自民はなぜ大敗? 「知事与党」に明暗…国政がモロに影響か “圧勝”都民ファは「小池都政」が追い風に

22日投開票の東京都議選(定数127)は、小池百合子知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が31議席を獲得し、第一党に返り咲いた。自民党は第一党の座を失い、過去最低の議席数となった。公明党を加えた「知事与党」で明暗が分かれた背景には何があったのか。

都民ファースト候補者への支持を訴えた小池知事【写真:ENCOUNT編集部】
都民ファースト候補者への支持を訴えた小池知事【写真:ENCOUNT編集部】

参院選の前哨戦は自公に“異変” 国政に対する評価影響

 22日投開票の東京都議選(定数127)は、小池百合子知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が31議席を獲得し、第一党に返り咲いた。自民党は第一党の座を失い、過去最低の議席数となった。公明党を加えた「知事与党」で明暗が分かれた背景には何があったのか。

 過半数を獲得した知事与党だが、その中身は対照的な結果となった。改選前の26議席から票を伸ばした都民ファに対し、自民は歴史的な大敗。公明も、継続してきた候補者の全員当選はかなわなかった。

 都民ファが支持を集めたのは、地域政党としての活動のほか、小池都政の評価が後押ししたからだ。練馬区から出馬し、都営大江戸線の延伸に尽力したことなどを訴えて、3回目の当選を果たした尾島紘平幹事長は、小池都政の成果について「堅実だったからじゃないですか」と分析。子育て政策を中心としたこれまでの実績が広く受け止められたとの考えを示した。

 3期目に入った小池氏が、都政に本腰を入れられる環境が整ってきたことも大きいと話す。

「小池さんが頭の中で一番やりたかったのは、少子化対策とエネルギーなんですけど、これまで1期目は、豊洲、築地の問題で大変なところから始まって、しかも都議会とも戦わなきゃいけなかった。オリンピックが目の前に迫っていて、そしたらコロナ禍が来て。だから、1期目、2期目って意外と小池さん自身も政治家としてやりたかったことというのはそんなにできていなかったんです。目の前の有事に対する対応をずっとやっていたんですけど、ようやくここからクリエーティブなことができるよねと、今急激に手をつけられるようになった。そういったことが評価されたんじゃないかと思いますね」

 深刻化する少子化問題に対し、国は有効な手立ては打てていない。一方、東京では、保育料の無償化や18歳以下の子どもに月5000円を給付する「018サポート」、高校授業料の実質無償化など、子育て世帯の負担が減るような対策を矢継ぎ早に実施した。また、物価高対策として、夏の水道基本料金の無償化を実現するなど、暮らしに関わる問題に対してスピード感を持って対応した。他の自治体がうやらむほどだった。

 都庁プロジェクションマッピングやお台場の巨大な噴水計画が賛否を呼んだものの、批判が殺到するような論点とはならず、都民は小池都政による充実した行政サービスの継続を求めた形だ。小池氏は今回、精力的に都民ファ候補者の応援に駆けつけた。連携を強く印象づけ、同党に追い風を吹かせる一因となった。

 一方で、自民党は、「非常に厳しい結果だと受け止めている」(井上信治都連会長)と予想以上の逆風にさらされた。

 政治資金パーティーの問題で、会派幹事長経験者6人を非公認にしたが、「政治とカネ」が尾を引く自民への負のイメージは好転しなかった。政権支持率が低迷する中、小泉進次郎農相による備蓄米放出の成果で、持ち直しの兆しを見せたが、石破首相が参議院選の公約として表明した「国民1人当たり2万円の給付」が、世間から「ばらまき」と反発を食らうなど、国民感情との意識のずれは浮き彫りになった。

 当初、各社の情勢調査では、“自民安泰”と見られていただけに、冷や水を浴びせられた。玉木雄一郎代表による「餌」発言や山尾志桜里候補の公認取り消し騒動などで国民民主党の支持率が急落する中で、無党派層の取り込みにも失敗した。

 参院選は、7月3日公示、20日の投開票の見通し。前哨戦と位置づけられた都議選の結果が影響を与えることは必至だ。自公の“急ブレーキ”は、国政に対する民意の表れと受け取ることができる。旧態依然とした政治や税金の無駄遣い、そして、各党の物価高対策に一段と厳しい目が向けられる。

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