「柔道を捨ててやるのではなく」ウルフ、新日入団会見で明かした柔道への思い「これからもあり続ける」

東京五輪柔道男子100キロ級金メダリストのウルフ アロン(29)が23日、都内で会見を行い、新日本プロレスに入団しプロレス転向することを報告した。五輪金メダリストのプロレス挑戦は日本人では初。まさに鳴り物入りの入団だが、飛び級することはなく「しっかり土台を作りたい」と謙虚な発言であふれていた。

会見に登壇したウルフ アロン【写真:増田美咲】
会見に登壇したウルフ アロン【写真:増田美咲】

鳴り物入りも目立った謙虚な姿勢「しっかり土台を」

 東京五輪柔道男子100キロ級金メダリストのウルフ アロン(29)が23日、都内で会見を行い、新日本プロレスに入団しプロレス転向することを報告した。五輪金メダリストのプロレス挑戦は日本人では初。まさに鳴り物入りの入団だが、飛び級することはなく「しっかり土台を作りたい」と謙虚な発言であふれていた。

 明るく笑顔も見られたが、柔道時代のように冗談を飛ばす姿はほとんどなかった。123キロの肉体で紺色のスーツはパンパン、たくさんの報道陣を前に額には汗が溜まり、質問に応えるたびにしたたり落ちていた。

 新日本側からのスカウトではない。自ら志願して入団した。会見では毎週日曜日にテレビ朝日系『ワールドプロレスリング』を見ていたことを明かし、転向の決め手は「プロレスが好きだから」とシンプルに回答。試合だけではなく、入場・退場など試合に臨んでいく全てを己の体で表現できることに魅力を感じたと熱弁し、プロレスへのリスペクトを見せた。

 来年の1.4でデビュー予定だ。新日本プロレスの新人“ヤングライオン”のような寮生活からのスタートではないが、特別待遇でもない。会見や囲み取材では「練習生と一緒に」という言葉が目立った。

「土台の部分からしっかり作りたいので、誰かから教えていただくというよりは、切磋琢磨して自分自身のプロレスをしたいので。特に特別コーチ(を付ける話)はなかったですけど、そういった話があったとしても僕は練習生としての練習をしていきたいという風に思います。

 6月から本格的な練習がスタートした。五輪金メダリストになるまで柔道を極めているが、意外にも受け身に苦戦している。柔道ではまず礼法を教わり、次に受け身を習うが、いままでやってきた受け身とプロレスの受け身は全く違うようで「動きの違いに難航している」と苦笑い。

 柔道では裸足ですり足だが、プロレスでは靴を着用して動く。「靴に慣れるところからです。どうしても靴を履いていると足の裏とかも筋肉痛になる」と新しい感覚を説明した。

 バックボーンの柔道を生かした戦い方を期待されてはいるが、「まずはプロレスを、ちゃんとしたプロレスができるように」と自らに言い聞かせるかのように口にしていた。

 一方で柔道への感謝も口にした。柔道界の一部では選手のプロレスラー転向に“アレルギー”がある。そのことについて問われると「ありがとうございます」とひと呼吸を置いて、こう語った。

「僕自身のバックボーンとして柔道という競技はこれからもあり続ける。僕は柔道を捨ててプロレスをやるのではなく、柔道は元々僕がやっていた、僕自身を作り上げてくれたのも柔道です。そこを捨てるのではなく、そういうものをしっかりと持ちながらプロレスをやるんだよって難色を示す方には話したいなと思います」

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