ひょうろく、『水ダウ』ドッキリ契機に俳優オファー増 大河出演はド緊張「瞬きが止まらくて」

お笑い芸人・ひょうろくがNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)に松前家の江戸家老・松前廣年役で出演している。本作のオファーに「一瞬ドッキリかと思った」というひょうろくに、撮影に臨んだ心境や共演者とのエピソードを聞いた。

松前廣年を演じるひょうろく【写真:(C)NHK】
松前廣年を演じるひょうろく【写真:(C)NHK】

大河ドラマ『べらぼう』で江戸家老・松前廣年を熱演

 お笑い芸人・ひょうろくがNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)に松前家の江戸家老・松前廣年役で出演している。本作のオファーに「一瞬ドッキリかと思った」というひょうろくに、撮影に臨んだ心境や共演者とのエピソードを聞いた。

 本作は18世紀半ばに江戸のメディア王として時代の寵児(ちょうじ)となった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)を軸に描く痛快エンターテインメント。ひょうろくが演じる松前家の江戸家老・廣年は、自由奔放な兄・道廣(えなりかずき)と異なり、心根の優しい人物だ。

 そんなひょうろくといえば、TBS系『水曜日のダウンタウン』のドッキリ企画でのブレイクも記憶に新しい。たびたび“ドッキリ”を仕掛けられることがあるだけに、今回のオファーに「一瞬ドッキリかと思った」と、スタジオ入りを振り返る。

「もう何が本当かウソか、何が現実か分からなくなっているんですけど、(スタジオに)渡辺謙さんがいらしたので、渡辺謙さんが僕のために動くことはないのでドッキリじゃないと思いました。あと、スタッフさんが『これドッキリかもよ』とすごく言ってくださったんですけど、ドッキリの時は絶対に誰も『ドッキリ』とは言ってくれないですから、これはちゃんとしたやつだと安心しました」

 8日放送の第22回「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)」で初登場となったひょうろく。福原遥演じる花魁・誰袖が田沼意知(宮沢氷魚)に身請けを条件に廣年に接触。誰袖は廣年に体を寄せ、コハクをあしらった廣年の腕飾りを見つけると、廣年の手を握る展開も描かれた。

 ひょうろくはこの場面が初めての撮影だったと明かし、「緊張でまばたきが止まらなくて、演出の方に『ちょっとまばたき多いですね~』って言われました。気を付けるんですけど、止めようと思っても全然止まらなくて、こんなに難しいんだと」と苦労もあったという。

 色っぽい誰袖にドギマギする廣年の姿が印象的で、“ドッキリ”を受けるひょうろくの姿とも重なった。「(廣年が)吉原に不慣れでドキドキしなきゃいけないシーンだったんですけど、本当に……自分もドキドキしちゃいました(笑)。衣装の中も冷や汗をかいて、すごく緊張しました」と苦笑する。

 また、福原に手を握られたシーンについては、「福原さんもすごく色っぽいですよね。廣年が消えてしまっていたかもしれないです(笑)。本心が前に出すぎていたかも」と夢見心地の収録だったと笑う。

 取材中も一つ一つの質問に、とつとつと丁寧に答える姿が劇中の廣年と重なる。役との共通点を次のように語った。

「廣年は誰袖から色仕掛けを食らっちゃうんですけど、自分も『これそうなっちゃうよな~情報流しちゃいそうだな~』と演じながら思いました。誰袖さんの意図を台本で知っているので悲しくなりますけど、(福原の)演技を見ていると『もしかしたら好きなんじゃないか』と思っちゃいます。自分も女性に色仕掛けをされるとすぐになびいてしまうところがすごく似ているかもしれません(笑)」

“ご家老”という位の高い役とあって、「僕はもう38年間ずっと普通に生きてきたので、上の立場の人の気持ちがどうしても分からなくて」と悩みもあった。そこで、凛とした姿を見せるために、「普段は困ったら『すみません』と頭を下げるんですけど、それをやったらダメだと思うので、歩き方もピンと背筋を伸ばして、容易くひれ伏さないようにしました。あとは、“ありがとう”とあまり思わないようにするってことですかね。へりくだらないことが大事だと」と心がけた。

誰袖(左=福原遥)に手を握られるシーンも【写真:(C)NHK】
誰袖(左=福原遥)に手を握られるシーンも【写真:(C)NHK】

“兄役”えなりかずきとのそっくりぶりも話題に「昔から似ていると」

 第24回「げにつれなきは日本橋」では、誰袖にそそのかされた廣年が抜荷をしようと企てたところ、兄・道廣に露見してしまい、激怒される様子が描かれた。銃を向けられて怖気づく姿を演じたが、「本当に怖かったというか、えなりさんの笑顔と狂気が怖いな~と思いながら見ていましたね」と迫力に圧倒された。

 劇中では性格の異なる松前兄弟だが、見た目のそっくりぶりが話題になっている。以前、えなりがひょうろくについて「DNAで共通するものがある」と言えば、ひょうろくも「昔から、よくえなりさんに顔が似ていると言われていたので」と話し、現場での交流秘話を明かした。

「えなりさんは撮影の合間で話しかけてくださいましたし、先日もごはんに誘っていただいて、ご一緒させていただきました。えなりさんから『弟君(おとうとぎみ)』と呼ばれたりして、本当に優しい方だなと。大ベテランの方なので、僕もどこまで話していいか分からなかったんですけど、すごく話しかけやすかったです。(TBS系連続ドラマ)『渡る世間は鬼ばかり』を毎週見る家だったので、それも伝えられてよかったです」

 大河ドラマへの出演とあって、「すごいものに出させていただいていてるんだと、周りの方の反応を見て実感しました」と反響の大きさに驚きを見せる。もっとも、緊張したまま撮影を終えたとして、「まだどこかで分かっていない、客観視できていないです。台風の中にいた感じで、外から見たら大きな台風なんだろうけど、中にいるとあまり気付かないというか」といまだに実感がない様子。

 昨年から民放の連続ドラマなど俳優としての出演も増やしているひょうろく。大河ドラマへの出演も果たしたが、「演技のお仕事は『水曜日』さんのドッキリがきっかけで、あれを見てオファーをしていただくスタッフさんも多いので、『水曜日』さんのおかげな気がしますね」と感謝の言葉が口をつく。

 芸人として、また俳優としての今後の目標を尋ねると「いただいたお仕事を一生懸命がんばりたいです。演技のお仕事にもとらわれずに、面白そうなお仕事があったら挑戦してみたいです」と前を向く。「ドッキリ仕事は、できればない方が精神的にいいんですけど、(ドッキリ仕事は)気付いたときには終わる時なので、その時はその時かと……」と覚悟を示しつつ、目の前の仕事に全力で挑んでいく。

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猪俣創平

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