映画の思い出話で盛り上がりましたね。『あのシーン、どんな風に撮っていたんですか?』とか、撮影の舞台裏を聞けたことも私たちのヒントになったと思います」
――では、『ちはやふる-めぐり-』ならではの魅力とは。
「『居場所を見つけていく物語』であることですね。めぐるだけではなく、皆が過去に何か挫折を味わっていたところに、かるたと出会って高校生らしい情熱を燃やしていきます。ライバル校のメンバーも皆、努力してきたんだなと思うと、よりこの作品に感情移入できました」
――ライバルといえば、今作にはめぐるの幼なじみで瑞沢高校に進学した月浦凪役の原菜乃華さん、瑞沢かるた部の部員の折江懸心役の藤原大祐さんら、かるたで戦う高校生役で同世代の俳優が多く出演しています。共演者の存在に刺激を受けたりしますか。
「競争心は、あまりないと思います(苦笑)。皆さんお芝居で尊敬できるところが見つかるので、リスペクトしつつ自分も頑張ろう、と思って現場にいます」
――今年に入り、本作で連続ドラマ初主演したほか、映画では4月公開の『おいしくて泣くとき』でヒロイン、10月公開の『ストロベリームーン』に主演と、躍進が続いています。そんな中で、影響を受けたという先輩俳優を挙げるとしたら。
「やっぱり、上白石(萌音)さんです。今回3か月間もの間ご一緒させていただきましたが、どのシーンを撮る前でも笑顔で、たくさん声をかけてくださることが本当にありがたかったです。特に、重要なシーンや感情が動くシーンが終わった後に『今のすごく素敵だったよ』といった温かい言葉をたくさんかけてもらえたのはうれしかったですね。クランクアップの時も、かるた部のメンバー6人それぞれに、役の名前とリンクする百人一首に合った手ぬぐいと、すごくきれいな字でお手紙をプレゼントしてくださって。感情豊かで気配りができるところまでステキな方で、おかけげで初めての主演をやりきることができました」
――なるほど。では最後に、今感じる俳優としてのやりがいをお聞きします。
「現場で共演者の方のお芝居を見ていくうちに、『次はこうしてみよう』と考えを巡らせるのを楽しんでいます。私自身のお芝居も良くなりますし、作品の世界に入りこんでいく気分になれます。この作品でも、すっかりかるた部員の熱さを堪能させていただきました」
18歳・當真の躍進が止まらない。さわやか笑顔と透明感が際立ち、2021年にデビュー後、映像を中心に活動する。23年のNHK大河ドラマ『どうする家康』や同年の日本テレビ系『最高の教師1年後、私は生徒に■された』、24年『さよならマエストロ~父と私トアパッシオナート~』などで存在感を見せつけ、24年のNHK第47回創作テレビドラマ大賞『ケの日のケケケ』ではドラマ初主演を飾った。今年も勢いづく。3月にファースト写真集を発売。7月期の連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』に主演し、10月には主演映画『ストロベリームーン』が公開される。26年は中島セナとのダブル主演の映画『終点のあの子』の公開がを控え、来春には初舞台となる『ハムレット』で市川染五郎演じるハムレットの恋人・オフィーリア役に挑むなど、顕著な活躍を見せる。若手俳優でまさに10代のトップランナーの一人といえるだろう。
そして、「ストーリーの局面ごとに、めぐるの心情を読み解きながら演じました」という彼女の芝居への情熱が、『ちはやふる』の世界に新風を吹き込んでくれそうだ。
□當真あみ(とうま・あみ)2006年11月2日、沖縄県生まれ。地元でスカウトされ、2021年にCMでデビュー。22年にはTBS系ドラマ『妻、小学生になる。』でテレビドラマ初出演を果たし、同年に『カルピスウォーター』の14代目CMキャラクターに抜擢される。23年にはNHK大河ドラマ『どうする家康』で徳川家康の長女・亀姫役を演じた。声優としてはアニメ映画『かがみの孤城』(22年)、NHK『ルカと太陽の花』(24年)で主演。25年は8月15日公開予定の映画『雪風 YUKIKAZE』にも出演する。長編映画初主演を務める『ストロベリームーン』は10月17日に公開。趣味は音楽鑑賞、アニメを見ること。160センチ。
スタイリスト 大村淳子
ヘアメイク SAKURA(makiura office)
